人口減少による市場の縮小に対応しようと、今、各業界がα世代に熱い視線を注いでいます。α世代2010年から2024年頃にかけて生まれた、Z世代に続く新しい世代のことです。生まれたときからスマートフォンやタブレット、Wi-Fi環境が身近にあり、幼少期からAIやSNS、オンラインゲームに親しんで育っています。売り上げ創出だけでなく、幼少期からの接点づくりを通じて将来のブランド選好につなげる狙いがありますが、ヘルスケア業界には、それだけにとどまらない背景があるのです。親世代の健康意識の高まりと、生活環境の変化に伴う子どもの健康課題の顕在化です。近年はさらに、親子ともに子ども向け化粧品への関心が広がっており、美容領域での事業展開も相次いでいる傾向が見られます。
日本人の出生数は1974年以降、一時的に増加に転じた年はあるものの、減少傾向が続いています。2016年以降は急減期というべき減少ペースが続き、2024年には68万6千人と、統計開始以来初めて70万人を下回りました。1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率も2024年に1.15と過去最低を記録し、東京都では0.96と2年連続で1.0を下回っています。婚姻数の減少傾向も続いており、出生数の回復は容易ではありません。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、0~14歳人口は25年の約1363万人から2050年には約1041万人へと約24%減少する見込みです。(グラフ参照)

出生率推移グラフ
少子化の進行により、子ども1人に対する支出が集中する傾向も強まっています。長期的に見ていきますと変化はより顕著です。子ども(0〜18歳)の人口は1970年の約3188万人から2017年には約2034万人へと減少した一方、子ども1人当たりの年間教育費は同期間に約2万4千円から約37万1千円へと約16倍に増加しています。民間調査では「子どもにお金を惜しまない」と回答する母親が8割超にも上り、少子化が進むほど子ども1人への投資が集中する構造が鮮明になっています。
サンスターが子育て世代を対象に実施した調査でも、子どもへの健康投資をいとわない親の姿が明らかになっています。0~6歳の子どもを持つ父母千人の約7割が「子どもの将来の健康のためなら、できる限りお金や時間をかけたり、さまざまな方法を試してあげたい」と回答しています。(グラフ1)
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グラフ1
親は具体的に、どのような健康づくりに投資したいと考えているのでしょうか。明治が行なった「子供の感染と免疫力に関する意識調査2025」では、子どもの将来のために投資したいことの回答として、食事や口腔ケア、運動など身体面のケアが上位を占める一方、自己肯定感など心のケアへの関心も高く、心身一体でのケアを重視する意識が浮かび上がっています。(グラフ2・3・4)
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グラフ2
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グラフ3
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グラフ4
子どもヘルスケア市場で起きているのは、単純な対象年齢の拡大ではありません。事業機会は、従来の「病気や不調に対応する」という発想から、日常生活の中で健康をつくる「健康習慣形成」へと広がっており、新たな商品・サービス需要が生まれ始めています。ただし、大人向けの商品・サービスをそのまま子ども向けに転用すればよいわけではありません。年齢や発達段階に応じた安全性や適切性を担保した上で、「子ども自身が続けたくなること」と「親が安心して選べること」の両立が重要になってくるのです。

健康ジャーナルライター
ホリスティック・ ジャーナル
