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主食におけるウエルネス食品の国内市場規模は1,625億円


米飯類が好調を維持しパンやシリアルフーズの伸びも見られる

総合マーケティングビジネスの富士経済が、健康に関する消費者ニーズの多様化や、新型コロナウイルス感染症流行の影響による健康意識の高まりに伴う、食品メーカーの新たな展開や訴求要素の変化が注目される、主食加工品におけるウエルネス食品の国内市場を調査し、その結果を公表しました。

調査では、米飯類、麺類、パン、シリアルフーズにおけるウエルネス食品について、健康訴求のオン要素とオフ・ゼロ要素の傾向を捉えながら、市場の現状を調査し、将来を予想しています。

主食はカロリーや糖質が多く含まれる食品が多く、健康訴求としては麺類や米飯類を中心にオフ・ゼロを訴求した商品が中心でしたが、味覚面での課題が多く、リピーターの育成やライトな健康志向層の獲得に苦戦しているようです。
しかし、消費者の健康意識の高まりに伴い、健康機能を有する素材を用いた商品(ウエルネス食品)が需要を獲得したことから、市場は拡大しています。

必要な栄養素を普段の食事で摂る、無理のない健康活動の提案が消費者に受け入れられ、メディアなどでダイエット方法として紹介されるなど、露出が増えていることもあり、各メーカーが積極的な商品展開を行っています。

米飯類、麺類、パン、シリアルフーズのうち、原材料や機能でオン要素(ビタミン、鉄分、カルシウム、食物繊維、大麦、オーツ麦、ライ麦、雑穀、玄米、発芽玄米、全粒粉、たんぱく質、乳酸菌)、オフ・ゼロ要素(糖質オフ、糖類オフ、脂質オフ、カロリーオフ、減塩、糖質ゼロ、無塩、ノンフライ)を訴求している商品を対象とします。

主食におけるウエルネス食品の国内市場
2020年 2019年比 2021年見込 2020年比
米飯類 121億円 109.0% 127億円 105.0%
麺類 342億円 97.2% 338億円 98.8%
パン 458億円 97.4% 494億円 107.9%
シリアルフーズ 664億円 112.4% 667億円 100.5%
合計 1,585億円 104.0% 1,625億円 102.5%

健康志向の高まりに伴い、栄養機能や効能についての消費者の認知が向上したことにより、様々な需要に対して明確な特徴を訴求した商品が発売されたことから市場は活性化してきました。

2019年は主食全体で自然災害に対する備蓄需要が増加するとともに、健康訴求商品を含めた新規ユーザーの開拓、全粒粉やもち麦を訴求した商品の拡充、冷凍米飯類で大型・新規ブランドの発売がみられたことから、市場は拡大しています。

2020年は新型コロナ流行により生活環境が変化し、主食の需要にも変化がみられました。特にシリアルフーズは朝食需要が増加し、鉄分やビタミン、食物繊維をオン要素とするウエルネス商品が大幅に伸びています。また、米飯類も玄米やもち麦を使用した商品や、減塩訴求の冷凍米飯類が好調だったことから、市場は前年比4.0%増となりました。

2021年は、一部で前年の巣ごもり需要で大きく伸びた反動がみられましたが、参入メーカーは、健康を意識させる素材の訴求や、他社と差別化したウエルネス食品の展開を積極的に進めており、店頭での露出増によるライトユーザーの取り込みも期待されたことから、市場は拡大しています。

品目別では、シリアルフーズや米飯類が顕著に伸びています。シリアルフーズは、2020年のテレビ番組をきっかけにコーンフレークの話題性が急上昇し、コロナ禍での外出自粛や買い物回数減少を背景に、保存性が再認識され好調だですが、ウエルネス食品についても健康志向が高まったことから需要が増加し、市場は前年比12.4%増となりました。

2021年は、前年の反動がみられるものの、オン要素ではカルシウム、オフ要素では糖質オフなどを訴求した商品が好調なこと、また、オートミールの注目度が高まっていたこともあり続伸傾向です。

米飯類は、2016年頃から大麦や玄米、雑穀の健康に対する認知が広がるとともに、米飯類の利便性や保存性が認められ、女性やシニア層を中心に着実に市場拡大してきています。
近年は無菌包装米飯と冷凍米飯類が市場をけん引しています。無菌包装米飯は、パックごはんを展開するメーカーが、玄米やもち麦を使用した商品を展開し、冷凍米飯類は減塩訴求商品やもち麦を使用したおにぎりなどが好調に伸びています。

パンは、2020年は苦戦したものの、2021年はCVSや通販チャネルで需要が増えており、市場は2019年の規模を上回っています。麺類は、2020年に主力のカップ麺で健康訴求ブランドの終売があり縮小しました。

『腸活』ワードが起爆剤となり食物繊維への注目度が上昇

食物繊維は以前から整腸効果が認知されていますが、近年はメディアなどで『腸活』が取り上げられる機会が増え、消費者の関心が高まったことにより、参入メーカーが食物繊維をフックにした商品展開を積極的に進めていることから好調です。
特にシリアルフーズの主要ブランドが食物繊維の使用を訴求しているほか、パンもブランドコンセプトとして訴求するケースがみられ、商品数が増加していることから、2021年は二桁増にまで伸長しました。

たんぱく質は各メーカーから相次ぐ新商品の発売により、2021年は前年比66.7%増で今後もさらに伸長することが期待されます。

糖質オフは糖質制限が健康的なダイエット法として注目されたこと、また、糖質を気にするライトな健康志向層が増えたことから、市場拡大が続いています。糖尿病患者やその予備軍の増加も拡大の要因となっており注目したい市場と言えるでしょう。

注目される要素
2020年 2019年比 2021年見込 2020年比
食物繊維(オン要素) 728億円 107.5% 809億円 111.1%
タンパク質(オン要素) 60億円 130.4% 100億円 166.7%
糖質オフ(オフ・ゼロ要素 238億円 107.2% 309億円 129.8%
執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


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