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トクホ制度の見直しを中心とした要望書を消費者庁に提出~日健栄協~

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2022年4月8日、公益財団法人 日本健康・栄養食品協会はメディア懇談会を開催し、あいさつに続いて矢島鉄也理事長は、3月11日に消費者庁の伊藤明子長官へ提出した「要望書」の中身について解説、特定保健用食品(トクホ)制度が発足して30年が経ち、社会環境も大きく様変わりした現代では「ニュートクホ」、「新生トクホ」ともいわれる新しい制度へのステップアップが望まれるとしてトクホ制度の刷新を訴えました。

まずは、許可・認証制と届出制の違いが消費者に分かりづらいことやレベルに応じた表示が必要であるにもかかわらず、トクホと機能性表示食品の「機能性表示表現」が逆転しているケースがあることなどから「トクホと機能性表示食品の位置付けの明確化」を要望。
消費者目線でトクホと機能性表示食品の違いが分かりやすい表現を導入することが喫緊の課題であり、例えば、トクホは機能性表示食品と差別化できる表示を新たに導入するなど、機能性表示食品との違いが明確に消費者に伝わるような表現にしていただきたいとしています。

例えば、生活習慣病に関する保健の用途(血糖、血圧、コレステロール、中性脂肪、体脂肪、内臓脂肪)に関して、既許可表示及び新規申請時に「公知の事実」を定型文として追加することや、その際に各診療ガイドライン等に基づいた受診勧奨の表示を併記すること」として、具体的には許可表示が「本品は△△(関与成分)を含むので、血圧が高めの方に適した食品です」とある場合に、公知の事実として「120/80mmHgを超えた血圧は脳心血管病のリスクが高くなります」といった定型文や「140/90mmHg以上の方は医療機関への受診をお勧めします」といった受診勧奨の追加をあげています。

機能性表示食品がトクホへステップアップできる仕組みの構築を要望

また、機能性表示食品における容器包装や広告での言い切り表現については「機能性表示食品では、特定保健用食品として許可された商品よりも効果が高いかのような訴求内容になっている例がある」として、トクホの表現との整合性を図ることや、トクホと同じ成分、同じ機能性を謳っている機能性表示食品は、データ蓄積などにより質の向上を図ったうえでトクホへの移行を可能とし機能性表示食品がトクホへステップアップできる仕組みの構築を可能にすること、さらに、トクホ審査基準の明確化と透明化や既許可トクホのヒト試験結果を統合レビュー又はメタ解析し、その結果を有効性の根拠としたトクホ(規格基準型)の仕組みを新たに構築するなど、トクホ製品の多様化と迅速な上市のための規格基準型の適用拡大も要請に含まれます。

一方、機能性表示食品届出の迅速化と質の向上も要請しており、「認められた民間団体が事前確認した届出は、消費者庁において改めての届出確認を不要とし、それ以外の届出については消費者庁が対応すること」や「カテゴリーごとに、ヘルスクレームの表現の仕方を国が決めることを要請、それにより事業者の予見性と届出の迅速化に寄与するとしています。

さらに、いわゆる健康食品に関しては、様々なレベルの製品・素材が存在して製品の品質に問題のある場合が見うけられるため、健康の維持・増進を訴求した食品全体としての第三者による認証の活用を行政としても推奨することが必要であるとして、「GMP、JHFAマークなどの消費者への認知度向上への支援」、「消費者が判断し選択するための情報を提供し自ら考える消費者を育てる活動への支援」なども要望に組み込まれています。

機能性表示食品 届出0日受理への動きも


矢島理事長は、2022年度の事業方針についても説明。消費者庁が目指している公正公平な機能性表示食品の事前届出制度について、「認証されるように体制強化を図る」と述べました。

消費者庁は3月2日、「機能性表示食品の届出事前確認に関する連絡協議会の開催について」として、事前確認制度の構築に向けて(公財)日本健康・栄養食品協会、(公社)日本通信販売協会、(特非)日本抗加齢協会、(一社)健康食品産業協議会の4団体と連絡協議会を発足すると発表しています。「届出確認期間0日」を目指し、関係団体の体制整備を図り、「夏ごろを目途に、実施に当たって必要となる体制や実務的な手順書等の案を取りまとめ、一定の試行期間を経て、翌年度中を目途に仕組みの運用開始を目指す」としています。

日健栄協と日本抗加齢協会の2団体は、昨年8月に事前確認を行う団体として指定されていましたが、今回は「公平性・公正性、信頼性・専門性、継続性、制度発展への寄与を担保できる先を指定する」として、改めて事前確認を行うことのできる団体が認定される予定。
複数の団体が個別に事前確認を行っても、複数の団体が受け皿となって1機関が行うことも可能となっています。

執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


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