富士経済はアンチエイジング効果が注目され、近年急成長しているNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)含有商品の国内市場を調査し、その結果を公表しました。
2015年ごろから『若返りのビタミン』として注目され、欧米や中国で商品市場が確立されたのち、2019年に日本でサプリメントが発売されました。当初は原料価格が高かったことから商品も高価であり、需要が大きく伸びることはなかったですが、2021年ごろから原料価格が下がりはじめ、購入しやすい価格帯の商品が急増したことで、市場拡大が続いています。
消費者の認知度はまだ低いものの、アンチエイジングへの着実な需要があるため、展開商品の増加に加え、成分・効能への認知や理解が進むことにより、今後も市場は拡大していくとみられます。なお、原料価格の低下は2024年末ごろには落ちついたため、今後は商品価格の大幅な下落はないと予想されます。
この素材ではサプリメントが市場の90%以上を占めます。サプリメントでは近年新たなヒット成分が現れず、ヘルスクレーム(「体脂肪を減らす」などの有効性や機能性に関わる表示)に重きを置いた展開が主体ですが、NMNは久しぶりに登場した注目成分であり、認知向上や原料価格の低下にともなって参入企業が増加しています。参入企業はスタートアップが多く、WEBを活用したプロモーションに積極的であるため、ユーザーは同様の訴求効能を持つ抗酸化・抗加齢サプリメントと比較して若年層が多いです。近年大手・中堅企業が参入したため、マス広告の展開などによりユーザー層の広がりも期待されます。
化粧品は、NMNが湿度への弱さや、皮膚への浸透性に課題があるため、加工技術や研究の進展により商品展開が始まっています。今後商品の増加やサプリメントとのクロスセル提案による販売促進で、市場が拡大するとみられます。

グラフ1
価格帯別に見てみますと、2023年は全ての価格帯が構成比30%弱〜30%台後半に集約していましたが、2024年に中価格帯が前年比2倍以上伸び、市場のボリュームゾーンとなっています。
高価格帯商品の購入層は限定的ですが、定期顧客の獲得で売上を確立しているブランドがあるほか、インバウンドなど海外ユーザーをターゲットとする商品もみられます。
低価格帯は原料価格の低下に伴って市場が形成されました。主にECモールで販売され、トライアル需要を獲得しています。

健康ジャーナルライター
ホリスティック・ ジャーナル