マニュアルではなくノウハウを知る!

ノウハウ

「自分のサロンを持つまでの道のりは思っていた以上に大変だった」
これは経験者のほとんどが口にします。

「あそこでこうしたらよかった」「あれはムダだった」等さまざまな思いが頭を巡ると言います。

開業は、やってみないとわからないことばかり。起業に関する本を読み漁って知識をため込んでも、ピーンとこないことばかり。結局は「起業にマニュアルはない」ということ。

でも、正しく準備し、計画通り行動すれば、誰でも成功することは可能だと思います。

”準備と行動” これは、マニュアルではなくノウハウなのです。

在職中にできるだけアイデアを温めておく

勉強する女性

せっかく、自分のサロンが持てるのですから、他のサロンと同じではつまらなくないですか?今すぐ独立の予定がなくても<いずれは>と考えているなら、在職中にどのようなサロンにしたいのかアイデアを温めておきましょう!

アイデアを練るために、

  • 他のサロンに体験に行く
  • できるだけ講習会に参加する
  • セミナーに参加する
  • 展示会には欠かさず行く

などの情報収集は大切です。

自分の店を持つということは、規模の大小に関わらず、経営者になるということ。それは今まで自分に関係なかった業務も自身でこなさなければなりません。
独立すると実務に関するすべての事を自分ですることになります。会社ならそれぞれ専任者がいると思うので、在職中にそういった人たちから、いろいろと聞いてみることも、情報収集の一つです。

例えば、経理の人に、企業会計や経理実務に関する話しを聞いたり、質問もしましょう。資料も見せてもらいましょう。
自分の知らないことは、その道のプロに聞く!これが、あとからジワジワと効果を発揮します。

ただし、独立のことは内緒でね。誰しもが、あなたの独立を喜んでくれるとは限りませんから。

独立を決めたら、コンセプトを考える!

コンセプト

まずは、自分のサロンはボディベースかフェイシャルベースにするのか、脱毛でいくのか。さらにはハンド中心にするのか、マシーン中心でいくか、場所はどこにする?サロン名は?などなど独立の夢が芽生えたら、できるだけ具体的に考えておくといいかもしれません。

そして、独立を決心したら、どのようなサロンを作り、どのようなお客さまを対象とするのか、などの「コンセプト」を考えなくてはなりません。

コンセプトとは、経営していく上での基本ルール。例えるなら憲法みたいなもの。
コンセプトが不明確であると、様々な場面でブレが生じチグハグなサロンになってしまう要因となってしまいます。

といっても堅苦しく考える必要はありません。これまで漠然と(こんなサロンにしたいな!)と思っていたことを明文化するだけ。
明確なコンセプトを決めることができれば事業計画をしっかりと立てることができますし、目標の実現にも近づきますので、真剣に、そして楽しみながら考えましょう。

サロン成功の鍵は、事業計画書づくり

計画する

サロンに限らず経営者にとって「事業計画書」の作成はとても重要。経営は夢や憧れだけでは生き残れないのが現実。

無計画で開業して、『こんなはずじゃなかった…』とならないためにもしっかりした事業計画書を立てましょう。

経験者は語る

インタビュー

「融資を受けるために仕方なく書いた事業計画書でしたが実際、書き出してみると頭の中で漠然と考えていたことがクリアになります。逆に言えば事業計画を作らなったら、行き当たりばったりで行動するということになりかねません。事業計画書は、実現したいことをどうやって実現していくのかを具体的に考えることに意味があるのだと思います。」

これは7年前に独立して、今では都内で3店舗を展開しているサロンオーナーの言葉です。事業計画書は言ってみれば「成功に向けた設計プラン」。融資など資金調達にも関わってきますので、できる限り綿密な事業計画書を作成してください。

事業計画書をつくるにあたりに必要な事柄

リスト

  • ☑具体的なサロン構想
    会社名、事業形態(株式会社か個人事業かなど)、代表者、所在地(予定)、従業員数などの基本情報と、自分自身の過去の経験・ノウハウ・技術、起業の動機。
  • ☑経営理念、将来のビジョン
    経営理念と目的、エステサロンの社会貢献性、将来的に目指したい方向性と自分自身のサロンに対する「思い」を明確にしておく。
  • ☑サロンの特徴
    施術内容・アピールポイント、顧客ターゲット層に対してどのようなサービスや商品を提供するのかを記します。競合サロンにない独自性・新規性・優れている点、それが顧客にとってどのようにメリットがあるのか、その特色を発揮するためにどのようなノウハウ・裏付けがあるのかを考える。
  • ☑価格
    原価(家賃・給料などの経費)を考慮しながら、顧客ターゲット層に受け入れられる価格を設定します。その価格の経営戦略的な意味を考える。
  • ☑販売方法
    絞り込んだターゲット顧客層に対して、どのようなアプローチで、どのようなサービスを売っていくのかを検討。また、販売回収条件(前受けor都度払い)、営業時間などに関しても検討。
  • ☑仕入
    どのような商品を、どこから仕入れるか、仕入れに関する支払条件を考える。
  • ☑事業上の問題点・リスク
    事業を行う上で問題となりうる点、リスクの可能性、その解決方法を考える。
  • ☑人員計画
    サロンワークを行う上で必要となっていく人員、募集方法、雇用形態、待遇条件などを決めておく。
  • ☑事業スケジュール
    起業までの準備スケジュール、起業後に事業を軌道に乗せるまでのスケジュールを具体的にしておく。

