業界ニュース

中国独身の日セールで国内美顔器メーカー・ARTISTIC & CO.GLOBALが50億円を売り上げる

独身の日セール

「1」が4つ並ぶ11月11日は、中国では「独身の日」です。
国内の美容機器メーカーARTISTIC & CO.GLOBAL(本社岐阜県羽島市、金松月社長)は2019年よりこの大規模セールに参戦。初年度20億円、昨年が30億円、そして今年は50億円を売り上げました。

独身の日セール

「独身の日セール」は中国の通販最大手「アリババ」が主催する大イベントで、昨年(2020年)はコロナ禍にも関わらず、9兆円に迫る売り上げを記録した大規模セールです。

同社が中国に売り出す主力の美顔器は一台20万円ほどの高額商品です。
新型コロナの影響で、日本へ来る外国人旅行者が激減したため、昨年(2020年)の同社の国内での売り上げは伸び悩んだものの、昨年の「独身の日セール」では、開催期間半月ほどでなんと30億円の売り上げを達成しています。

今年の開催前に同社の金松月社長は「コロナ禍いうことで、海外の経済も良くないところはあります。しかし市場がないわけではないですし、この期間中にお金以上の価値を絶対提供できる自信もありますの。今年は50億という高い目標を設定しています」と語っていました。

『爆買い』異変…カウントダウンなし

しかし一方、今年の「独身の日セール」には、例年に比べ異変がありました。
一日2000億円以上売り上げたことがある、中国のトップインフルエンサーが「理性的に消費して楽しく買い物をすることを呼び掛けたい」とまるで『爆買い』をいさめるかのような発言をしました。とても影響力のあるトップインフルエンサーの言葉に上海市民からも「私は理性的な消費が必要だと思います。必要なものだけ買います」との声が上がるなど例年よりも購入意識に変化が生じました。

爆買い

また本来ならば大規模なカウントダウンイベントを開き爆買いへ導く手法を取っていた主催者であるアリババが「環境への配慮」を理由に大規模なイベントなどを行いませんでした。

その背景にあるのが、中国政府による厳しい姿勢があるようです。
貧困格差をなくすことを目的とした「共同富裕」の方針のもと、今年4月には、アリババに巨額の損害賠償を請求するなど、巨大IT企業への規制を強化。その影響で、IT企業側は消費をあおる手法が取りづらくなってきているようです。

中国高齢者市場「シニア経済」に注目

それでは逆風と言える状況なのかといえばそうでもないようです。そこには全く別の追い風もあります。手作りの品や地元の食品をライブ配信で販売するシニアが中国全土で増えてきている様相が伺えました。

それを支えるのが60歳以上の高齢者による消費で、今年は100兆円を超える見通しとのことです。
需要と供給にまだまだ大きな可能性を秘める中国高齢者市場は「シニア経済」として今、注目を浴びています。今後の中国へのビジネス展開を図る上では中国シニア市場は無視できないようです。

シニア

同社が販売する美顔器は年齢問わず利用者が多いです。
「独身の日セール」とネーミングから若い人向けのイメージが強いですが、美容は老若男女問わず永遠のテーマです。その観点からも逆風に押されることなく、むしろ追い風だったのかもしれません。

執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


Related articles