2007年「女性だからこそできる医療がある」と中目黒に「ウォブクリニック」を立ち上げた高瀬 聡子 医師。当時はまだ美容皮膚科という科目は珍しかった時代にメスを入れずにナチュラルな美しさを追求する同クリニックはたちまち女性の心をつかむ。現在は男性の患者も診ることが増えてきたという。そんな高瀬医師に美容医療の真髄について話を伺った。
ウォブクリニック中目黒総院長
髙瀬 聡子 医師
【経歴 ・資格】
日本皮膚科学会正会員/日本美容皮膚科学会正会員/日本抗加齢医学会正会員/日本レーザー医学会正会員慈恵会医科大学卒業後同付属病院皮膚科に入局アトピー外来・レーザー外来などを担当。2007年1月当院を開設。2024年4月株式会社ピエール ファーブル ジャポン アベンヌのメディカルアドバイザー就任・サーマクール認定医/ボトックスビスタ VST認定医/主な著書 お肌は最強の「バリア」です!美容皮膚科医が伝える、<病気>と<老化>を防ぐ肌を育てる方法(発行元:晶文社)/『ゆる美容事典』(発行元:講談社)/『気になるパーツのスキンケア2週間速効メソッド』(発行元: 宝島社)他
美容は心身の健康の源。お肌がキレイならば、気持ちも豊かに
美容皮膚クリニックは命に関わらない自費診療ゆえに「敷居が高い」と思われがちですが、豊かに生きるためには大切な場所と考えています。
私は10代の頃、太田母斑に悩まされていました。年頃の女の子が顔に痣を抱えて生きていくことの辛さを十分過ぎるほど経験してきたのです。
それがレーザーによって、跡形もなく消えた時の驚きと感動が美容皮膚科医としての原点かもしれません。
勤務医時代にはレーザー治療の立ち上げに関わり、その後はフォトフェイシャルの啓蒙にも力を注ぎました。
独立開業に当たり実現したかったのは「女性を幸せにする医療」。そのためには視察のため渡米も。
美容医療の先進国アメリカで知ったのは、皮膚科とスパが融合されたクリニックが当たり前に存在していたこと。当時の日本では美容領域といえば外科が主流でしたから、皮膚科とスパの融合が私の開業に当たってのミッションとなりました。
ナチュラルな美しさこそが心の豊かさに
私は今、美容医療の未来について大変心配をしております。それは、昨今主流になりつつある美容のパッケージ化です。
本来、肌質も、その方がおかれている環境も背景も違うはずなのに、同一の治療を行うことが、果たして良いことなのかどうか、疑問を感じています。また母の立場としては、10代の娘にメスを入れることは心配です。
本来、美しさとはパーソナルなもの。
例えば、目尻のシワがとても優しげでチャーミングな方がいたら、施術はお勧めしません。なぜなら、目尻のシワがその方の人生や本質を表していると考えるからです。
女性がもつ本来の美しさを引き出して、自分に自信がもてる素肌を維持していく「ナチュラルエイジングケア」こそが、心の豊かさにつながるのではないでしょうか。
女性の幸せにする医療を標榜する当院は、カウンセリングをしっかり行った上で、専門知識のある医師と美容に特化したナース、スキンケアスペシャリストが連携し、一人ひとりのお悩みに対して最適な治療をオーダーメイドしています。充実したメニューと専門性、幅広い選択肢でパッケージ美容とは一線を画します。
また、「スキンケアは洗顔から始まる」という考えのもと、ウォブクリニックでは施術の前はクレンジング・洗顔をスキンケアスペシャリストが行い、アフターケアのアドバイスもしっかりさせていただいております。
患者さんやスタッフに自身の背中を見せる
当院は都内にありますが、開業当初より患者さんは全国から来ていただいています。ある患者さんからは、治療というより「元気をもらいに来ている」とか「ここに来ると癒される」とありがたい言葉を頂戴しています。
ですから、私自身がつねに元気で若々しくいないと患者さんガッカリさせてしまいます。そこで、どんなに忙しくてもお手入れは欠かしません。
定期的なフォトフェイシャルとサーマクール、ビタミンC点滴。ホームケアはレチノール中心のスキンケア。
正直、面倒臭いなと思う時はあります(笑)。ですが、美容は日々の積み重ね、毎日のコツコツが大きなトラブルを未然に防ぐことができるのです。
病気もそうですが、予防の方が時間も手間もかかりません。例えば内臓の重大なトラブルも、実は肌に表れます。急にシミができた、ホクロが大きくなった、謎の湿疹が出たという時は、疾患のサインであるケースも多いです。
日頃から、自身の肌と向き合うことは若さや美しさだけでなく、健康維持のためにも必要なこと。
最初の申し上げたように美容医療は特別な場所ではなく、心身の健康と豊かさのためにある場所であることを忘れないでくださいね。
健康ジャーナルライター
ホリスティック・ ジャーナル