総合マーケティングビジネスの富士経済は、新型コロナの5類移行に伴う外出機会の増加や、訪日客の増加に伴うインバウンド需要の回復により、需要が高まっている化粧品の国内市場を調査し、その結果を公表しました。この調査では7カテゴリー42品目の国内化粧品市場を、価格帯別やチャネル別に動向を分析しています。また、消費者アンケートでは肌悩みの変化や訴求成分の認知度、韓国コスメの購入実態などを捉えています。
2022年は、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い全国的にまん延防止等重点措置が発出され、行動制限が3月まで続いたものの、徐々に消費者の外出機会が回復したことから市場は拡大しました。2023年は、新型コロナの5類移行に伴いマスクの着用が個人判断になったことや、行動制限が解除されたことなどによる消費者の外出機会増加、さらには水際対策の緩和により訪日客が増加し、インバウンド需要が回復に向かっていることから、市場は前年比3.3％増の3兆276億円と予測されています。（表１）
表1
個人向け市販用の価格帯別をみてみますと、高価格帯の2022年は、行動制限が解除され外出機会が増えたことからメイクアップの需要が増加し、改めて自分自身に合うファンデーションやリップカラーを見直したいといったニーズが高まったことから、百貨店などのカウンセリングチャネルが好調となっています。2023年は、新型コロナの5類移行に伴いマスクを外す機会が増え、メイクアップ需要の回復が加速しています。スキンケア意識も高まっており、プレステージブランドの需要が増加。また、ヘアケアでは新興セルフブランドの「夜間美容」といったコンセプトが受け入れられており、市場は拡大するとみられます。
中価格帯の2022年は、消費者の嗜好が二極化したことで他価格帯へ需要がシフトしたことから、スキンケアが減少し、メイクアップは市場環境が回復したものの小幅な伸びに留まっています。また、ヘアケア・ヘアメイクはメーカー・小売が高価格帯ブランドへの注力度を高めたことから低迷し、市場は微減となりました。2023年は、メイクアップの使用機会が増加していることからマス向けカウンセリングブランドが、プロモーションの強化により需要獲得を図っているほか、スキンケアでも外資系プレステージブランドユーザーの一部が、景況悪化や価格改定を受け、高価格帯から中価格帯へシフトする動きがみられることから、市場は拡大に転じると予測されています。
低価格帯の2022年は、メンズコスメティックスやヘアケア・ヘアメイクでは、コロナ禍における消費者の美容意識の高まりから、付加価値品が多く展開される中・高価格帯への需要シフトがみられたものの、外出機会の増加からマスクを外す機会が増え、ポイントメイクやベースメイクなどは使用機会が増加したことにより好調に推移しています。また、ボディケアのリップクリームでは、カラーリップの需要が高まるなどのプラス要因がみられ市場は拡大。2023年は、マスクの着用が個人の判断に委ねられたため、メイクアップの使用機会が増加していることから、ポイントメイクやベースメイクの使用頻度が高まるほか、インバウンド需要も期待され、市場は引き続き拡大が予想されます。
業務用の2022年は、新型コロナの流行により消費者がヘアサロンなどへの来店を控えていた状況から回復がみられ、アイテム面でもハイトーンカラーやダブルカラーがトレンドとなり、黒髪用ヘアカラーが好調となったほか、ヘア カラーのダメージ軽減のために、メニュートリートメントも需要が増加したことから市場は拡大しています。2023年は、景況悪化の影響からヘアサロンの来店頻度を落とす消費者がみられるものの、「髪質改善」などのメニュートリートメントの強化により、単価アップがみられるほか、ヘアカラーもハイトーンヘアのトレンドに合わせた色の追加など、アイテム投入が活発に行われたことで、市場は拡大傾向の様相といえます。（表２）
表2
訴求成分に関する消費者アンケートでは、「ヒアルロン酸」、「コラーゲン」、「セラミド」は6割以上が認知されており認知度が高いことが明らかになりました。 また、韓国ブランドで話題となった「シカ」は3割が認知しています。（表３）
表3
韓国コスメの購入に関しては、全体でみると、「購入したことはない」の割合が約6割を占め、「購入したことがある」を上回る結果となっています。年代別では、20代は6割以上が「購入したことがある」と突出しており、年代が上がるにつれて「購入したことがある」の割合は低下していく傾向となっています。（表４）
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健康ジャーナルライター
ホリスティック・ ジャーナル
