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男性の美容意識の向上でメンズエステ市場へ期待かかる〜脱毛サロンの経営破綻の影響でレディース施術市場が苦戦〜

メンズエステ

矢野経済研究所は、国内のエステティックサロン市場を調査し、都道府県別や施術別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにしました。

2024年度のエステティックサロン国内市場規模は、前年度比98.3%の3,043億円(事業者売上高ベース)と5年連続のマイナス推移となる見込みです。
分野別で見てみますと、レディスの施術(美顔、痩身・ボディ、脱毛、その他の合計)市場は1,918億円(前年度比97.4%)、メンズエステ市場が155億円(同100.6%)、物販・その他サービス市場については970億円(同99.9%)と全体の6割超を占めるレディス施術分野後退の影響が大きい様です。
レディスの施術分野を近年牽引していた脱毛市場では、2024年もリージョナルチェーン・中堅規模の企業の経営破綻が続きました。突然のサロン閉鎖や返金トラブルは、毎年複数件報道される事態が続いています。

グラフ

エステティックサロンの国内市場規模の推移

厚生労働省は、2024年6月に医師免許を有していない者がハイフ(HIFU:High Intensity Focused Ultrasound)機器を使用して施術を行うことを全面的に禁止するガイドラインを発表しました。
ハイフ(HIFU)とは「高密度焦点式超音波」を意味し、皮下組織・SMAS筋膜の一点に超音波を集中させ、表面の皮膚を火傷させることなく、熱で引き締める仕組みで、肌のたるみを根本的に改善させます。超音波を身体にあてるだけで、外科的アプローチ無しで小顔やリフトアップを実現するとして、エステティックサロン市場において関心を集めていました。しかし、ハイフ(HIFU)を用いた施術において健康被害が多く報告されるようになったことで、エステサロン側も自主的にハイフ(HIFU)のメニューへの掲載や施術を行わないようにすることが求められるところとなり、消費者庁からも注意喚起がされました。
エステサロンはその責任を果たすために適切な対応を取るべきとされ、大手美容ポータルサイトでは、2023年12月から当該メニューに関係する屋号やコースメニュー名などの情報掲載が禁止されています。
利用者の安心安全を守る対応としては適切ですが、こうしたこともエステティックサロンから美容医療へと利用者が流れる要因の一つとなっています。

男性

2025年度のエステティックサロン国内市場規模は前年度比100.1%の3,046億円になると予測しています。2025年度以降の市場予測にあたっては、マイナス面ではレディス脱毛市場の回復遅れ・影響の長期化、プラス面ではメンズエステ市場への伸長期待が挙げられます。

2024年も脱毛サロン経営企業の破綻が続きました。現在も脱毛サロンを運営している企業での広告費未払い問題の発生やそれに伴う広告凍結などもあり、脱毛サロンのテレビCMや屋外広告などを見かける機会は減っています。経営体力のある企業を中心にタレントを起用したネット広告の出稿が続いているものの、経営破綻に伴うネガティブな報道のエステティックサロン市場への影響は当面収束しそうにない様相です。
一方、メンズエステ市場については、こうした影響を受けながらも、美容に関心を持つ男性層の拡大という伸びしろの大きさから、市場成長が期待されます。

執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


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