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生物由来の機能性成分素材は拡大傾向続く 高齢者増加やフェムケアブームが後押し


総合マーケティングビジネスの富士経済は、サプリメントや健康食品、化粧品・トイレタリー用品、医薬品などに採用され、特に機能性表示食品への採用の広がりなどで注目される、生物由来の機能性成分・素材の国内市場を調査し、その結果を公表しました。調査では、注目される生物由来の機能性成分・素材35品目(動物系15品目植物系12品目その他8品目)の市場について、現状を把握し将来を予想しています。

2023年の市場は前年比3.7%減の3,012 億円が見込まれています。植物系やその他は堅調だったようですが、動物系は前年に好調だった乳タンパクが価格下落により落ち込んだ影響から約5%縮小するとみられています。生産コストの上昇を価格に反映しにくく、また、海外の低価格品の流入もあるため、品目によっては価格競争が激化している様相です。

2024年は乳タンパクの需要が持ち直し、コンドロイチンやプラセンタ、乳酸菌などの好調により動物系が伸び、植物系はイヌリンや大豆イソフラボンなどが堅調、その他はNMNやGABAの需要が増えていることから、市場は前年比4.6%増の3,150億円と予測しています。
今後、機能性表示食品制度での新規ヘルスクレームによるユーザー開拓、また、高齢者の増加やフェムケアブームなどを受けた需要増加が期待されるとともに、生産コストの上昇を受けた値上げ実施も想定されることなどから、市場は拡大が続くとみられます。(グラフ1)

安全性や信頼性の高い乳酸菌市場


腸内フローラの改善や便通の改善をはじめ、多様な健康機能性を訴求できる素材として普及しています。近年は、生菌はプロバイオティクス、死菌(殺菌体)はプレバイオティクスとしての働きも訴求されています。コロナ禍では、体調・免疫サポート機能が注目されたことから、市場は堅調に推移しました。新型コロナの流行が落ち着いてからは、日常的な健康意識の向上訴求や、機能訴求の広がりを受けた機能性表示食品への採用増加などで市場は拡大を続けています。

サプリメントや加工食品など、食品用途が大部分を占めており、特に機能性表示食品での採用が増え、従来はサプリメントが中心でしたが、明らか食品や飲料でも申請が増えているようです。免疫機能の維持や肌のうるおい、胃の負担緩和、目や鼻の不快感緩和など、機能訴求が整腸作用以外に広がることにより、機能性のコンセプトにあった食品形状での商品化が進められています。また、死菌が多数展開されるようになったことが、さまざまなタイプの明らか食品への採用を促している様子が伺えます。

乳酸菌の研究が進むに伴いさまざまな機能性や特性が明らかになっており、新たな機能性を訴求する乳酸菌も登場しています。安全性や信頼性の高い素材であるため、機能性解明の進展は活用シーンや採用商品の増加につながりやすいことから、今後さらなる市場拡大が期待されると思われます。

執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


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