開業を思い立ったら最初にやるべきこと

スタート

エステサロンを開業する方法としては、
・自宅開業
・マンションや一軒家で開業
・店舗(テナント)で開業

と3つパターンが考えられます。この中で、もっとも開業のハードルが低いのは自宅開業。自宅の1室をサロンスペースにするだけなので、新たに物件を借りる場合と比較して、コストも手間もかなり抑えることが可能です。

マンションがいい?店舗がいい?

実際に開業を思い立った時に、上記の選択肢の中でどの形式にしたらいいのか迷うところだと思います。

資金がふんだんにあって、経営にも自信があって、技術者も数名確保できるのであれば、商業施設のテナントでも良いでしょうが、家賃の6カ月~10カ月分が保証金の相場という世界。

おまけに内装費が一番高くつくのもテナントということを考えると、経営初心者にとっては、リスクが高すぎると言えるでしょう。

コストをかけずに開業を考えるならお勧めは自宅サロン。ただし、賃貸にお住まいの方は大家さんの許可が必要になりますのでご注意ください。

お客様に非日常を提供したい、自分の思い通りのサロン展開をしたいと考えるなら、マンションや一軒家がいいでしょう。

ただし、賃貸物件のサロンで気をつけなければいけないのは、大家さんからの許可。不動産屋によると、マンション等で【隠れ家風サロン】と謳っているサロンは、「商業お断りのマンションでこっそり開業しているケース」が多いとのこと。
もし、オーナーにバレたら、即退出です。せっかく軌道にのったところでまた移転となると、費用も時間も無駄になってしまいます。

ですから、賃貸物件で開業を考えている方は、商業利用が許可されている物件を選んだほうがいいと思います。不動産屋の方にきちんと相談して、くれぐれも契約違反にならないように注意しましょう。

最近ではSOHOタイプ(店舗・事務所での使用がOK)の賃貸マンションも増えていますので、以前に比べ、探しやすいと言えるでしょう。

物件の契約は在職中に済ませておく!

いよいよ開業を決意したら、できるだけ在職中に開業に必要な賃貸物件の契約は済ませておきましょう。
融資を受けるにしても、物件がないと話も聞いてもらえません。下手に家賃を惜しんで、ギリギリまで伸ばすと後々面倒なことになってしまいます。

いくらサロンワークに自信があって、お客様を呼べる見込みがあっても【経営者】になるためには、実に煩雑(はんざつ)な手続きとルールが存在するのです。

実務のことを知らずに、会社を辞めてから開業準備をしようとすると、余計な回り道をいっぱいすることになってしまいます。
自宅サロンで、生活の心配をせずにちょっとしたお小遣い稼ぎをしたいという方や、資金がふんだんにあって開業するなら、コトは簡単です。

しかし物件と公的資金を借りての開業となると、最初に知っておけば良かったと思うことが、次から次へと出てきます。些細(ささい)なことかもしれませんが、例え領収書1枚にしても、捨ててはいけないのです。

実務に自信がない人は、開業準備の段階で税理士さんにお願いするのも良いかも知れません。だいたい月15,000円くらいからお願いできます。

会社員で収入証明があると、審査が通りやすい

世間とはシビアなもので、エステティシャンとしてどんなにたくさん資格を取っていようが会社で実績を残していようが、辞めてしまえばただの無職。

日本の社会は無職の人間には、とても厳しいのです。不動産の契約ひとつとっても、無職だと貸してくれません。
物件が借りられなくて、開業を諦めたという人もいるほど世間は厳しいのです!

そもそも、エステティシャンは国家資格ではないので、民間資格をいくら持っていようとも、エステ業界以外では何の格付けもされません。

「私、CIDESCO持っています」
不動産屋「えっ?何ですか、それ」

これが現実。
ですから、現在お勤めで独立を考えている方がいるなら、最低でもサロン物件は在職中に契約を済ませておいた方が賢明です。

ただし、気をつけなければいけないのは、物件探しや契約は、あくまでも休日や終業後などプライベートな時間内で行いましょう。電話連絡も、会社の電話を使ってはいけません。公私混同はくれぐれもしないでくださいね。

都内でサロン開業したオーナーさんの中には、

「有給を利用して退職前にサロン物件探しを開始しました。ついでに、自宅マンションも車も、退職前に購入しました。審査が必要なローン関係はすべて【会社員】のうちに済ませるのが良さそうです。ただし、ローンを払えるかどうか、ちゃんと考えてね」というツワモノも!

確かにサロン開業後1年間は、個人的な銀行やローン、不動産の審査は通らないと考えてください。創業から間もない事業主は社会的信用ゼロです。1年経って決算書を作って、納税して初めて一人前の事業主として見られるのです。

物件選びが終わって、いよいよ契約!

