2022年12月12日、「薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会 新開発食品調査部会」(曽根博仁部会長=新潟大学大学院医歯学総合研究科教授)がWEBにて開催され、成分名や製品名などを伏せて健康被害情報を公表することで合意されました。
特定するのが困難な因果関係を分析するために、事例を幅広く集積する必要があることから、情報収集を優先させて健康被害の新たな未然防止策に取り組むことになります。
今回は、健康食品との関連が疑われる健康被害情報の公表範囲を指定成分等含有食品以外にも広げること、健康食品のリスク管理の全体像を見直すとともに、健康被害情報の報告について規定した平成14年通知(健康食品・無承認無許可医薬品健康被害防止対応要領)の見直しや運用に向けた議論を継続することとしています。
厚労省はもともと、健康被害と疑われる情報について、その製品に配合されている主要な成分名や商品名も含めて公表することを検討していました。しかし、因果関係が明らかではない原因不明の被害情報を、商品名や成分名も含めて公表する場合に、重大な風評被害が引き起こされたり、消費者が誤認したりするおそれがあるとして、水面下で業界団体などから反発があり、調整が行われていました。
また、公表を検討していた、2020年6月から2021年12月に集積された健康被害情報「14事例」について厚労省は、「現時点では緊急の対応が必要な状況ではない」として、商品名や成分名は伏せて、同一の番号を割り当て、これによって、健康被害情報が繰り返し寄せられる製品や成分を番号で判別できるようにします。その一方で、主な症状や因果関係に関する有識者の見解などは公表していきます。同じ種類の被害が出てきた場合の対応として、食品衛生法に基づく注意喚起を含めた緊急措置や改正食品衛生で新設された食品の指定成分とすることも視野に検討を進めるとしています。
指定成分等含有食品以外の健康食品に関して健康被害情報の報告義務はありません。さらに因果関係が分からない中では情報を上げづらいといった指摘もあります。海外には同様の仕組みが見つからないことから、今後は実効性のある情報収集の仕組みのゼロからの構築が求められています。
健康ジャーナルライター
ホリスティック・ ジャーナル