『胎児と授乳中に必要なオイルのお話』が伝える、新しい妊活の常識
「妊活」と聞くと、多くの人は妊娠を目指すタイミングから始まるものだと考えるかもしれません。しかし、本当に大切なのは、そのもっと前――毎日の食事や栄養状態です。
近年、胎児の発育や子どもの将来の健康は、母親が妊娠中に何を食べ、どのような栄養状態で過ごしたかが大きく影響することが、エピジェネティクス(後成遺伝学)などの研究によって明らかになってきました。
本書『胎児と授乳中に必要なオイルのお話』は、その最新知見をわかりやすくまとめ、「脳を育てる栄養」という視点から妊活を見直した一冊です。
著者は、一般社団法人クリルオイル振興協会代表理事であり、臨床心理学博士の松山夕稀己氏。30年以上にわたり予防医学や栄養療法、妊活支援に携わり、国内外で数多くの女性をサポートしてきました。
その経験と最新の研究成果をもとに、「命の始まりは栄養から」というメッセージを伝えています。

本書の大きな特徴は、「赤ちゃんの脳づくりは妊娠4週には始まっている」という事実を、科学的根拠とともに解説している点です。妊娠に気づく頃には、脳や脊髄のもととなる神経管の形成が進んでいます。だからこそ、妊娠が分かってから栄養を考えるのでは遅い場合もあると著者は指摘します。妊活中から葉酸やDHA、EPA、コリンなどの栄養素を意識して摂取する重要性を丁寧に説明しています。
その中心となる栄養素材が「クリルオイル」です。
クリルオイルは、南極海に生息するオキアミから抽出されるオイルで、DHAやEPAだけでなく、リン脂質、アスタキサンチン、コリン、ビタミンDなどを天然の状態で含んでいます。
本書では、一般的な魚油との違いについても詳しく紹介されています。特に注目したいのは、クリルオイルのオメガ3がリン脂質型で存在するため、細胞への吸収効率が高いとされている点です。単に「オメガ3を摂ればよい」という話ではなく、「どのような形で摂るか」まで踏み込んで解説されています。

また、本書は女性だけに向けた内容ではありません。
不妊原因の約半数は男性側にも関係するとされる現在、精子の質や運動率にもDHAやEPA、抗酸化成分が深く関わることから、「妊活は夫婦二人で取り組むもの」という考え方を提案しています。男性の栄養状態についても一章を割いて解説している点は、多くの妊活本にはない特徴といえるでしょう。
さらに、妊娠だけではなく、PMS(月経前症候群)や産後うつについても栄養学の視点からアプローチしています。女性は毎月の月経でDHAやEPAを消耗すること、妊娠・授乳期には胎児へ大量の栄養が供給されることで母体が不足しやすくなることなど、女性のライフステージ全体を通して「脳の栄養」を考える構成になっています。感情の浮き沈みや気分の落ち込みを、精神論ではなく栄養状態から見直す視点は、多くの女性にとって新しい発見となるでしょう。
本書には、実際に妊活に取り組んだ夫婦の体験談や、毎日の生活に取り入れやすい食事法、サプリメントの選び方、継続するための工夫も紹介されています。専門書でありながら読みやすく、医療従事者はもちろん、妊娠を希望する女性やその家族にも理解しやすい内容です。
少子化が進む日本では、不妊治療や妊活への関心が年々高まっています。一方で、「妊娠すること」だけでなく、「生まれてくる子どもの健やかな成長」を見据えた栄養教育は、まだ十分に浸透しているとは言えません。
『胎児と授乳中に必要なオイルのお話』は、「命を授かる前から、未来の健康づくりは始まっている」という新しい視点を、多くのエビデンスとともに示してくれる一冊です。妊活中の方はもちろん、医療・美容・健康分野に携わる専門家にとっても、栄養学の新たな可能性を考えるきっかけとなるでしょう。
著者:一般社団法人クリルオイル振興協会代表理事 臨床心理学博士 松山 夕稀己
AmazonKindle書籍 七星出版ブックスより


健康ジャーナルライター
ホリスティック・ ジャーナル
