矢野経済研究所は、国内の睡眠関連ビジネス市場を調査し、関連する製品およびサービスの動向、参入企業の事業展開、今後の方向性などのスリープテック市場予測について公表しています。
スリープテックは、睡眠(Sleep)と技術(Technology)を組み合わせた分野で、ITやAIを活用して睡眠の状態を可視化し、改善をサポートする製品やサービスを指します。この調査におけるスリープテック市場とは、スリープテックに関連する寝具・家電等の製品(寝具はICT機能を含むもののみを対象とし、一般的な寝具は含まない)としており、主な製品には、スマートフォンアプリ、リストバンドや指輪型デバイス、ヘッドセット、寝具センサーなどがあります。なお、市場規模はスリープテック関連製品のサービス・システムの利用料、アプリ使用料を対象として算出されています。
睡眠の改善は社会課題として⾮常に重要視されており、これまで医療機器・医薬品だけではなく、寝具や機能性表示食品など様々な商品・サービスが展開されてきました。こうした中、新たな市場としてスリープテック市場が創出され、注目を集めています。
スリープテック市場には、医療機器メーカー、ヘルスケア企業、寝具メーカー、電機メーカー、情報通信企業、大学発スタートアップなどが参入しており、異業種の連携も活発化しています。法人(企業)向けサービスとして健康経営といった観点からも注目されており、従業員の睡眠改善を通じて、生産性向上や健康リスク軽減を図る取り組みが進んでいます。市場は近年急速に成長しており、2023年の国内スリープテック市場規模は95億円(スリープテック関連製品のサービス・システムの利用料、およびアプリ使用料ベース)と推計しています。
スリープテック市場は、寝具・家電といった関連製品から、様々なスマートフォン向けアプリや睡眠改善サービスを含む広範な市場として成長しており、2027年の国内スリープテック市場規模は160億円(スリープテック関連製品のサービス・システムの利用料、およびアプリ使用料ベース)にまで拡大すると予測されています。(グラフ)
中でも睡眠をターゲットとした法人向けサービスは、健康経営や生産性向上の手段として注目されています。従業員の睡眠改善が企業の利益率やエンゲージメント向上に寄与することが近年示唆されていることからも、市場拡大の鍵は法人向けサービスにあると見られます。

健康ジャーナルライター
ホリスティック・ ジャーナル