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低糖質食事法と筋力トレーニングの優位性を研究で確認 ライザップが神奈川県がんセンターなどとの4者共同研究で実証


RIZAPは、神奈川県立がんセンター、神奈川県立保健福祉大学およびジェノプランジャパンとの4者共同で、「肥満の遺伝学的リスクスコアと食事・運動介入プログラムの効果に関する研究」を行い、RIZAPが提供する低糖質食事法とレジスタンス運動(筋力トレーニング)のプログラムが、肥満関連遺伝学的リスクスコアの高低に因らず減量に有意であるという結果を発表しました。

厚生労働省の発表している資料によりますと、老衰を除く令和4年の死因は、悪性新生物(腫瘍)、心疾患、脳血管疾患の順となっており、それら三大生活習慣病が死因の過半数を占めています。生活習慣病と肥満は深く関っており、それらは体質(先天的な遺伝子スコアに基づくリスク)と環境要因(後天的な生活習慣等)との交互作用によって生じるといわれています。
これまでBMIとの関連が報告されている遺伝学的リスクは、横断的なBMIに関するリスクを評価しており、体重変化量や介入による減量の効果との関連に関する科学的なエビデンスが不足していました。そこで、先天的に遺伝学的肥満リスクが高い方にも、後天的な肥満への対策に関する知見を得て、それらをサービスに還元できれば、肥満対策の可能性を示すことができ、ひいては健康寿命の延伸という社会課題の一助になりうると考えに基づき、2021年より4者共同により研究を進めてきました。

同研究では、肥満の遺伝学的なリスクによって、生活習慣(食事と運動)とBMIとの関係を明らかにするというテーマで、肥満関連遺伝子研究が専門の神奈川県立保健福祉大学の成松宏人教授、中村翔准教授、遺伝子検査を専門分野とするジェノプランジャパン株式会社、神奈川県立がんセンター、そしてプログラムを提供するRIZAPの4者で協力体制を作り、125人の協力者の同意を得て研究を行いました。

その結果、2018年6月から2020年2月までにRIZAPのプログラムを開始した125名のデータが解析可能で、女性が104名(83.2%)でした。平均(標準偏差)の年齢、GRS、プログラム開始時BMI、体脂肪率は、それぞれ 46.5 (9.8)歳、4.5×10-3(0.2)、27.6 (5.5)kg/m2、36.0 (8.8)%でした。プログラム実施前後でのBMI変化率の平均(標準偏差)は-0.1 (0.1)%、体脂肪率変化率の平均(標準偏差)は-0.2 (0.2)%でした。
RIZAPプログラムの効果とGRSとの関連を解析した結果、GRS が1標準偏差上昇することに対するBMIと体脂肪率の減少率(95%信頼区間)はそれぞれ、-1.18 (-2.85, 0.49)% (P値 = 0.169)、-1.69 (-4.85, 1.47)% (P値 = 0.296)でした。DEAによって計算した効率値が1標準偏差上昇することに対するBMIと体脂肪率の変化率(95%信頼区間)はそれぞれ、3.70 (2.15, 5.25)%, <0.001)、2.69 (-0.45, 5.83)%, (P値 = 0.095)でした。(グラフ)

【左グラフ】
縦軸:RIZAPプログラムによるBMIの変化率、横軸:遺伝学的肥満リスクの高低。
まんべんなく全体的に分布が見られる。これはBMIの変化率は遺伝学的肥満リスクの高低に因らないことを示している。
【右グラフ】
縦軸:RIZAPプログラムによるBMIの変化率、横軸:遺伝学的肥満リスク、BMI、体脂肪率に基づく包絡分析(DEA)で解析した効率性スコアの高低。
効率性スコアとBMI変化率に正の相関が見られる。効率性スコアが低いほど、プログラム前後のBMI変化率が大きいことが分かる。

今回の解析では、GRSとプログラムの効果との間に関連を認めませんでした。言い換えると、現在の横断的なBMIに関するGRSの高低がプログラムの効果に影響するという根拠を認めませんでした。一方で、DEAにおいてGRSを入力変数として用いて計算した効率性スコアが低いと、プログラム前後のBMI変化率が大きいという関連が観察されました。GRS単独ではプログラムの効果との関連は認められませんでしたが、効率性スコアというGRSを加味したBMIの評価により、プログラムの効果がより得られやすい、あるいは得られにくい可能性のある集団が判別可能となり、この知見をRIZAPプログラムの最適化に応用できる可能性が示唆されました。

執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


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