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化粧品受託製造市場は新型コロナ禍の影響から回復傾向


矢野経済研究所は国内の化粧品受託製造市場調査を行い、現況、参入企業の動向、および将来展望も明らかにしました。

2022年度の化粧品受託製造市場(事業者売上高ベース)は、前年度比107.2%の3,316億円となり、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた2020年度から2年ぶりにプラスに転じました。2022年度は行動制限の緩和により、外出機会や市中での人流の増加が顕著となりました。更には10月以降、訪日外国人観光客の受け入れ拡大によるインバウンド需要の復活に向けた動きが進んだことなどから、国内化粧品市場における需要回復の足掛かりになりました。

新型コロナウイルス感染拡大により、2022年3月から中国政府当局のロックダウン(都市封鎖)が実施されました。その影響による現地消費の落ち込みや、中国化粧品監督管理条例等のレギュレーション改正の影響も相まって、外資系化粧品メーカーや日系化粧品メーカーの製品販売にも少なからず影響が生じています。
2023年以降、政府当局のゼロコロナ政策解除により、中国国内消費も緩やかに回復が進んできました。また、ローカルブランドメーカー(中国現地企業)が成長を続けており、日本の化粧品受託製造事業者による営業活動も活発化しています。

2023年度の化粧品受託製造市場規模は、コロナ禍前の水準を越える3,445億円(前年度比103.9%)への増加が見込まれます。行動制限緩和による人流回復や、脱マスク化によるメイク需要拡大、さらには訪日外国人客によるインバウンド需要の復活など、2023年度は化粧品需要が本格回復に向かうものと期待されます。そのような市況を背景に、ブランドメーカーから受託製造事業者への新規・リニューアルオーダーの規模や発注頻度も勢いが増す見込みです。
一方で、原材料や容器・包装資材、光熱費、物流人件費等の高騰に伴い、これまでコスト吸収に努めてきた化粧品受託製造事業者においても、価格改訂の実施が進む見通しです。このようなことから、2027年度の化粧品受託製造市場は、2022年度比111.2%の3,688億円になると予測されます。

執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


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