法人登記にするなら開業まで2~3ヵ月は必要

税理士

事業計画書が完成し物件の契約が済んだら、法人にする場合は法務局に会社登記が必要になります。

会社登記に関しては、自分で行う人もいるみたいですが、行政書士や司法書士などのプロにお願いするほうがいいと思います。
費用は掛かりますが、自分で行うとなると、書類を用意して書くだけで数日つぶれます。

しかも、せっかく登記までこぎつけたとのに、少しでも不備があるとそのたびに書き換えを命じられ、登記のし直し。その都度、印紙代がかかるし、何よりも時間がもったいない。その点プロにお任せすれば、指示された通りのことを(銀行口座開設とか、出資金の払い込みとか)をするだけ。確実で時間の節約になります。

具体的な登記の流れ

手続き

会社を登記には、大きく3つの段階があります。

  1. まずは会社の屋号や組織などを記した定款を作成して、公証役場で承認を受けます。
  2. 次に登記を行うために定款と登記申請書類を法務局へ提出。登記は完了するまでに、約1週間から10日かかります。
  3. 最後に会社の設立が認められたら、税金や社会保険などの各種届出を行います。

また会社設立の手続きを行う前に、ビジネスプランをもとに会社名となる屋号、発起人となるメンバー、会社の目的、所在地、資本金などをあらかじめ決めておく必要があるので、事業計画を十分に検討する必要があります。

そのために準備期間を多めに見ておきましょう。また登記手続きの際に必要な代表取締役印(代表者印)も事前に用意しておかなければなりません。良いスタートを切るためには、入念な準備が必要となります。そのため最低でも2~3ヶ月はかけてプラン作りをしていきましょう。

会社設立までのプロセス

プラン

どのような流れをするのかイメージをしておくと計画もたてやすいと思います。
ここでは会社設立までのシミュレーションをご紹介しますので、ぜひ参考になさってください。

  1. 会社の概要の決定
    商号、本店所在地、事業目的、出資者、資本金、役員、決算期など、会社設立に必要な項目を検討の上、決定します。
  2. 法人の実印の作成
    商号(会社名・サロン名)が決まったら、会社の実印の作成を手配します。
    会社設立後に、銀行印や請求書発行時などに必要になる角印も必要になります。
    実印、銀行印、角印の3本セットで作成しておくと便利です。
  3. 印鑑証明書の取得
    定款認証の際に発起人全員の印鑑証明書と設立登記の際に代表取締役の印鑑証明書が必要です。印鑑証明書の住所と定款の住所は一字一句同じでないといけないので、早めに取得しておいた方がいいでしょう。
  4. 定款をつくる
    1.で決めた会社の概要を定款として作成します。作成は、専門用語も多く細かなルールがたくさん。素人ではなかなか難しいので行政書士にお願いした方がスムーズです。
    報酬は50,000円くらいが相場です。
  5. 発起人による設立総会の開催
    設立時役員などの選出、設立時代表取締役の選出を行い議事録を作成します。
  6. 定款の認証
    公証人役場で定款の認証を受けます。これで定款の効力が生じます。
    公証人役場に納める定款認証手数料が52,000円、定款に貼る収入印紙代が40,000円かかります。
    ※電子定款認証(オンライン)に対応している行政書士にお願いすると、収入印紙は不要となり40,000円の節約になるようです。
  7. 出資金の払込
    発起人代表の個人銀行預金口座に、それぞれの出資者が資本金を振込みます。
    その預金通帳をコピーして加工し、資本金の払込証明とします。
  8. 登記書類の作成
    会社設立の登記申請書類の作成をします。素人ではなかなか難しく、司法書士に依頼するのが一般的。依頼した場合、数日で完成して報酬は50,000円程度。
  9. 登記申請書類の提出
    会社設立日に登記書類を法務局へ提出します。司法書士に委任した場合は、司法書士が代理で書類を提出します。この時、法務局に収める登録免許税が150,000円かかります。
  10. 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)、印鑑カード、印鑑証明書の取得
    法務局で履歴事項全部証明書(登記簿謄本)、印鑑カード、印鑑証明書を取得します。登記印紙代が3,000円ほどかかります。
    履歴事項全部証明書(登記簿謄本)については、法人銀行口座開設、社会保険、労働保険、雇用保険の新規適用申請、取引先との取引口座の開設などに使用します。
    あらかじめ必要な枚数を確認しておき、同時に取得してしまうと便利です。

