エステ開業を検討しているものの、費用面で不安が残るという方も多いでしょう。
どうしても開業時には初期費用が必要であり、用意していた資金が足りない場合、どうすればいいのか悩む方もいます。
このような時に資金調達を支援する制度を利用するのがおすすめです。
この記事では、エステ開業時に受けられる公的支援についてご紹介します。
開業時に受けられる公的支援は?
エステ開業時に利用できる公的支援には、「補助金」と「助成金」があります。
補助金は、国や地方自治体が政策の目標達成のために交付しているもので、原則的に返済不要です。
新規事業や設備投資など事業拡大を目的にしたものに対して支援しています。
支援する金額は、数百万円~数千万円と比較的高額になり、事業費の総額50%~80%程度の補助額となります。
申請受付期間中に申請が必要で、審査後に補助金の対象となった場合に交付される流れです。
ただし、先着順となる場合もあるので申請のタイミングによっては受けられないケースもあります。
高額になりやすい補助金は、支給までに時間がかかることがあります。
一方の助成金は地方自治体や厚生労働省などの管轄で行われ、条件を満たしていれば受給できることが多いです。
主に職場環境の改善、教育など人材育成を目的に活用されるケースが中心です。
申請から半年程度で支給されることが多くなりますが、制度によっては1年程度の時間を要するケースもあります。
補助金、助成金ともに原則として返済の必要はないので、負担なく活用できる点がメリットです。
対象となる補助金は?
エステ開業時に対象となる補助金はあるのでしょうか?
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、全国商工会連合会の補助金制度です。
対象条件は、小規模事業者である、商工会議所管轄地域内で事業を営んでいる、資本金または出資金が5億円以上の法人に直接もしくは間接的に100%の株式を保有されていないこと、確定申告済の直近3年分の課税所得の平均額が15億円以上でないことなどです。
この補助金は、設備投資や広告費などに活用できます。
対象となる経費は、サロン開業時の内装工事、エステ機器購入費、予約管理システムの導入なども該当します。
IT導入補助金
中小企業のデジタル化支援のための制度です。
個人事業主がITツールを導入する際にその一部の費用を国が補助する制度なので、サロンの予約時に必要な予約管理システム、POSレジ、顧客管理などのシステムなどの導入費用にもできます。
補助金は対象費用の50%~75%程度なので、大幅な負担軽減が可能です。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、製品開発や新しいサービスなどの機械設備やシステムを導入する際の支援金に利用できます。
対象経費には、脱毛器、業務用エステ機器などの導入費用に活用できます。
例えば、機械装置の区分では、痩身用キャビテーションの導入費、技術導入費にはインターネット活用のハイブリッドエステ導入費、専門家経費にはセルフエステ導入のためのコンサルティング費などが挙げられます。
補助金対象の経費は、税抜きで単価50万円以上が対象です。
各都道府県の創業者向け補助金(給付金)
各都道府県や市町村でビジネスを始める方向けに支援する補助金制度です。
各市町村などで支援の名称や内容が異なるので、住んでいる市区町村の制度を確認しておきましょう。
東京都国立市では、「国立市起業プランサポート事業補助金」として、市内で起業したい方を対象に補助金制度を設けています。
条件は、国立市が設置した経営相談所となる「くにたちビジネスサポートセンターKuni-Biz」で、起業プランについて相談した人が対象です。
千葉県香取市では、商店街の空き店舗を利用して営業を開始する事業者に対して経費の一部を補助しています。
3ヶ月以上継続して事業に使われていない空き店舗が対象で、商店街で3年以上継続して事業を営む見込みなどがあれば対象となります。
各市区町村で取り組んでいる補助金は、それぞれの条件や対象者が異なるので確認してからにしましょう。
対象となる助成金は?
続いて、対象となる助成金についてみていきましょう。
トライアル雇用助成金
トライアル雇用助成金とは、職業の経験不足などから就職が難しい求職者を対象にして、無期雇用契約へ移行することを前提にして一定期間試行雇用を行う事業者に対して助成します。
ハローワークや民間の職業紹介事業者などに求職申込をしているなどの条件を満たした際に受給できます。
地域雇用開発助成金
雇用機会が不足している地域で、事業所の設置や整備、地域の求職者などの雇い入れを行う際に活用できる助成金です。
地方でエステ開業を行い、地元の人を雇用した際に申請できます。
事業所の設置、整備などの費用、対象労働者の人数に応じて最大で8,000万円が3年間助成されます。
ただし、対象となる地域は特に雇用機会が不足状態の環境に限定されています。
エステ開業する地域が指定地域かどうか確認してから使用する必要があるでしょう。
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は事業主を支援する制度であり、非正規雇用労働者となるパートやアルバイトを正社員に登用する際に活用できます。
パートやアルバイトを正規雇用労働者にした場合、1人あたり57万円~支給されます。
これらの助成金を使用する際には、キャリアアップ計画の作成が必要なので内容を確認しておきましょう。
両立支援等助成金
両立支援等助成金は、介護や子育てと仕事を両立している方を支援するための助成金です。
育児や介護休業、時短勤務制度を導入した場合に支給されます。
支援コースには様々なものがあり、育休中等業務代替支援コースの場合は中小企業の事業主で育児休暇を取得した労働者の業務を代替する周囲の労働者に対する手当の支給などに使用できます。
介護や不妊治療に関する両立支援もあるので、該当する助成金コースを見つけてから申請してください。
エステ開業時に公的支援を受ける時の注意点は?
エステ開業時に該当する内容であれば、補助金や助成金を受けることができますが、注意点もあります。
どのような点に注意すべきでしょうか?
適正な使用が原則となる
エステ開業には多くの資金が必要です。
補助金や助成金があると開業資金の軽減が期待できますが、これらの財源は公的なものであり、適正な使用を原則としています。
例えば給付金を私的に使用したり、虚偽の報告で申請したり、報告義務のある内容変更や期間延長などの報告をしなかったりなどです。
事業報告や業務化状況報告などが未提出では、罰金や懲役などの罰則が科せられる可能性もあるので注意してください。
補助金や助成金は後払い
補助金や助成金に関しては原則後払いです。
そのため、一時的に負担が生じてしまうことを覚えておきましょう。
特に採択日から1年程度で支払われることが多く、忘れた頃に支払われる印象です。
一時的な負担が大きくなる場合は、事前に資金を用意したり借り入れや融資などを検討したりしましょう。
エステ開業時には、開業スタイルによって必要な資金が変わってきます。
自宅をサロンにした場合は50万円程度ですが、物件を借りたりテナントとして入ったりする場合は数百万単位の資金がかかってしまいます。
さらに内装工事や広告費に加えて、人件費もかかるので開業時の資金だけでなく、開業後の運転資金についても用意しておくと安心した経営が可能です。
このような時にありがたいのが補助金や助成金ですが、これらは各市町村によって申請できる内容が異なるケースもあります。
事前にどの費用が補助金や助成金の対象なのか、どの範囲まで申請可能かなどを確認しておくと資金計画を立てやすいです。