物件が決まり、契約までこぎつけたまでは良かったけど…
連帯保証人が見つからず困ったというケースも案外多いのです。親兄弟は遠く、配偶者もいない、どうしよう!という場合は、【賃貸保証サービス】を受けるというのも手です。

これは諸事情により保証人が立てられない、親が高齢のため保証人になれないといった人たちの連帯保証人を請け負う【賃貸保証サービス】というサービスで、保証委託料(最初の保証金は家賃の一ヵ月分。あとは毎年定額の手数料)はかかりますが、心強い味方です。不動産屋さんで紹介してくれます。

そんなこんなで、物件契約成立。いよいよ開業に向けてスタートダッシュです。

とその前に、【成功する人、失敗する人の違い】をお話しておきたいと思います。

よく「売上ノルマが厳しいから会社を辞めて独立したい」という方がいますが、これは、ちょっと考えものです。

自分が経営者になれば当然生活がかかってきます。自分の生活費も頭に入れた上で、オープンしてからかかる費用も計画し、物件の家賃はいくらまで払えるのか、月の売上はいくら必要か、そのために1回の単価はいくらにすればいいかなどが見えてきます。見方によっては、売上ノルマよりも厳しいかもしれません。

独立後「こんなハズじゃなかった」と経営に疲弊して辞めてしまう方の多くは、この「売上ノルマが厳しいから会社を辞めて独立したい」という理由で開業した方です。

では、どんな人が開業で成功しているのでしょうか?

成功しているサロンオーナーさんには、実は共通点があります。それは何かと言うと

独立は【厳しいから辞める】のではなく【夢を叶える】ためにする!という考え方。

エステティック業界は「新規開業したサロンの内、1年後残っているのは4割」という実に厳しい世界です。失敗しないためにも、開業前に心構えや準備をしっかり整えておきたいものですね。

会社がいい?個人事業がいい?

本格的に、開業をはじめるに当たって、迷うのが個人事業でいくか、法人(会社)にするかでしょう。
そこで、ここでは個人事業と法人の違いをお話していきます。

個人事業で始める場合は、登記や資本金は不要です。

一方、法人の場合はいろいろと手続きがありますが、資本金は1円からでも設立できるのが今の法律。
一概にはいえないのですが、ある程度売り上げがあがってくると、税金面で法人の方が必要経費の範囲が広くなり、節税効果があります。

例えばあなたが1人で会社を起こしたとすると、自分の報酬は「お給料」になるので会社にとっては「経費」になり、税金面で優遇されます。

一方、個人だと経費を除いた利益はそのまま「所得」になるので、所得税がかかってきます。
とはいえ、まだスタートしてない時点で税金の話をされてもピーンと来ない方が多いでしょう。そこで、簡単な質問をします。

次の中から1つでも当てはまるものがあれば、法人化することでメリットがあるかもしれません。逆にすべて当てはまらない人は法人化するメリットはないかもしれません。ぜひ質問に答えてみてくださいね。

あなたは会社と個人、どちらの方がメリットがあるのでしょうか?

【 質 問 】

① ベッドは3台以上を考えている

② 年間の売上高が900万円以上

③ 物件は賃貸

④ 社員を雇いたい

⑤ 個人の所得が400万円超えた

【 答 え 】

①が当てはまった人
フル稼働を考えて、人を雇い入れなければなりません。また、サロンワークに必要な機械をはじめタオルのような細かな物まで法人化することで、給料、備品すべて必要経費にすることができます。

②が当てはまった人
法人化すると消費税が最大2年まで、免税になります。

③が当てはまった人
家賃の100%を法人の必要経費にすることができます。
※自宅で開業だと50%~80%が経費

④が当てはまった人
身内が社員でも法人の場合、お給料をはじめ交通費や通信費などが必要経費になります。

⑤に当てはまった人
法人化することで、給与所得控除を利用して所得税・住民税の節税ができます。

★一つも当てはまらなかった人
個人事業主がおススメです。

資本金がなくても会社設立が簡単にできる時代。まず手軽に始められる個人で開業し、サロンが軌道に乗った段階で会社にする「法人成り」で考えてもいいかもしれません。個人事業のメリットは何といっても開業をはじめるためのルールが簡単。

極端な話、自宅の一室を「今日から、ここがサロンです!」と言えば、開業なのですから。ただし、個人事業でも税務署に「開業届」や「青色申告承認申請書」の届けは出しておいた方が、いいかもしれません。
出さなくてもペナルティはありませんが、出しておいた方が、税金の申告がスムーズになります。

開業届は1か月以内に

個人・法人に関係なく開業したら1か月以内に税務署に「開業届」を出しましょう!
開業する地区もしくは自身の在住地にある税務署で手続きを行います。「開業届」は所得税の申告に関わり、事業の開始等の事実があった日から1ヵ月以内の提出が求められます。遅れないように、早めに手続きしておくと安心です。

開業届の書き方は意外に簡単で、窓口が空いていれば1時間以内に手続きが終わることもあります。手続きに手数料といった費用はかかりません。

開業届の提出後は、エステサロンの名前で銀行口座を作れます。その場合、開業届の控えが必要になりますので、必ず申請時に控えを受け取るようにしましょう。
自宅サロンのように小規模で行う場合には、個人の口座を事業用として利用することも可能です。ただし、個人の収支と一緒になってしまうと確定申告が面倒になってしまうの、できれば事業用とプライベート用を分けておく方がおすすめです。