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健康食品受託製造市場はプラス成長 新型コロナウイルス感染拡大の影響から回復傾向


2023年度の健康食品受託製造(OEM)市場は前年比2.0%増の1,708億円超へ

矢野経済研究所は、国内の健康食品受託製造(OEM)市場を調査し、市場概況や参入企業の動向、将来展望などを明らかにしました。

2020年度以降、コロナ禍でインバウンド(訪日外国人客)需要減少やリモートワークによる都市部店舗の販売不振が見られた一方、健康意識の高まりから通信販売を中心に健康食品市場は好調に推移しました。また、中国や東南アジアを中心とした海外からの受注や越境ECでの販売が好調に推移し、それらの取引を有する健康食品受託製造企業の売上高が大きく伸長しています。

2022年度は、それまでの巣ごもり需要の反動減や中国等でのロックダウンの影響により、国内外からの受注が減少しましたが、後半からはいずれも回復に転じ、前年度比0.2%増と低成長ながらも市場は拡大しました。

2023年度は2022年度後半からの流れを受け、国内での新商品開発の加速、インバウンドを含めた海外需要の拡大が期待されており、2023年度の健康食品受託製造市場は同2.0%増の成長が見込まれます。
一方、2022年度は原材料費に加え、包装材やエネルギーなどユーティリティコストの上昇が顕著となり、増収になった健康食品受託製造企業においても、取引価格に対する価格転嫁が追い付かず、減益となった企業が多く見られました。

健康食品受託製造業界におけるDX・省人化(機械化・ロボット化)への取り組みが進展

健康食品受託製造業界において、DX(デジタルトランスフォーメーション)を経営課題として掲げ、DX化を推進し検討する動きが広がっています。既に営業や管理部門において業務の効率化などを目的として、システム導入している企業があるほか、生産部門においても、DXへの取り組みによる電子化・ペーパーレス化に加え、生産管理システムの導入・代替に向けて検討・選定している企業が見られます。
また、地域によって多少の差はあるものの、全体的に人手不足の問題が顕在化しており、省人化(機械化・ロボット化)への取り組みも進展しています。製造工程での自動化・ロボット化などは、多品種少量生産を行う受託製造企業での取り組みが難しいため、包装・梱包工程などの比較的容易な範囲において、自動化やロボット化を進める動きがあります。但し、多品種少量生産の中で、包装・梱包工程も多種多様であることから、営業部門と生産部門が共同で一定の規格化を目指す動きも見られました。

今後の健康食品市場は国内市場の大幅な成長が見込みにくい一方、インバウンドを含めた海外需要の拡大が期待され、健康食品受託製造企業は海外向け受注の獲得増加により、売上増に繋がる見通しです。また、原材料費の値上げが浸透しつつあるほか、加工費についても受託製造企業側の継続的な交渉により徐々に浸透し、市場規模は増加する見込みです。また、人手不足の問題から、受託製造企業間での取引も増える見込みで、特に二次請け(孫請け)の比率が高い受託製造企業については自社の売上高プラスに繋がるとみられます。

ただ、長期的に市場を見てみますと、国内の健康食品市場の牽引役であった機能性表示食品が、研究レビューの厳格化などの制度上の問題に加えて、ヘルスクレイム(有効性・機能性に関わる表示)についても表現の一巡化の様相が強まっており、今後、機能性表示食品の消費面での勢いが徐々に弱まることも考えられます。このように健康食品市場全体の成長が緩やかになることで、健康食品受託製造(OEM)市場もこれに比例し推移すると見込まれます。

執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


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