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機能性表示食品の健全な発展が日本の健康長寿社会に貢献!

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2021年12月17日、「第5回学術フォーラム」(会長:山岸昌一教授:昭和大学医学部内科学講座糖尿病・代謝・内分泌内科学部門)が脳心血管抗加齢研究会2021(第17回学術集会)との共催で行われた。

今回のテーマは「食と運動のアンチエイジング」。昨年の第4回は完全WEBでの開催だったが、今回は梅田スカイホール(大阪)とWEBライブ配信のハイブリッド形式での開催となった。

ハイブリッド開催の学術フォーラムの様子

「学術フォーラム」は日本抗加齢協会が、企業とアカデミアから研究者が一堂に会して新しいアイデアと研究成果を発表し合い意見交換の場を設けることによって健康長寿社会の実現に向けての具体策を検討するとともに、新たなビジネスチャンスの創出も視野に毎年12月に開催している。

加藤勝信元官房長官

午後からは山岸昌一教授(昭和大学)と森下竜一教授(大阪大学)を座長に迎え「食と免疫」と題してのセッションが行われた。

このセッションの冒頭では加藤勝信元官房長官からのビデオメッセージが紹介され、「人生100年時代の基盤は何といっても健康です。健康で社会に参加でき続けられるかどうかが幸せの質を大きく左右します。誰もがより長く活躍できる社会の実現が急務です。私が制度設計に係わった機能性表示食品は、食品の機能性をわかりやすく表示することで消費者の皆さんが商品の正しい情報を選択できるよう制度化されたものです。2015年の制度創設以来届け出数が年々増えており順調に発展しており、これからはますます、制度の信頼性や安全性も同時に問われていきます。機能性表示食品制度が健全に発展していくことで、国民の健康増進につながっていきます」と述べた。

pDCへの特異的な機能を追研究!~プラズマ乳酸菌~

機能性表示食品の唯一の免疫表示として受理された「プラズマ乳酸菌」を有するキリンホールディングスからは、ヘルスサイエンス事業部の藤原大介部長が「免疫機能の対するプラズマ乳酸菌の研究開発」と題して講演を行った。

藤原氏は「プラズマ乳酸菌の研究開発は、2008年ごろから始めていた。当時からグローバルに人と物が飛び回る時代になっており、ウイルスの感染リスクも増えていくだろうとの予想の元にいろいろなウイルスに対して簡便に自然免疫を高める手段を研究していた」と当時の研究コンセプトを振り返り、「その中で、抗原提示やIFN-γを介して下流の免疫細胞に指示をするプラズマサイトイド樹状細胞(pDC)に絞って研究を行った。具体的なターゲットとして乳酸菌をあげ、125の菌株からスクリーニングの結果『L.lactis JCM 5805』(プラズマ乳酸菌)にたどり着いた」と述べた。

また、生菌でも死菌でも活性本体のDNAが保持されている限り機能性は発揮することもわかっており、現在もpDCに対するプラズマ乳酸菌の特異的な機能に関しての研究は続けられている。

目立つ届出書類のイージーミス~消費者庁~

一方、消費者庁表示対策課食品表示対策室の森田剛史室長は制度全般の概略や事後チェック指針の説明を行ったうえで届出書類にも言及。「統計は取ってはいないが、今でも半分以上はイージーミス。事前確認を適切にできる団体ということで日本抗加齢協会と日本健康・栄養食品協会が公表されており、ここの事前確認を受ければ通常50日で判断するものが30日に短縮される」と説明した。

さらに、座長からの「事前確認を受けた届出は実際見やすくなっているか?」との質問に対しては、「かなり見やすくなっていると思う。一方で特に初めて届出をする企業には、どう見たらいいのかさえ迷う届出もある」と答えた。

一方で、日本抗加齢協会の細山浩事務局長は本年9月に公表した「免疫関係の機能性表示の科学的根拠に関する考え方について」に言及し、「免疫機能の受理件数が伸びず、事業者も何をクリアーしていいのかが不透明なために、消費者庁をオブザーバーに迎えて免疫を専門とするアカデミアの先生方で検討会を行った結果を公表した」と述べ、「あくまでも機能性関与成分が免疫システムに対して総合的に機能していることを科学的かつ合理的に説明することが重要」と述べた。

執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


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