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「若返り」訴求素材として注目されているNMN


永遠のテーマでもある「若返り」を訴求する素材として数年前からクローズアップされてきたのがNMN。年齢を重ねるとミトコンドリアの機能が衰え、その結果としてアルツハイマー病や糖尿病など、様々な疾病にかかりやすくなるメカニズムが明らかになりつつあり、NMNはミトコンドリアを活性化させる働きがあることから注目され、市場も拡大しつつあります。

若返り物質として今注目の素材NMN

日本人の平均寿命は男女共に80歳を超えています。これは健康状態に関係なく、ただ単に亡くなるまでの年齢の平均値です。実際には比較的健康で、日常生活も自力でできる「健康寿命」が人生の中では重要になってくるのではないでしょうか。一般的には平均寿命からマイナス10歳が健康寿命の平均値<。政府の政策の一つとしても「健康寿命の延伸」が提唱されています。 そこで、いかに健康寿命を伸ばして人生をできるだけ長く、健康で元気に過ごせるか、平均寿命からのマイナス年齢値を減少させるかがポイントになってきます。そういった背景の中、アンチエイジングが叫ばれ、これまでも数多くの素材や製品が開発され、世の中に上市されているのが「NMN」。若返り物質として注目されている「NMN」は、本当にエイジングケアに効果があるのかを、今回取り上げてみました。

長生き遺伝子とNMNの関係

2000年、サーチュインというタンパク質が老化・寿命を制御する特別な酵素であることがネイチャー誌で発表されて以来、多くの研究者がサーチュインの解明に取り組んでいます。研究が進む中、サーチュインと深い関わりがあることで注目されてきたのが「NMN」。
NMNの正式名称はβニコチンアミドモノヌクレオチドで、この物質はヒトの寿命に関わるサーチュイン遺伝子の活性化。さらには脂肪燃焼効果や自律神経の調整をするなどアンチエイジング素材としてここ数年クローズアップされています。ヒトは温度、光、音などさまざまな環境因子に晒されながら酸素を利用して食物を分解し、そこから得たエネルギーを使って活動しています。
また、年齢を重ねるにつれ、紫外線などによるDNAの損傷、食事による老廃物、有害物質の蓄積などの理由から発生する活性酸素の影響で細胞機能が低下することが知られています。

年齢とともにミトコンドリアの機能は衰える


若い頃は、機能の低下した細胞は取り除かれて新しい細胞が補充されますが、加齢とともに細胞を取り替えるスピードが遅くなり、かつ機能も低下することで徐々に全身の老化は進行していきます。
例えて言うと、体内に蓄積された過度の活性酸素が肌のシワや悪玉コレステロールの増加を生み出し、悪玉コレステロールが老化や動脈硬化につながると考えられているのです。また細胞の機能低下の原因は、細胞の中にあるミトコンドリアと深いつながりがあると考えられてきました。
ミトコンドリアは、それ自体が独自のDNAを持ち、生物学的呼吸を行うことで、その細胞にエネルギーを供給する役割を担っていると言われています。ですが、年齢を重ねるとともにミトコンドリアの機能は衰え、その結果としてアルツハイマー病や糖尿病など、さまざまな疾病にかかりやすくなるなどのメカニズムが明らかになりつつあります。

そこで生活習慣病や細胞の劣化を防ぐためには、ミトコンドリアの活性化が重要になってきます。では一体、ミトコンドリアを活性化させるにはどうすれば良いのでしょうか。
その回答の一つとして、2000年に米国・マサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガランテ教授が酵母の中から発見したサーチュイン遺伝子があります。「長寿遺伝子」「若返り遺伝子」とも呼ばれるサーチュイン遺伝子は、これまでの研究でヒトなら誰もが持っていることがわかりました。サーチュイン遺伝子が活性化すると細胞内でミトコンドリアの働きもまた活発になることがわかりました。さらに研究が進んだ現在、およそ100にも及ぶ老化要因を抑える効果があると考えられています。つまり、サーチュイン遺伝子を活性化することができればアンチエイジング、若返りにつながることが期待できるのです。
長寿遺伝子サーチュインは7種類あると言われており、そのすべてが十分に機能しているわけではありません。そのため、どうすれば長寿遺伝子サーチュインを目覚めさせるかの研究が進められ、2010年目前に日本人の研究者によって7種類の長寿遺伝子サーチュインすべてを活性化させる物質が発見されました。それが「NMN」だったのです。

年齢とともに体内のNMNは減っていく


「NMN」は水溶性ビタミンB群の一種であるニコチナミドから合成される物質で、体内でさらにNADというエネルギー代謝の根源的な物質に変換されます。NADは身体の機能を保つために必要な成分で、長寿遺伝子サーチュインをも活性化させます。しかし加齢と共に体内で「NMN」を作る能力は低下し、各臓器のNADも減少していきます。つまり体内の「NMN」を増やせば変換先のNADも増えて、長寿遺伝子サーチュインへの働きかけも活発化されて、若返りに繋がることから「NMN」がブームとなったのです。

「日本薬学会年会要旨集巻2013年133rd」では「NMN」が表皮に及ぼす効果について次のように発表しています。NAD生合成の前駆体である『「NMN」を添加し、その影響を検証した結果、「NMN」を角層側に添加すると細胞内の『NMN』量が約100倍になり、NAD量も約4倍に増加。さらに「NMN」の添加により皮膚保湿に関与する酵素であるカスパーゼ14の発現を誘導。これらの状況から「NMN」を添加し表皮のサーチュインを活性化することにより皮膚の老化が予防できる可能性が示唆されています。「NMN」に関してはこれまでにも効果や安全性に関する実験がマウス実験を経て、ヒト試験でも実証されてきているのです。
このように「NMN」の研究が蓄積されことで、次代のアンチエイジング素材と言われるように。さらには「NMN」に相性の良い素材をプラス配合することで相乗効果も期待できることから、オリジナル製品の販売に注力している美容・健康メーカーもみられ、政府の政策の一つである「健康寿命の延伸」を実現させるための素材として大いに期待されているのです。

執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


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