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東京大学と社会連携講座「栄養疫学・行動栄養学講座」を開設


味の素 (東京都中央区)はこの度、国立大学法人 東京大学(東京都文京区)の大学院医学系研究科に、同大学と共同して「人々の健康寿命の延伸とウェルビーイングの実現への貢献」に取り組む東京大学社会連携講座「栄養疫学・行動栄養学講座」を開設しました。

近年、健康に過ごす寿命をいかに延伸させるかは重要な社会課題となっており、食事、栄養によるソリューションが期待されています (参考:疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)/厚生労働省)。しかし、食事のタイミングや規則性、食事からの各種栄養素の摂取量・必要量、栄養への意識は個々人で異なり、これらが複雑に絡み合った上で食に関する行動や習慣が形作られています。そのため、個々人の食生活を健康寿命延伸に結びつけるための要因や方法は、科学的にはまだ十分に解明されていません。
今回の講座は、先端研究によってこれらを解き明かし、健康な食生活への一人ひとりの改善策を示して行動変容を導き、課題の解決に繋げることを目的として開設されました。

東京大学大学院医学系研究科は、栄養・食事を中心的テーマとする栄養疫学、行動栄養学で日本をリードしており、食事調査法(アセスメント法)の理論や方法に関する研究、食行動研究の成果に基づいて、さまざまな健康問題と食事・食習慣との関連を調べています。これら最先端の成果は世界に発信され、日本の栄養研究のプレゼンスを伝える大切な役割を果たしているのです。

同社は、生活者の健康とWell-beingの実現に向け、社会価値の高い領域として4つの成長領域(「ヘルスケア」「フード&ウェルネス」「ICT」「グリーン」)を設定して飛躍的な成長を目指しています。この中で、食を通じた適切な健康ソリューションを提供する「フード&ウェルネス領域」において、新たな事業モデルの構築を加速しています。こうした背景の下、東京大学の栄養疫学、行動栄養学の実績やその発展に注目し、今回の産学連携による社会連携講座の開設に至りました。

今後、同社は東京大学と共に、栄養疫学、行動栄養学に基づく緻密な調査とデータ解析により、生活者が持つ健康への課題・理想を理解し、行動変化へのキーファクターを解明、これを同社の健康ソリューション開発に組み入れ、科学的根拠に基づく独自な課題解決方法を提供し、社会貢献を図っていくとのことです。

共同研究の内容

1.食に関わる行動(栄養摂取状況、食事のタイミングや規則性など)、意識(フードリテラシー、価値観、動機)、健康指標を測定し、データベースを構築します。データベースを用いて食と健康の関係を栄養疫学的に解析し、健康、不健康行動に繋がるキーファクターを解明し、これをもとに健康に導くソリューション提供技術を研究開発する。
2.人々の健康を実現するため、食に関する行動の変容を促進できる栄養プロファイリング手法、これを含めた新しい食事問診票の開発およびこれを用いたパーソナルな栄養アドバイスの返却方法を研究開発する。
3.他の研究機関の検診フィールドとの連携による食事調査、栄養疫学解析を通じて、食による健康寿命延伸を実現する健康ソリューションの開発も手掛けていく予定。
執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


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