化粧品市場はコロナ禍が継続するも外出機会の増加で回復基調
矢野経済研究所は、国内の化粧品市場を調査し、製品カテゴリー別や流通経路別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにしました。
2021年度は、新型コロナウイルス感染症の流行が続きましたが、緊急事態宣言発出時も店舗の営業は継続されたことに加え、生活者においても前年に比べて外出機会が増えたことから回復基調となり、2021年度の国内化粧品市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、前年度比102.5%の2兆2,900億円となっています。(グラフ1)
国内の化粧品市場規模推移と予測
2021年度の化粧品市場をカテゴリー別にみてみますと、スキンケア市場が構成比47.9%(1兆960億円)と最も高く、ヘアケア市場は同20.3%(4,650億円)、メイクアップ市場が同17.0%(3,890億円)、男性用化粧品市場は同5.5%(1,250億円)、フレグランス化粧品市場が同1.2%(268億円)と続きました。(グラフ2)
2021年度の化粧品市場は、コロナ禍で緊急事態宣言発出などの行動制限がかかる中でも店舗での対面営業は継続されたことに加え、前年よりも生活者の外出機会が増えたことから回復の兆しはみられましたが、コロナ禍以前の市場規模には程遠い状況で、過去の経済危機、1997年のアジア通貨危機と2008年のリーマン・ショックという経済危機後の化粧品業界の変遷を見てみますと、「市場構造の変革」と「新市場の創出」が起こった点がいずれも共通しているようです。
今回も経済危機を契機として「市場構造の変革」や「新市場の創出」など化粧品産業に大きな変革が起きるものと推察。具体的には
②D2C型ブランドやZ世代をターゲットにしたブランドの台頭、
③日本製化粧品の輸出金額がさらに拡大しASEAN地域が大きく伸長
の3点が進むと予測しています。
2022年度後半よりコロナ禍が徐々に沈静化するとともに、国内の化粧品需要も徐々に回復し、2022年度の国内化粧品市場規模(メーカー出荷金額ベース)を前年度比102.8%の2兆3,550億円と予測しています。 また、数年遅れる形で訪日外国人客も徐々に増加することが見込まれることから、インバウンド需要もゆるやかに回復していくことが予想されます。
健康ジャーナルライター
ホリスティック・ ジャーナル