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美容・健康家電雑貨の市場は拡大 ファインバブルシャワーやヘアドライヤーが市場を牽引


総合マーケティングビジネスの富士経済は、高機能・高価格帯製品の需要増加が市場拡大を牽引している美容家電・雑貨、手軽で手頃なリラクゼーション機器が好調な健康家電・雑貨の国内市場を調査し、その結果を公表しました。
この調査では、美容と健康をテーマに家庭用の主要な家電および雑貨、計38品目の市場について、現在のトレンドや今後の方向性を明らかにし、将来を予想しています。また、美容と健康に関連するサブスクリプションやシェアリング、オンラインサービスを展開する事業者、計10社についても分析を行っています。

最も注目されている市場がファインバブルを発生させる市販用のシャワーヘッド市場で、2010年に市場が立ち上がって以降、メディア露出やバラエティショップでの実演販売により徐々に認知度が上がり、2018年にTVCMでも話題になり一気に注目されました。コロナ禍により“おうち美容”の一環として日常的に使用するシャワーヘッドへの注目が高まったことで、2020年、2021年と市場は倍増しています。2022年は、上位メーカーによる新製品投入やTVCMの投下に加え、新規参入もみられたことから市場拡大が続き、年間販売台数は百万台を突破しました。

2023年は、物価高騰により節水を訴求するシャワーヘッド(本市場に含まない)へ需要が移行しており、市場の伸びは鈍化するとみられます。しかし、使用者がまだ限定的なことやメーカーの注力度も引き続き高いことから、体験機会の提供など認知度向上による需要獲得や高価格帯製品の投入などにより、今後も市場拡大が予想されます。(グラフ)

ヘアドライヤー市場

ヘアドライヤー市場の2020年は、メインチャネルである家電量販店の休業などにより市場が縮小しました。一方、コロナ禍のマスク着用で顔の大部分が隠れることからヘアケア・ヘアスタイルに対する意識が高まり、美容感度の高い層によって製品単価3万円以上の高価格帯製品の需要が伸びました。
消費者のヘアケア意識は引き続き高く、2022年以降も、軽量ながら大風量かつヘアケア機能も搭載した高機能・高価格帯製品の投入が相次いでいます。高機能化により、消費者のヘアドライヤーに対する認識が“髪を乾かすためのアイテム”から“髪をケアするためのアイテム”へ徐々に変化し、高価格帯製品の伸びに伴い市場が拡大しています。
今後は美容感度の高い層だけでなく一般消費者層においても高機能な製品を求める動きが予想され、市場の大幅な伸びが見込まれます。価格帯別では、単価3万円以上の高価格帯製品の比率が上昇しており、200億円を超えるとことが見込まれています。(表1)

表1

マッサージガン市場

先端部分のアタッチメントが振動することで筋肉や筋膜をほぐし、血行改善効果が期待できるガンタイプのマッサージ器具市場。
2021年は、「ドクターエア」(ドリームファクトリー)のTVCMの効果により一気にマッサージガンの認知度が上がり、マッサージ効果の高さから新規需要を取り込んだことで、市場は急拡大しました。2022年は新規参入が相次ぎ、製品ラインアップの拡充や単価1万円未満の新製品投入により、エントリー層や女性などの新たな需要を獲得し、市場は引き続き大幅に拡大しています。
2023年に入り、新製品投入や販促プロモーション、店頭での販売施策の強化によってチャネルがオンライン中心からオフラインへ広がっており、市場は前年比45.5%増の160億円規模に。メディア露出によってマッサージガンの認知が広がっていることや、引き続き新規参入が増えることから、今後も市場は高成長が続くことが予想されます。一方で、製品の差別化やプロモーション展開、販路拡大など、メーカー間の競合も激化すると考えられます。(表2)

表2

前述の各市場動向などからもわかりますが、『美容家電・雑貨市場』は、コロナ禍においても“おうち美容”需要の増加により、フェイスケア家電の新規需要の開拓が進んだほか、マスクで隠れる箇所ではない髪の毛のケアに注力する消費者が増加したことから、市場が拡大しました。2022年に入り外出自粛が徐々に緩和したことで、メイクアップやグルーミングケアの頻度が増加し、特に雑貨類が好調でした。2023年は新型コロナウイルスの5類への移行もあり、マスクを外して素顔を見せる機会が増加したことから“マスクだるみ”や“マスクギャップ”の解消を目的に、フェイスケアに注力する人が増え、その傾向は、へアケアに対する意識にも高く現れ、高機能・高価格帯製品の需要が好調で、市場拡大が予想されます。(表3)

表3

執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


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