矢野経済研究所は、国内の化粧品受託製造市場を調査し、現況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにしました。
2021年度の化粧品受託製造市場(事業者売上高ベース)は、前年度比98.5%の3,094億円と前年度を割り込んみましたが、2020年度のような大きな落ち込みには至らず、新型コロナウイルス感染症と共生するなかで、市況は緩やかに改善の方向に向かう過渡期の状況にあるといえます。
2019年度まで永らく続いた市場の拡大要因には、
②インバウンド(訪日外国人客)による日本製化粧品消費の増加、
③海外現地消費者向けの日本製化粧品輸出ビジネス=アウトバウンド(越境ECを含む)拡大
の3つが挙げられます。
しかしながら2020年初頭から続くコロナ禍は、2020年度の国内化粧品受託製造市場に大きな影響を与えました。2021年はコロナ禍の収束に向けた政府・自治体によるものを中心とする施策が一定の効果を表すなど、外出機運の高まりや消費の活性化により、市況は緩やかに回復に向かうと見られます。
2021年半ばから続く原材料や容器・包装資材、製造に必要な各種エネルギーや物流コストの上昇は収束をみせず、更なる値上げ実施の事態も予測されるなど、企業単体でのコスト吸収努力では追いつかないレベルにまでコストの高騰が続いています。
市場では製品価格への転嫁を含めて化粧品ブランドメーカー(クライアント)との値上げ交渉が現場レベルで行われています。そのため、2022年中には一部化粧品の店頭販売価格の改定が行われることが想定され、値上げに対する消費への影響が懸念されます。製品価格の改定が化粧品市場における景気減速要因となるかが不安視されます。
2022年度の化粧品受託製造市場規模(事業者売上高ベース)は、コロナ禍の収束は見えないものの前年度比107.1%の3,314億円に拡大すると予測。行動制限も徐々に緩和され、感染対策を徹底して旅行や行事、イベントが開催されることで消費が回復し、段階的な渡航制限緩和からのインバウンド需要の復活も期待されます。
健康ジャーナルライター
ホリスティック・ ジャーナル