日本では5人に1人が75歳以上という新たな局面を迎えています。高齢化の進行により、社会保障や労働市場への影響が懸念される一方で、労働人口減少への対応策のひとつとして、豊富な経験や知識を活かしたシニア世代の就労が期待され、定年延長や再雇用制度の充実、柔軟な働き方の推進などの取り組みが進められています。
そういった背景がある中、教育を中心に人材・介護・保育・美容・スポーツ・IT事業を傘下に持つヒューマンホールディングス(本社東京都新宿区)が、定年退職後に就労している65~74歳の男女1,000名(男性600人、女性400人)を対象として「シニアの仕事観とキャリアに関する実態調査2025」を行い、その結果概要を公表しました。尚、調査対象者の属性は表1、表2の通りです。

表1

表2
最初に、「定年後に働いている理由」(複数回答可)について質問していますが、「生活費を得るため」が54.6%と1番多い回答となっています。その他では、「社会とのつながりを保つため」(43.0%)と「身体的健康を維持するため」(42.1%)」が拮抗して続く結果となりました。必ずしも“お金のため”だけの就労ではない様子が伺えます。(グラフ1)

グラフ1
「現在の職業に就いた経緯」については「再雇用」(34.9%)が最も多い結果で、次いで「異なる業界・異なる職種で転職・再就職」(25.3%)が挙げられています。このことから定年後に新たなキャリアを構築されている人も多数いることが明らかになりました。(グラフ2)

グラフ2
理想的な1週間の就労日数については、「3日(31.2%)」「4日(29.9%)」、「5日(28.7%)」と続く一方で、実際の就労日数は「5日(47.7%)」が最も多い結果です。調査対象の半数が正規雇用者であることから、一般的なフルタイム勤務の就労日数である「5日」が半数に近い結果になったものと推察されますが、就労日数は減らしたいと思っている人が多い状況にあるかもしれません。(グラフ3)

グラフ3
理想的な1日の就労時間については「8時間(22.0%)」、「6時間(20.2%)」、「7時間(20.0%)」と続き、実際の就労時間においては「8時間(37.6%)」が最も多い結果です。(グラフ4)

グラフ4
「現在の仕事における悩み・困りごと」(複数回答可)においても、「悩み・困りごとはない(44.0%)が最も多い結果で、現状に対して不満がない状況が見受けられます。2番目には「収入が少ない(23.5%)」があがり、「体力的にきつい(16.3%)」、「就労時間が長い(11.5%)」、「就労日数が多い(8.7%)」が続いています。(グラフ5)

グラフ5
「現実的に希望する年収額」についての質問では、「300万円~400円未満(17.1%)」が一番多い結果となり、「400万円~500万円未満(15.0%)」が続きました。一方、「実際の年収額」については「200万円~300万円未満(20.9%)」が最多で、次いで「300万円~400万円未満(17.6%)」という結果になっています。(グラフ6・7)

グラフ6

グラフ7
最近のシニア世代は活力もあり健康で元気な人が多いです。若い人に比べれば職種も制限がありますし、体力的にも劣るとはいえ、健康年齢の72歳前後までは働こうと考えている人も多いことが調査で浮き彫りになりました。

健康ジャーナルライター
ホリスティック・ ジャーナル