会社登記が済んだら、続いて以下の手続きが必要となります。

  • 税務署への届出
  • 都道府県税事務所への届出
  • 市町村への届出(東京23区については不要です)
  • 社会保険事務所への届出
  • 労働基準監督署への届出
  • 日本政策金融公庫、自治体などの創業融資の申込

ここまで進んだら、いよいよ資金調達です!

資金調達を成功させるために

資金

融資の目安は自己資金の3倍

サロンを開業するには、当然ながら開業資金が必要です。
開業に必要な資金をすべて自分で調達できる!という方はともかく、開業にあたり、開業資金をどのようにして調達するかが課題となります。

それでも昔は株式会社を設立するには1,000万円の資本金が必要でしたが、2006年から法律が変わって、現在は1円から法人にすることが可能です。とはいえ実際は資本金がないと融資は受けられません。

法人にしなくても、個人開業にするにしても自己資金があまりにも少ないと、金融公庫ですらお金が借りられないので要注意です。

融資の目安は自己資金の3倍と覚えておくといいかもしれません。
仮に1,000万円借りたければ、自己資金最低300万円の用意が必要です。

事業主になると、個人的なローンは通りずらくなりますが、創業となると別です。法人・個人に関わらずゼロから起業する人向けに「創業者支援」と呼ばれる、公的な融資制度があるのです。

これは、本当にありがたい制度で、なにしろ、保証人も担保も必要なく、おまけに金利が安い!ここは絶対に利用しておきたいところです。
おすすめは、日本金融公庫の「女性・若者・シニア起業家資金」(新企業育成貸付)。以下に概要を記します。

「女性・若者・シニア起業家資金」の概要(国民生活事業)

家族

ご利用いただける方

女性または35歳未満か55歳以上の方であって、新たに事業を始める方や事業開始後おおむね7年以内の方

資金の使いみち

新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする資金

融資限度額

7,200万円(うち運転資金4,800万円)

利率(年)

運転資金及び設備資金(土地取得資金を除く)※特利A
技術・ノウハウ等に新規性がみられる方(注)の運転資金及び設備資金(土地取得資金を除く)※特利B
土地取得資金※基準利率章

ご返済期間

設備資金:20年以内(うち措置期間2年以内)
運転資金:7年以内(うち措置期間2年以内)

担保・保証人

応相談(注)一定の要件を満たす必要あり。詳細は日本政策金融公庫の窓口にお問い合わせください。

※基準利率 ※特利A ※特利B  (平成30年2月9日現在、年利%)
~担保を不要とする融資を希望される方~
基準利率≪1.81~2.40≫ 特利A≪1.41~2.00≫ 特利B≪1.16~1.75 ≫
~担保を提供する融資を希望される方~
基準利率≪ 1.16~2.35≫ 特利A≪0.76~1.95≫ 特利B≪ 0.51~1.70≫

株式会社日本政策金融公庫ホームページより引用

地方によっては、自治体が貸してくれるところもあるようです。条件は自治体によって違うようなので、自分の住んでいる役所に相談してみるといいかもしれません

信用保証協会

お金

「創業者支援」にはルートが2つあって、ひとつは日本政策金融公庫、いわゆる国金です。

もうひとつは銀行や信用金庫など、民間の金融機関による「信用保証付き融資」というものがあります。
これは信用保証協会を通しての融資で信用保証協会とは、ここでお金を貸してくれるのではなく、銀行から借りるにあたって保証人を引き受けてくれる公的機関。

銀行に融資を申し込むと、まず間違いなく保証協会を通してと言われます。保証料や審査は必要ですが無担保・無保証人、こちらも利用しておくといいでしょう。

ここが融資の成否の境目!

