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加工食品市場は緩やかに拡大傾向へ

食品

富士経済は、物価高を背景に消費者の価格意識がさらに高まり値ごろ感の強い商品への支持が広がる中、消費者の認知度向上につながる露出増加と訴求力の強化、SNSなどを活用したプロモーションが活発化している加工食品の国内市場を総括・分析し、その結果を発表しました。
調査では2024年9月から行った19カテゴリー386品目の加工食品市場についてカテゴリーやチャネルなど要素別の横断的分析、消費者の生活防衛意識が高まる中で台頭するPBの分析、食品業界の中長期予測を行い、業界課題を把握し整理されています。

2024年は、前年に続き価格改定が実施され、商品単価の上昇による市場拡大傾向となっています。清涼飲料類、アルコール飲料、菓子・スナック菓子、デザートなどの嗜好性の高いカテゴリーでは、コロナ禍が収束し人々の活動が通常化する中で消費者とのタッチポイントが増え、好調な品目が多いです。
一方、調味料などでは、相次ぐ価格上昇と節約志向の高まりを受けて、より経済性の高い低価格商品やPBなどへの需要シフトが顕著となっているようです。メーカーの取り組みとしては、新規需要の開拓に向けた価値の向上や訴求力の強化、SNSを活用したプロモーション実施など、消費者へのアプローチ手法が多様化しています。今後も低価格商品と付加価値商品による二極化が一層進み、それぞれのニーズに対応した商品の投入が旺盛に行われるとみられます。
人口減少などによって販売量が伸び悩む中で、消費者のニーズを捉えた付加価値訴求型商品が存在感を高めるとともに、原料高に伴う値上げによる商品単価の上昇が続くことで市場は緩やかに拡大し、2031年には24兆8,678億円になると予測しています。(表1)

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表1

2024年見込における2019年比の伸長率で、50%以上の伸びが予想されるのは19品目であり、このうち市場規模が2倍以上になるのは4品目です。伸長率が最も高いのはオートミールです。コロナ禍の健康意識の高まりにより、豊富な食物繊維、低糖質、栄養バランスの高さがメディアやSNSで話題となり、2020年、2021年と急拡大しました。ブームの反動もあり、2022年をピークに市場は縮小しているものの、ユーザーの定着もみられます。(表2)

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表2

執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


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