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人生100年時代、アンチエイジングからウェルエイジングへ


今から20年以上前からアンチエイジング医療に取り組んできた青木晃医師。これまで活動してきた集大成として、昨年アンチエイジング専門クリニックと一般社団法人 日本美容内科学会を立ち上げた。従来からある美容外科、美容皮膚科と内科が連携とりながら、科学的根拠に基づく治療で真に効果的で安全な美容内科医療を構築していくことを目的としている。この新たなる取り組みについて、今後の展開を青木医師に伺ってきた。

青木晃 医師

ウェルエイジングクリニック南青山 理事長 一般社団法人 日本美容内科学会理事長

[略歴]
防衛医科大学医学部卒後、防衛医大附属病院、自衛隊中央病院に勤務。2004年に恵比寿アンチエイジングクリニック院長となり、以降、順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座准教授、横浜クリニック院長、銀座よしえクリニック都立大院院長を経てウェルエイジングクリニック南青山を開設。
著書多数、最新刊/死ぬまでお酒を飲みたい人のための1分間肝臓マッサージ 血流を良くすれば、一生健康にお酒が飲める! (ワニ・プラス) https://well-aging-clinic.com

アンチエイジングの本質は予防医学


日本でアンチエイジングというと美容医療という印象がありますが、本来の意味は抗加齢医学。アメリカで誕生したこの概念は「元気で長寿を享受することを目指す理論的・実践的科学」と定義されています。
私は20年以上前からアンチエイジングの考えに基づいた治療に取り組んできました。
代謝・内分泌内科医として糖尿病を専門に診ていた当時、この疾患のほとんどは生活習慣から来ることに忸怩たる思いを抱いておりました。
悪しき生活習慣を改善することで、予防できたはずの糖尿病。なぜこうなるまで放っておいてしまったのだろうと考えざるを得ませんでした。
日本の保健医療制度は病気にならなければ介入できない。その事実が私をアンチエイジング医療へと駆り立てたのでした。
2004年、日本で初めてのアンチエイジングクリニックを立ち上げ、順天堂大学で教鞭を務めたのち、アンチエイジングのトップランナーとして様々な取り組みに関わり、2023年5月に『ウェルエイジングクリニック南青山』の開設にいたりました。

美容内科という領域を構築

アメリカで誕生したアンチエイジング=抗加齢医学。残念なことですが、日本では未だエビデンスの集積が少ないのが現状です。
一部の医師によりアンチエイジングの概念を理解しないまま、効果や安全性を検証せず勝手な裁量で治療する。オンラインで診察をしないままダイエット薬として糖尿病の薬を処方する。このように勘案すべき事例が少なからずあります。
これまでの医学・医療が、病気、疾患を見つけて治す、マイナスをゼロにする医療だったのに対し、アンチエイジングは、健康体を維持させ、病気にならずにゼロ以上にプラスを上げオプティマルヘルス(最高の健康状態)を目指すための医療。
アンチエイジングに基づく医療サービスは、体内器官、機能の老化度も含めた現在の「健康の状態」を診断。
その時点における体の種々の弱点を明確にした上ではじめて医学的な介入を行うもの。病的老化による疾患・疾病を予防し、健康の維持増進を図る医療なのです。
「勝手な裁量で医療行為を行うものではない」ということを医療従事者だけでなく、消費者に対する啓発の必要性を感じ、2023年10月一般社団法人 日本美容内科学会を立ち上げました。
学会では外科・皮膚科・内科が学問的な議論を活発に行い、実践していくことでエビデンスを積み上げていくことを目的としています。
そしてアンチエイジング医学に基づいた、美容内科という分野を構築するための活動を今後、行なっていきます。

楽しみながら生活習慣改善できるアプリ「Lav」(ラブ)


私が理想とする予防医療は「決して説教をしない」こと。病気を治すため、病気にかからないためとはいえ、来院のたびに「アレはダメ、これはダメ」あげく「なんで守れないのですか!」などと説教されては、たまったものではありませんよね。
毎度このような感じでは、患者さんは病院に行くのが苦痛になってしまいます。私のクリニックでは、悪い生活習慣を断ち切ることで、素晴らしい未来が待っているというプラスの提案で患者様のモチベーションに繋げています。
そのため私が考案したのが、生活習慣改善のためのアプリケーション「Lav」です。
食事・運動・睡眠をベースにフィジカルからメンタルまで、健康を専門的にサポートするアプリ。
Lavは、AIではなく「人」がメッセージを送るという点にこだわっています。
言葉の背景を読み取り、状況に合わせた適切な言葉がけを選択できるのは人だからこそ。人と人との繋がりこそが、ユーザーのモチベーションを支えてくれると考えています。
Lav に参加すると担当コーチがつきます。毎日のパーソナルチャットでユーザーのやる気を鼓舞したり、改善点をアドバイスしながら二人三脚で目標を達成していくというもの。
これまでの実績から、アプリ利用者のほとんどが生活改善に成功しています。
超高齢化社会に生きる我々が、より良く長生きするためにセルフメディケーションは必須です。
そのためにも健全な美容医療の提供と説教をしない医療を啓蒙していくのが私の医師としての理念です。

ウェルエイジングクリニック南青山
東京都港区南青山5-4-27 BARBIZON104 5階
TEL:03-6805-1920

執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


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