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常識化される男性美容医療

美容男子

近年、男性の美容や健康への関心が高まる中、特に40代以降のミドル・プレシニア世代も、自身の外見を積極的に整える動きが加速しています。「美容医療は女性のもの」という固定観念も薄れつつあり、肌のたるみや輪郭のぼやけ、眉毛の薄さ、青ヒゲの目立ちなど、加齢特有の悩みに前向きに取り組む男性が増えています。
こう言った背景がある事から、SBCメディカルグループが、これまでに美容医療を受けたことがある40〜60代のミドル・プレシニア世代男性1,002名を対象に美容医療を始めたキッカケなどのアンケート調査を実施し、その結果を公表しています。

最初の質問で美容医療を受ける動機を聞いています。美容医療を受ける動機として、「外見の変化に自ら気づいたこと」が主な理由であることがわかりました。中でも、「鏡や写真で見た自分の姿に老けた印象を受けた(24.3%)」や「肌・体型・体毛などが気になった(26.3%)」といった自己認識に基づく回答が全体の半数を超えており、自身の気づきが行動のきっかけになっていることが明らかになりました。
一方で、「家族や友人の指摘(21.7%)」や「周囲の影響(3.0%)」といった外的要因は少数にとどまり、他人の視線よりも自分がどう感じるかを重視する傾向がうかがえます。美容医療が、誰かのためではなく自分自身のために選ばれる時代となりつつあることが示唆されました。
また、「メイクで隠せないコンプレックスを解消したかった(2.4%)」「転職・結婚などイベントに向けて見た目を整えたかった(3.1%)」という少数意見もあることから、印象アップよりも「現状維持」や「自然な若返り」を求める方もいるようです。(グラフ1)

グラフ1

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美容医療において重視するポイントを聞いた質問では、「自然な仕上がり(42.1%)」が最多で、40~60代の全世代において「隠れ美容」志向が主流であることがわかりました。劇的な変化よりも、少し若々しく映るようなバランスが理想とされているようです。
一方で、「はっきりわかる劇的な変化(28.4%)」を求める層も約3割存在しており、ニーズは二極化しています。そのため、施術提案の際には「自然派」か「効果実感派」かを見極めたうえでのアプローチが
求められます。
また、「年齢より若く見える(19.8%)」「清潔感・好印象(9.5%)」といった印象面や自信よりも、仕上がりの見た目そのものを重視する傾向が強いことが示されています。こうした背景からも、一人ひとりの仕上がりイメージに合わせた施術提案の重要性がうかがえます。(グラフ2)

グラフ2

グラフ2

では実際に美容医療を受けた感想はどうでしょうか。美容医療を通じて最も多く実感されている変化は、「外見に対するコンプレックスが軽減された(36.2%)」という声でした。加齢や肌トラブルなど年齢にともなう悩みに対し、自然に整えることで前向きな変化を感じている方が多いことがうかがえます。
また、「「若くなった」「カッコ良くなった」と周囲に言われた(31.1%)」という回答もあり、外見の変化が他人の評価にも表れ、それが自己肯定感や人間関係にも良い影響を与えていることがわかります。
さらに、「仕事や社会生活で信頼感が増すようになった(23.1%)」という回答もあり、特にビジネスパーソンにとっては第一印象や清潔感といった要素が重視されている実態がうかがえます。美容医療は、単なる見た目の改善にとどまらず、心の在り方や日常生活全体にまでポジティブな影響をもたらす存在となりつつあります。(グラフ3)

グラフ3

グラフ3

本調査を実施した湘南美容クリニックの居川和広医師は「この10年で男性美容は大きく変化し、今では40~60代の男性からも「清潔感を保ちたい」「若々しい印象でいたい」といった相談が日常的に寄せられるようになりました。以前は「美容医療は女性のもの」というイメージがありましたが、最近では経営者やビジネスパーソンを中心に、第一印象を整える手段として美容医療を戦略的に取り入れる方が増えています。とくに注目されているのは、肌質改善などの皮膚科的アプローチです。
一方で、顔のたるみや輪郭のゆるみなど、年齢とともに現れる構造的な変化は、皮膚科治療だけでは対応が難しく、外科的な治療が求められるケースもあります。私自身、湘南美容クリニックで外科を統括する立場として、外科治療を前提にするのではなく、一人ひとりの状態と目指す姿に応じて、最適な選択肢をご提案することを重視しています。男性美容は今や特別なものではなく、年齢を重ねた今こそ、より自分らしく生きるための「選択肢のひとつ」として、多くの方に受け入れられつつあります。」とのことです。

執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


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