エステサロンを開業する際、「開業届の提出は必要なのか」「開業届を出さなくても問題はないのか」と疑問に感じる方もいるはずです。
提出する場合の対象や提出のタイミングなど、不明な点も多くあります。
スムーズな開業を目指すためにも、あらゆる点を理解しておく必要があります。
そこで今回は、開業届の基礎的な内容をご紹介するとともに、提出するタイミングやペナルティ、メリットなどをご紹介していきます。
書き方や提出方法についても解説していくので、エステサロン開業に向けて準備を始めようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
エステサロンを開業する際には開業届は必要?
まずは、エステサロンを開業して稼いでいきたいと考えている方に向けて、開業届の概要について解説していきます。
開業届とは
個人事業主として事業をスタートさせたことを税務署に申告するための書類を開業届と言います。
正式には、「個人事業の開業・廃業等届出書」と言い、提出すれば様々なメリットが得られるようになります。
開業届の提出対象者
開業届の提出対象者は、以下に当てはまる場合です。
「事業所得、不動産所得、山林所得いずれかの所得を生じる事業をスタートした時」
エステサロンでの所得は、雑所得や事業所得になります。
年間の収入額が300万円を越え、取引に関する記帳や書類を保存していれば、概ね事業所得として判断される仕組みです。
そのため、上記に当てはまっている場合は開業届を提出しなければいけません。
提出するタイミング
開業届は、「事業をスタートさせた事実があった日から1ヶ月以内」と定められています。
開業日は、個人事業主の判断で決めるため、エステサロンをオープンさせた日や広告を行った日などを定めているケースが多いです。
開業届を提出しない場合のペナルティ
開業届の提出をしなかった場合のペナルティは特にありません。
そのため、1ヶ月以内に提出していないからといって慌てる必要はないので、落ち着いて提出してください。
ただし、公的な支援を受ける時には開業届の提出が必要です。
補助金や助成金の活用を検討している場合には、余裕を持って提出をした方が慌てずに済みます。
開業届を出すメリット
エステサロンをオープンし、開業届を出すことでどんなメリットを得られるのかご紹介していきます。
税法上の優遇措置を受けられる
エステサロンをオープンさせて開業届を提出すれば、青色申告での確定申告が可能です。
年間で65万円もの税制優遇を受けられる他、最大で3年間赤字を繰り越すことも可能です。
優遇を受けるためには、収支計算を翌年の3月15日までに行う必要があるため、期限までに忘れずに確定申告を行う必要があります。
共済に加入できる
開業届を出せば、個人事業主向けの共済に加入できます。
小規模企業共済は、廃業や退職をした際に退職金と同じようにまとまったお金を受け取れるので、退職金代わりとして活用している方もいます。
また、賠償責任保険にも加入できるので、施術中に顧客に対して怪我を負わせてしまった場合、顧客から預かったものを紛失してしまった場合に、その損害を補償してもらえます。
リスク管理のためにも開業届提出は大きなメリットがあります。
屋号名義での口座開設が可能
開業届を提出すれば、屋号名義での口座開設が可能になります。
屋号で口座を開設できれば、プライベートと事業の資金管理が容易になります。
事業の信頼性が上がる点も魅力の1つです。
また、事業用のクレジットカードを発行できるので、経費管理の効率化も目指せます。
助成金や補助金を利用できる
開業届を提出すれば、国や自治体による助成金や補助金の申請資格を得られます。
助成金や補助金を申請する際には、開業届の提出が必要になるため、申請をしたい場合には前もって開業届を出す必要があります。
その結果、「ものづくり補助金」や「小規模事業者持続化補助金」「地域雇用開発助成金」など、様々な制度に申請可能です。
ただし、申請するためには事業計画書の作成や要件を満たす必要もあるため、あらかじめ制度について理解しておく必要があります。
開業届を出す方法
ここからは、エステサロンをオープンする際の開業届を提出する方法を解説していきます。
書き方
まずは、開業届を入手します。
税務署に直接もらいに行く、もしくは国税庁のホームページからダウンロードできます。
書き方は、自分で書く場合とソフトで作成する2種類の方法があります。
主な記入項目は以下の通りです。
◎提出日
◎納税地・住所
◎氏名・生年月日・個人番号
◎職業・屋号
◎届出の区分・所得の種類
◎事業所を新設した日
◎開業に伴う届出書提出の有無
◎事業概要
◎給与などの支払い状況
開業届ソフトを使用して記入する場合は、フォームに回答するだけで簡単に作成できます。
手軽さを求めたいのであれば、活用を検討してみましょう。
必要なもの
開業届を提出する場合に必要になるのは、「開業届」「マイナンバーカード」「本人確認書類」です。
開業届は前述した内容を全て記して提出します。
また、マイナンバーを記載するためナンバーを確認できる書類も必要です。
マイナンバーカードがあれば問題ありませんが、ない場合には通知カードやナンバーが記載されている住民票などを用意してください。
また、本人確認書類も必要です。
マイナンバーカードがあればそれで確認ができますが、ない場合は運転免許証やパスポートなどを用意しておきましょう。
提出方法
開業届の提出方法は、「窓口」「郵送」「e-Tax」の3種類があります。
◎窓口
窓口であれば、管轄の税務署窓口に出向いて提出します。
その場で確認してくれるので、記入漏れがあったとしても直すことが可能です。
ただし、税務署は基本的に平日の8:30~17:00までです。
平日が忙しい場合には提出が難しいですが、「時間外収受箱」を活用すれば休日や夜間でも提出可能です。
青色申告をする場合には、青色申告承認申請書の提出も忘れないようにしてください。
◎郵送
税務署まで出向く時間がない方は郵送でも提出が可能です。
郵送の場合は、開業届の控えを受け取るためにも、返信用封筒を同封しなければいけません。
自分の住所を記載し、切手を貼って開業届と一緒に郵送しましょう。
後日、受理印が押された控えが自宅まで届きます。
◎e-Tax
ネットを活用して開業届を出す方法がe-Taxです。
火曜日から金曜日までは基本的に24時間受け付けており、月曜と土曜、日曜は8:30~24:00の間で利用できます。
自宅にいながら提出ができ、郵送のように切手代も必要ありません。
ただし、利用者識別番号と電子証明書の取得が必要です。
スムーズに申請するためにも、前もって準備しておきましょう。
エステサロンをオープンする際に開業届を提出すれば、税法上の優遇措置を受けられるようになり、共済への加入や屋号での口座開設も可能になります。
メリットが非常に多くありますが、提出する手間があります。
開業前は忙しい期間でもあるため、開業届を後回しにしてしまう方もいますが、そのまま忘れてしまうと優遇措置が受けられなくなってしまいます。
助成金や補助金を活用する場合には、開業届を条件にしているケースもあるため、期限内に申請をするためにも、余裕を持って提出しなければいけません。
スムーズに開業届を出すためにも、今回の記事を参考に開業届の申請を進めてみてください。