人生100年時代と言われる今、40~50代はまさに折り返し地点で、人生後半の選択肢も趣味や孫育て、移住、長く働き続けるなど、多様になっています。
いずれの選択肢においても基盤となるのは健康、いかに健康寿命を延ばせるかです。40~50代は社会的な責任が増し、家庭では子供の教育、親の介護などさまざまな役割を担うようになる一方で、確実に身体は変化し不調も増える年代です。そんな40~50代の男性は、いま自分の体と心とどう向き合っているのでしょうか?
その実態を探るため花王が調査を行い、その結果を花王が運営する生活情報サイト「My Kaoくらしラボ」内で公表しました。
男性の健康意識は女性より低い傾向
生活習慣病の増加とともに、医療の重点は「病気を治す」から、最近は「病気になる前の予防」へ移り変わっています。2008年以降、特定健康診査(通称メタボ健診)や特定保健指導(生活習慣病リスクの高い人への生活習慣改善の指導)の導入、企業でのストレスチェックの義務化、また新型コロナ禍の影響などもあり、40~50代男性の健康行動はこの10年間で増加傾向にあります。
健康には「運動」「睡眠・休養」「食事」のバランスが重要ですが、男性が女性より実施率が高い健康行動は、「ウォーキング」(39%)、「定期的にスポーツ」(26%)の2つのみ。「睡眠を十分にとる」(28%)、「適度な休養」(20%)、「ゆっくり入浴」(10%)や、「3食きちんと食べる」(27%)、「食物繊維をとる」(23%)、「夜遅い時間に食事をしない」(17%)など、睡眠・休養や食事に関することは、女性に比べ実施が低いのが実情です。(図1)
「いつもの不調」と決めつける油断は禁物!
自分が健康と思う割合にはあまり年代差がなく、40~50代男性も約7割は「自分は健康」と思っています。その一方で、ほとんどの人が何らかの不調を感じています。半数以上が感じている不調には「筋力の低下」(72%)、「よく眠くなる、しばしば疲れを感じる」(68%)、「関節や筋肉の痛み」(66%)、「早朝勃起の回数の減少」、「からだの疲労や行動力の減退」、「性的能力の衰え」、「総合的に調子が思わしくない」「イライラする」「睡眠の悩み」などがあります。
1つ1つは加齢変化や疲れによる一時的なものかもしれませんが、長引くようなら「いつもの不調」と油断するのは禁物です。これらは、男性ホルモンの減少によって生じる男性更年期障害(LOH 症候群)のセルフケアチェック指標となる不調でもあります。
加齢変化や更年期を認めたくないという心理もあるのか、家族の心配をよそに自分の体のことを顧みない男性は少なくないようです。受診するか迷ったら、セルフチェックで簡易診断する方法もあります。必要に応じて医療の手を
借りることも大切です。(図2・3)
ストレスケアと心のケアを上手に使いこなしたい
40~50代男性の約7割は、ふだんの生活でストレスを感じています。仕事や人間関係のストレスは、自分ではどうにもできない部分もあり、好きな音楽を聴いたり、趣味に没頭したり、一人で静かに過ごすなど自分に合ったリラックス法で、自分のご機嫌は自分でとってストレスをためないことが大切です。ただし、40~50代男性のストレス対処法として2番目に多い「お酒を飲む」(32%:20~30代男性の1.8倍)は、睡眠の質を下げることになるので注意が必要です。この年代は、これまでの人生や将来について悩んだり、不安や焦燥感を抱くミッドライフ・クライシス(中高年の心の危機)に陥りやすくなります。しかし、男性は女性に比べて「心の健康」への関心が低く、年齢を重ねるにつれ、日頃から頻繁におしゃべりをする友人がいる割合も減る傾向にあります。「愚痴や弱音は話したくない」という思いが強いと、悩みを一人で抱えてしまいがちです。解決策は見つからなくても、話すだけでストレスや悩みが軽くなる体験が、男性にも必要なのかもしれませんね。(図4・5)
健康ジャーナルライター
ホリスティック・ ジャーナル