面接

融資を受けるにあたって、避けて通れないのが金融機関による審査。

面接とペーパー(受験みたいですね)の良し悪しが審査結果に大きく左右してきます。ここで失敗すると、お金が借りられなくなるので、一番の正念場といっていいでしょう。

面接では「これまでの実績と頑張ってお金を集めたけれど、開業するのにあとこれだけ必要なんです。不足分を融資してください」みたいなことを融資担当者に熱意を持って伝えます。

収入額を正しく予測して、ムダな出費を抑えるのはビジネスの基本です。ただ何でもかんでも出費を抑えてケチケチにしていればうまくいくというものではありません。
お金を出すべきときは出すのが成功する秘訣だと感じます。

エステサロンは結果も求められますが、キレイになりたいという女性の夢をかなえる場所でもあるのですから。費用対効果を考え、限られた予算を効果的に配分したいものです。

サロンが軌道に乗るまでは当然、資金繰りの余裕がないもの。
矛盾に見えるかもしれませんが、ムダを抑えながら、効果的な出費を心がけましょう。

政府系金融機関からの資金調達

カレンダー

相談から実行までの大まかな流れをご説明いたします。

初日

開業する地域にある日本政策金融公庫を訪ねます。訪れたら、相談窓口で「創業者融資の相談に来ました」と告げましょう。

窓口の人が、融資の内容と用意する書類を教えてくれます。
ひととおり説明が終わった後、面談日が告げられます。

約1週間後
面談日

融資担当者との初顔合わせ。まずは書類が精査(揃っているか、間違いがないか)されます。これが終わるといよいよ面接です。

面接

職歴をはじめ、様々なことを聞かれます。
例えば「何で独立しようと思ったの?」「成功の自信はあるの?」「自己資金は、どうやって集めたの?」など。
貯金だったら「お金の流れ(通帳の引き出した形跡)を見せてください」とか、(えっ、そこまで見るの!?)と時には驚くような、質問もされます。

面接が終わると、次に待っているのは会社訪問。面接から10日~1週間以内に会社訪問があります。会社(お店)が本当にあるかどうかの確認ですね。

会社訪問は実際にサロンであることを確認するだけなので、30分くらいで終わります。見たら、終了くらいな感じです。

約2週間後
審議

担当者による面談と会社訪問が終わったら、審議です。
審議とは、日本政策金融公庫があなたにお金を貸していいのか、貸すなら幾らかを会議すること。

審議が通ると、こんな連絡がきます。
「○○万円の融資が決まりましたので、●日までに必要な書類を用意してください!」

必要な書類を持って、あとはお金が振り込まれるのを待つだけ。

約1か月後の某日

指定した銀行に、無事お金が振り込まれます。

会社を設立するときにかかるコスト

費用

会社を設立するのに費用がかかります。会社のルールである定款を作成し、それを公証人に認証してもらう費用(電子認証の場合には収入印紙代はかかりません)や、法務局に設立の届出をする際の登記費用で、ざっと25万円。
さらに、これらの手続きを専門家に依頼した場合、その手数料がおよそ5万円ほど。

次に、サロンを開業する場合には、物件が必要になります。自宅で開業する方は別として、賃貸ならば敷金・礼金のほかに仲介手数料、テナントならば保証金が必要です。例えば月額10万円でマンション・サロンを構えようと思ったら、約1年分の120万円くらいの用意が必要です。

さらに、サロンの内装や備品が必要になります。そして、物件を借りたら今度は、水道光熱費がかかってきます。1つ1つはたいした金額ではなくても、月々数万円のコストは避けることができないでしょう。物件によって、かかるコストはピンキリですが、マンションの一室でスタートするにしても最低300万円は必要と考えてください。

コラム「借金は少ないほうがいい?」

お金に悩む

サロンに限らず経営となると、流動資金(手元にストックしておくお金)はとっても重要。仕入れひとつとっても現金が必要です。

開業するとわかるのですが、思った以上にお金が出ていきます。集客のための広告やお店のHPも必要でしょう。

現金が用意できなくて、仕入れを見送る。
これは経営的に言うと”機会の損失”。みすみす売り上げチャンスを逃すことになりますので、創業者融資制度等は大いに利用して、借りられるお金は、可能な限り借りておく。
そうすることで、心に余裕が生まれます。資金繰りが苦しいと「お手入れを安くしてお客様を呼ぼうとする=売上は上がる」けど、忙しいばかりで利益が出ないなんてことにもなりかねません。

収入額を正しく予測して、ムダな出費を抑えるのはビジネスの基本ですが、何でもかんでも出費を抑えてケチケチにしていればうまくいくというものではありません。
お金を出すべきときは出すのが成功する秘訣だと感じます。

エステサロンは結果も求められますが、キレイになりたいという女性の夢をかなえる場所でもあるのですから。

費用対効果を考え、限られた予算を効果的に配分したいものです。サロンが軌道に乗るまでは当然、資金繰りの余裕がないもの。
矛盾に見えるかもしれませんが、ムダを抑えながら効果的な出費を心がけましょう。