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家事は手伝うものなのか? 共働きの6割がパートナーに不満もつ


夫婦共に仕事に時間を取られる家庭では家事分担の実態はどうなっているのでしょうか。リンナイ(本社愛知県名古屋市)は、知的家事プロデューサーの本間朝子先生の監修のもと、共働き夫婦の男女1,000人を対象に、家事分担に関する意識調査を実施し、その結果を公表しました。

監修者・本間朝子先生プロフィール
知的家事プロデューサー。自分自身が仕事と家事の両立に苦しんだ経験から、家事の効率化役立つメソッド「知的家事」考案し、メディア講演等を通じて提案している。雑誌、ラジオ・TV出演、講演多数。著書に『写真で分かる!家事の手間を 9 割減らせる部屋づくり』(青春出版社)、『ムダ家事が消える生活』(サンクチュアリ出版)、『ゼロ家事』(大和書房)、『60 歳からの疲れない家事』(青春出版社)他、多数。

はじめに調査対象者に、家事分担の割合を聞いていますが、その結果、最も多い回答は「妻7割・夫3割(18.4%)」でした。妻6割以上と回答した割合は、男性が7割(65%)、女性が8割(80%)でした。
また、家事に費やす1日当たりの時間は、女性の半数が2時間以上(「2~3 時間未満(29%)」・「3時間以上(25%)」という結果になっています。(表1)

表1

(本間先生コメント)
共働きをしていても、家事の負担は依然として女性に偏っています。男性と同じように働き、同じように暮らしているにもかかわらず、女性の方が圧倒的に家事をしていることから、「家事分担」の意識は広まっているものの、実際の行動には結びついていない様子が伺えます。費用をかけずに家事の負担を軽減する方法として、家事の分担はとても効果的ですが、その運用にはまだ大きな課題があるようです。

次にパートナーの家事に不満があるかを聞いた質問では、回答者の6割(59%)、男女別では女性の7割(72%)が不満を抱えていました。最も多い不満の内容は、女性の回答が「家事を『手伝うもの』と思っていること(43%)」、男性の回答が「時間があるのにやろうとしないこと、やり方が気に入らない・雑なこと(どちらも34%)」という結果でした。(表2)

表2

(本間先生コメント)
妻が不満を感じる大きな理由の一つに夫の当事者意識の薄さがあります。妻は、夫に指示を待つ「お手伝い」ではなく、自発的に動く「当事者」になってほしいと思っています。例えば、妻が家事をしている間に夫が自由に過ごしていると、妻は不満を感じます。しかし、夫が自ら家事をする姿勢を見せることで、妻のストレスは軽減されます。また、夫に当事者意識を持ってもらうためには、細々とした家事を任せるのではなく、ある程度広範囲の家事を一任するのが効果的です。「夫に任せるより自分でやった方が早い」と思わず、締切時間や完成形など重要なことだけを伝えてあとは任せることで、夫が責任感と当事者意識を持ちやすくなります。

普段から行っている家事については、男女差が最も大きい家事は「献立を考える(男性31%、女性85%)」、反対に小さい家事は「回収場所までゴミを出す(男性・女性60%)」でした。(表3)

表3

(本間先生コメント)
家事は細かく分類すると100項目ほどに及びますが、その中には「隠れ家事」と呼ばれる、細々としていて認識されにくい家事が多く含まれています。男女差が大きい「献立を考える」は、代表的な隠れ家事と呼べるのではないでしょうか。隠れ家事は、気がついた人が行うことが多いですが、夫よりも家事の割合が多い妻の方が見つけやすいため、結果的に妻の負担が増えることになります。これを防ぐためには、隠れ家事を夫のいない所でやってしまわずに、声をかけてから行ったり、隠れ家事を含めて家事の分担を話し合ったりすることが重要です。

普段面倒や負担に感じる家事と、パートナーにしてほしい家事を聞いた結果では、最も多い回答は、面倒や負担に感じる家事が、男性「食器を洗う(29%)」、女性「食事をつくる(51%)」、パートナーにしてほしい家事が男性「食事をつくる(49%)」、女性「風呂を掃除する(50%)」でした。(表4)

表4

そこで回答者が普段からしていて、パートナーにもしてほしい家事を集計した結果、最も多い回答は、男性が「食事をつくる(48%)」、女性が「回収場所までゴミを出す(56%)」という結果になっています。(表5)

表5

(本間先生コメント)
男性の「面倒・負担に感じる家事」と、女性の「パートナーにしてほしい家事」の1位が一致しています。本来、妻は自分が負担に感じる家事を夫にしてほしいはずですが、そうではないのは、夫の知識やスキル不足を考慮して、夫が慣れている、または問題なくできる家事を選んでいる可能性があります。その方が、やり方を教えたり、失敗をフォローしたりする手間が少なくなると考えられるからです。
自身が普段からしている家事に限定した「パートナーにもしてほしい家事」の場合、結果はどうなるでしょうか。女性は食事作りを最も負担に感じていましたが、パートナーにはゴミ出しや風呂掃除、食器洗いをしてほしいと答えています。料理は献立や調理法が毎回異なるため、掃除や洗濯と比べてルーチン化しづらい難易度の高い家事です。さらに、食事の内容は家族の健康や美容にも影響するため、一定のクオリティを保つ必要があります。そのため、妻は分担しづらい難しい家事は自分が行い、比較的簡単な家事を夫の担当にしようとしている可能性があります。しかし、家事の難易度の高さが分担の壁になっているため、クオリティをある程度維持しつつ料理の難易度を下げる方法を見つける必要があります。例えば、半加工品や総菜を組み合わせたり、自動調理できる家電を活用したりするのが効果的です。また、曜日ごとに献立を決めてルーチン化するのも良いでしょう。
執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


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