最近の健康・美容のトレンドといえばフェムテックで、その市場も拡大傾向にあります。
フェムテックは、Female(女性)と Technology(技術)を合わせた造語で、生理や更年期など女性特有の悩みを先進的な技術で解決することを指します。海外ではすでにフェムテックは市場が形成されつつあり、2025年には5兆3000億円規模への拡大が予測されているものの、日本ではまだ馴染みが薄かったと言えます。
しかし女性の社会進出が進む中、女性特有の健康問題で女性の社会進出が停滞する事案もあることは否定できないといった背景から、2020年10月に『フェムテック振興議員連盟』(会長・野田聖子衆議院議員)が発足され、2021年3月に政府に対しての提言案を提出。提言案では「女性特有の健康課題にかかる医療費支出と生産性損失の合計は6兆3700億円に上る一方、フェムテックの潜在的市場規模は2025年までに約1兆4000億円に達しうるとの試算もある」と指摘もしており、フェムテック振興に向けた動きが活発化した背景があります。
日本においては、女性の社会進出や晩婚化を背景に、女性の健康に関連する事柄がタブー視される状況や、女性にとって快くない状態を変え、QOLの向上をサポートする製品・サービスがベンチャーを中心に展開されてきました。
2021年に入り、日本でも大手企業の参入や、政府の女性活躍推進の後押し、SDGsへの関心の高まりなどを背景に、フェムテックというキーワードは認知拡大し、女性従業員関連の福利厚生制度を、以前より手厚くするなどの企業の取り組みも散見されるようになってきており、日本における市場の活性化が進みつつあるようです。
フェムテックがサポートする分野は多岐にわたりますが、大分類としては月経・PMS関連、不妊・妊孕(にんよう)性関連、妊娠・出産、更年期障害など、ライフステージにかかわるものから、セクシャルウェルネス(性の健康の事で性に関しての精神的・身体的・社会的にも健康である状態)、女性特有の疾患(乳がん・子宮がん)関連など、ライフステージにかかわらず課題とされる分野が含まれます。
フェムテック(女性関連ヘルスケア・医療)市場では、引き続きさまざまな製品・サービスが開発・展開される見込みで、今後注視が必要な市場とされています。
政府は、女性が働きやすい環境づくりを行うための支援を実施しており少しずつではありますが、企業が女性関連の健康経営・福利厚生を強化する状況は広がりつつあるようです。
また、コロナ渦による将来や経済不安からさらに加速している少子化に対応する一手として、2022年4月より不妊治療は保険適用になるなど変化が見受けられます。女性が不便・不快に感じる状況を改善し、生活を豊かにする女性向けのヘルスケア・医療関連製品・サービス(フェムテック)の一般化は女性だけでなく社会全般に大きなメリットもあります。
政府が女性活躍躍進を後押ししている事や、大手企業の参入により、フェムテック市場は健康・美容業界に一石を投じ存在感を示しており、今後さらなる拡大が予想されます。
健康ジャーナルライター
ホリスティック・ ジャーナル