医療法人社団 筑三会 筑波胃腸病院(茨城県つくば市、理事長:鈴木 隆二)は2024年6月1日より、体の外側から高周波電流を流して温度を上げることで、がん細胞を死滅させる保険適用の治療法「ハイパーサーミア」を導入しました。
長年にわたり日本人の死因の第1位となっている『がん』。がんで亡くなる人は年間30万人以上にのぼり、男性の2人に1人、女性の3人に1人ががんにかかると言われています。誰にとっても身近な病気であるがんは、正確な知識を提供しない高額な自費診療が蔓延していることも多く、とりわけ負担額の大きさが問題となっているのが、末期におけるがん治療です。そんな中、末期がん患者に「もう治療法はありません」と絶望を与えるのでなく、何か目標を持ちながら、残りの人生を過ごすお手伝いがしたいと、同院が導入を決めたのが「ハイパーサーミア」です。
放射線治療や薬物療法の効果も高める温熱療法「ハイパーサーミア」は保険適用となるので経済的負担も軽減
「ハイパーサーミア」とは、温熱療法のこと。がん細胞が熱に弱いという性質を利用して行うがん治療の1つです。また、放射線治療や薬物療法の効果を高めることが可能であり、体に与える影響が少ないことも大きな特徴。
ヒトの細胞は、42.5℃以上の温度で死滅します。これは、がん細胞も同様だといいます。通常の細胞は、温度の上昇を防ぐために血流を増やすのに比べ、がん細胞は血管の拡張が無く血流が少ないので蓄熱しやすく、正常な組織よりも高い温度になります。さらに、体表近くにある浅在性悪性腫瘍は温めることで、がん細胞のみを死滅させるため、腫瘍を縮小させる効果が期待できるといいます。体内の中にある腫瘍(深在性腫)は40℃前後の温度上昇によって放射線治療や薬物療法(化学療法や抗がん剤治療、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害などの治療)の効果を高めることが可能。また、放射線治療による効果を高めることにより、腫瘍内部で抗がん剤の濃度が上昇することが報告されています。
ハイパーサーミア(温熱療法)は、患部を電極で挟んだら、電極の極性が8MHz波(高周波)によって+と-が1秒間に800万回の早さで入れ替わり、電気が流れることによって体内の+と-の分子も同じ速さで回転と振動を繰り返します。この回転と振動で起こる摩擦熱によって、患部が加温されます。
治療の対象となるのは、食道がん、肺がん、胃がん、乳がんなど多くの主要ながん。これからがんの手術を受ける患者、がんの手術を受けた後の患者、化学療法中の患者、そして末期で治療法がもうないといった緩和療法の患者も保険適用で治療を受けることができるため、経済的負担も抑えられます。
同院では世界初の、がん治療を目的とした高周波ハイパーサーミア装置として認められたサーモトロン-RF8による温熱療法を行っています。電極部分には、温水や冷水が還流するボーラスという水袋がついていて、皮膚を保護するので安心とのこと。制御モニターで加温出力や温度などの情報を随時観察しながら治療を進めていくということです。
詳細は公式サイトで。
https://www.tsukubaichou.com/hyperthermia/
健康ジャーナルライター
ホリスティック・ ジャーナル