寒さが厳しいこの季節、手足の冷えや睡眠の質の低下を感じていませんか? そんな時におすすめしたいのが「重炭酸入浴」。
重炭酸イオンが溶け込んだお湯は、さら湯(何も入っていないお湯)に比べ、血流が6倍アップ!温めのお湯にゆっくり浸かるのがコツ。冷えは老化をスピードアップします。最近は手軽な重炭酸タブレットも市販されていますので、冷えや睡眠でお悩みの方は活用しましょう。
炭酸入浴剤と重炭酸入浴剤の違いは?
もっとも大きく違うのはお湯に溶けた後の効果でしょう。一般的な炭酸入浴剤の多くは、お湯に入れて炭酸ガス(二酸化炭素:CO2)を発生させるタイプ。
炭酸入浴剤お湯に入れるとシュワシュワと発泡し、泡とともに炭酸ガスが発生します。炭酸ガスは皮膚から吸収されやすく、血行促進・疲労回復・リラックス効果が期待できます。ただし、ガスが抜けると効果が薄れるため、長時間の持続性はありません。
一方、重炭酸入浴剤は炭酸入浴剤の一種ですが、特に重炭酸イオン(HCO3マイナス)」が安定して溶けているのが特徴です。
炭酸入浴剤に比べシュワシュワと発泡しないので炭酸感はあまりありませんが、これはイオンがしっかりお湯に溶け込んでいる証。炭酸ガスが抜けても2時間以上は効果が持続しているといわれています。
効果としてあげられるのは
■ 血流促進効果が長続き
■ 皮脂汚れを落としやすい
どちらがいい?
もちろん炭酸入浴剤も短時間で血流をあげられるので温活にはもってこいです。健康のためには炭酸入浴剤、重炭酸入浴剤のどちらを選んでも良いのですが、
短時間でリフレッシュしたいなら「炭酸入浴剤」でしょう。シュワシュワした泡を楽しみながら、すぐに血行促進したい人におすすめ。
血行促進を持続させたいなら「重炭酸入浴剤」。長時間温浴効果を楽しみたい、冷え性を改善したい、肌の角質をスッキリさせたい人におすすめです。
重炭酸イオンそのものは体内にも存在している
重炭酸イオンはもともと、私たちの体内に存在しており、体液のph値を7・35~7・45に維持する役割を担っています。このph値でなければ、細胞や臓器は働かないと言われています。
ちなみに手術を行う際には、必ず体内の重炭酸イオン数値が測られ、7・35~7・45を保っていないと行わないとされているほど、生命維持にとって重要な物質なのです。
このように生命維持に重大な関わりを持つ、phバランスを崩す、最大の敵は「活性酸素」。
活性酸素が体内で増えると、身体は酸性に傾き、心身に悪影響を及ぼします。不眠、頭痛、低血圧、疲労感、免疫力の低下、下痢や便秘、気力の低下、老化現象などの原因の一つに酸性体質があげられます。
本来なら、身体が酸性に傾かないよう、重炭酸イオンがコントロールするのですが、残念なことに、年齢と共に減っていってしまうのです。年を取ると、ガンなどの生活習慣病のリスクが高まるのは、重炭酸イオンの減少と言えるかもしれません。
重炭酸イオンは腸で作られる
重炭酸イオンの多くは十二指腸で発生すると言われています。
人間を病気から護る免疫細胞の6割は腸壁に集中し、腸内細菌から訓練を受けているのです。病気予防を考える上で、「重炭酸イオン」「腸内環境」「抗酸化」は私たちが思っている以上に重要なことなのかもしれません。
年齢とともに減少してしまう重炭酸イオン。それを補ってくれるのが重炭酸入浴なのです。
重炭酸イオンは別名炭酸水素イオンといい、炭酸ガスが2つに分離して発生します。 炭酸ガスは抜けやすい性質を持つ一方で、重炭酸イオンはお湯の中でも抜けにくい性質を持ち、濃度は24時間以上続くという調査報告もあります。
重炭酸イオンによる入浴のメリットを今井敬喜医学博士は次のように解説します。
「人体は細胞が生きていく上で最適なphがあり、それは7・35~7・45。細胞を取り囲む体液や血液中の一定濃度の重炭酸イオンが溶け込むことでこのphは保たれています。
このような重要な働きをする重炭酸イオンを、入浴で皮膚から取り込むことのメリットを、説明しましょう。
風呂の湯に溶け込んだ重炭酸イオンは、表皮を通してゆっくりと吸収され、毛細血管を通して血中に入っていくと考えられます。経口摂取に比べ、穏やかに吸収されることで、体液のphは調整しやすくなります。皮膚から吸収された重炭酸イオンは、全身の細胞が活発に働くための、最適な体内バランスを整えると考えられるわけです。
炭酸泉による人体への効用は、すでに科学的にも確かめられており、「血管を拡張して血流を促進する」「脈拍や血圧を下げる」「疲労回復を促す」などの効果があるとされています。重炭酸入浴は、炭酸ガスも発生するので、phコントロールに加え、炭酸泉の効果も期待できます。
大気汚染やストレス、疲労など、さまざまな要因により、現代人の体内の細胞環境は、酸性に傾きやすい状態にあります。身体の酸化ストレスを取り除くという見地からも入浴の際に重炭酸イオンを体内に取り入れることは、健康維持・増進、さらには病気予防、アンチエイジングに大変役立つと言って良いでしょう。

健康ジャーナルライター
ホリスティック・ ジャーナル