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次に来るオメガ3はクリルオイル


2031年までに市場は23兆円を超える!?

新型コロナパンデミックを機に、健康食品の需要は世界規模で高まりを見せている。なかでも成長著しいのがクリルオイルだ。世界のクリルオイルサプリメント市場は、2023年に8億3,411万米ドルに達し、2031年には1兆4,765億8,000万米ドルに達し、予測期間2024〜2031年にCAGR 7.4%で成長すると予測されている。数ある健康素材の中でなぜクリルオイルが突出して注目されていりのかを専門家に意見を伺いながら、検証してみた。

厳しい環境と澄んだ空気汚染の少ない南極海で育まれたオキアミ


南極海に生息するナンキョクオキアミというエビのような甲殻類から抽出した栄養素がクリルオイル。オキアミそのものは世界中の海に存在しているが、南極海にのみ生息するのが、ナンキョクオキアミと呼ばれているのだ。
ナンキョクオキアミは南極周辺の海氷による低温海域で育つ微細海藻を餌としおり、これら海藻には豊富なオメガ3脂肪酸が含まれている。
さらに南極の海藻類は強力な抗酸化力で知られるアスタキサンチンを合成する能力も有しているのだ。
このように豊富なオメガ3脂肪酸、アスタキサンチンを食べて育ったナンキョクオキアミから抽出されているクリルオイルだからこそ、他のフィッシュオイルと比べ栄養価が高いと言われているのだ。
かつて「魚は健康に良い食材」と言われてきた。だが、近年では魚を食べることで「海洋汚染による健康リスク」が懸念されている。
その点においても南極の汚染濃度は他の海洋と比べ非常に低いレベルであることもまた、市場の成長への追い風になっているに違いない。

水に溶け、酸化しづらいリン脂質結合型オメガ3脂肪酸


南極海で育まれたクリルオイルには、オメガ3脂肪酸のエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸が豊富に含まれている。
さらに言うとクリルオイルのオメガ3脂肪酸の大部分はリン脂質結合型という特殊な形態を持っている。
通常の青魚の魚油に含まれるDHA・EPAは「トリグリセライド型」と呼ばれ、酸化しやすいというデメリットがある。
しかし、クリルオイルに含まれるオメガ3脂肪酸は「リン脂質型」と呼ばれ、油でありながら水に溶けやすいという特性を持っている。
そのため、素早く溶けることで体内への吸収率も高い。このことから、リン脂質結合型オメガ3脂肪酸は体内に取り込むにあたり、もっとも望ましい形態であると言われている。
さらにクリルオイルには青魚にはないアスタキサンチンも含まれているため、酸化しづらいという特長も見られる、
水に溶けやすいため吸収率が非常に高くかつ酸化しづらいクリルオイルは、健康増進目的で摂るのにより理想的な栄養素ではないだろうか。

米国では心疾患予防のためにオメガ3脂肪酸の摂取を推奨


「Dietary Guidelines for Americans, 2010(アメリカ人のための食生活の指針、2010)」(英語PDF)は、海産物からオメガ3脂肪酸などの種々の栄養素を得られるため、成人は週に8オンス(約224g)以上の種々の海産物を取ることを新たに推奨している。
というのも、米国では冠動脈性心疾患が死因の第3位で、国民病とも言える心疾患の予防は近々に解決すべき課題とされているからだ。
そのため、食事と心疾患に関する研究は早くから成されており、その結果週に一回以上海産物(魚、甲殻類)を食べる人は、極稀にしか食べないあるいは全く食べない人と比較して心疾患が原因で死亡する可能性が低いことがわかった。
さらに心疾患だけでなく、2012年の科学論文のレビューでは、海産物や魚油に含まれるオメガ3脂肪酸であるEPAやDHAが関節リウマチの症状を緩和するのに、ある程度有効と考えられると結論づけている。

オメガ3だけではないクリルオイルの魅力食品としてもっと当たり前に摂りたい

健康維持や疾病予防に有用性の高いオメガ3脂肪酸だが、残念なことにヒトの体内で作ることが出来ない栄養素でもある。だからこそ、海産物を積極的に摂りたいところだが、昨今の海洋汚染を考えると悩ましい。
こうした懸念が、米国をはじめ世界各国でサプリメントとしてのクリルオイルニーズが高まっている。
このように先進国ではクリルオイルは注目されているが、日本ではまだまだ認知が足りていない。クリルオイルはオメガ3脂肪酸だけではない魅力に溢れている。ここでクリルオイルだけが持つ特長を、あらためて上げてみよう。
日本には食べて病気を治す「医食同源」という言葉があるが、クリルオイルはまさに医食同源だ。
長年、食と健康に関する研究を行っている矢澤一良氏もまたクリルオイルの可能性について次のように語っている。
「食による未病対策と予防医療は超高齢化社会の日本において喫緊の課題。現在、心身疾患の起因が酸化・炎症・糖化にあることがわかっています。
クリルオイルにはこれら酸化・炎症・糖化に優れた効果を発揮することがわかってきました。
現時点ではサプリメントや医療として注目を集めていますが、誰もが安心して摂れる栄養素であることから、健康的なライフスタイルに欠かせないオイルとして日常的に食卓に上ることが理想です」。

フィッシュオイルとの違い

クリルオイルは新型DHA・EPAに加え、様々な有効成分を含むオールインワン

クリルオイルだけが持つ特長
●オメガ3脂肪酸のDHA・EPAが豊富
●リン脂質だから水に溶けやすく、吸収率が高い
●アスタキサンチンが豊富で酸化を防ぐ
●汚染の少ない南極海で採取
●欧米ではスーパーフードとして日常的に摂取されている
期待できる効果
●脳の活性化 ●月経前症候群、更年期障害の緩和
●生活習慣病の予防(善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らす)
●血流促進 ●中性脂肪減少 ●肌のバリア機能を高める

高脂血症におけるクリルオイルの有効性

高脂血症のある(194〜348mg/dlの血中コレステロール値を持つ)120名の成人男女(平均年齢51歳)を対象とした臨床実験 12週間投与

30名ごとの4グループに対し

●グループA:2または3g/1日のクリルオイル(BMI依存)
●グループB:1または1.5g/1日のクリルオイル
●グループC:3gの魚油  ●グループD:プラセボ
執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


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