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新型コロナウイルス感染症拡大でオーラルケア市場が活況

歯磨きする女性

総合マーケテイングビジネスの富士経済(東京都中央区) は、新型コロナウイルス感染症の対策やセルフメディケーション意識の高まりから、高機能製品の需要が増加しているオーラルケア関連製品の国内市場を調査し、その結果概要を発表しました。

この調査では、口腔ケア用品7品目、口腔ケア用具・機器8品目、口腔ケア食品4品目、一般用医薬品・医薬 部外品8品目の市場を調査・分析しています。
各品目の機能別およびライフステージ別市場動向などを捉えたほか、消費者調査では新型コロナウイルス感染症の流行に伴うオーラルケア製品の使用頻度の変化や意識・行動変容などを明らかにしています。

オーラルケア

潜在的需要が見込まれるオーラルケア市場

オーラルケア関連製品は、各自治体でオーラルフレイル(口腔機能の衰え)対策が推進され、オーラルケアが未病管理を含めた対策として認知が進んだことから市場拡大を続けてきました。歯磨や歯ブラシ、洗口剤の堅調な需要に加え、機能強化を図った製品開発により単価が上昇していることから、市場は活性化しています。

2020年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大による外出自粛から、メインチャネルであるドラッグストアへの来店頻度の減少、また、滞在時間が短縮され、オーラルケア関連製品の購入機会が減少したことから、上期は苦戦を強いられました。
しかし下期は店頭でのキャンペーンや消費者のオーラルケアに対するセルフメディケーション意識の高まりから、高機能製品が伸び、市場は前年比0.2%増になったようです。

コロナウィルス

今後は、歯周病ケアを訴求するPRや製品がさらに増加することで、潜在需要を掘り起こし、市場は拡大するとみられます。
また、マスク着用の定着などにより口臭ケアが再注目され、洗口剤の需要が増加しており、歯磨、歯ブラシ、 洗口剤を併合した使用が浸透することで、市場の活性化が期待されます。

国内のオーラルケア関連製品市場

2020年見込 前年比 2023年予測
4,096億円 100.2% 4,186億円

歯周病ケア製品市場は拡大傾向

歯磨、歯ブラシ、洗口剤、歯槽膿漏治療剤などで歯周病ケアを訴求する製品では、参入各社が歯周病によるオーラルリスクへの警鐘を打ち出したことで、予防のため歯周病ケアに取り組む動きが活発化し、歯磨、歯ブラシだけでなく、洗口剤でも歯周病ケアをシリーズにラインアップするなど、対応製品の 間口が広がっています。

また、参入各社は40代以上の成人後期向けを中心に、歯槽膿漏予防対策として歯周病ケア訴求を強化しており、市場は拡大している様相です。

2020年は新型コロナウイルス感染症の影響から、美容ケアなどの機能訴求がマイナスとなる中、歯周病ケアは目立った需要変動はみられず、今後も市場は拡大するとみられます。

機能訴求で期待される歯周病ケア製品市場

2020年見込 前年比 2021年予測
786億円 100% 811億円

マスク着用の定着で再注目されている洗口剤市場

歯を磨いた後の仕上げとして使用する洗口液と、歯ブラシでブラッシングすることで効果を発揮する液体歯磨製品をみてみますと、洗口剤は歯磨や歯ブラシと比べ使用経験率が低いため、伸びしろの大きい市場として注目されています。
口臭ケアに加え、研磨剤を含まないことや、ゆすぎ不要を売りにした液体歯磨も登場し、市場は堅調に拡大しているようです。

マスク

2020年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、マスク着用が定着したことで口臭ケアが再注目され、歯磨や 歯ブラシの基礎アイテムに加えて、洗口剤の使用が増加していることから、市場は拡大すると思われます。

マスク着用の定着で注目の洗口剤市場

2020年見込 前年比 2023年予測
301億円 102.7% 325億円

鎮咳去痰剤やうがい薬市場は2020年がピークで今後は縮小傾向か

鎮咳去痰剤(トローチ/のど飴タイプ/その他)は生薬配合のロングセラー製品の底堅い需要に支えられてきました。
参入各社の積極的なプロモーション活動により、若年層やインバウンド需要を取り込んだことから2015年と2017年に大幅な市場拡大となりました。
2018年以降は食品規格の、のど飴でも高機能化が進んだことで競合が激化し、インバウンド需要も減少したことから市場は伸び悩みました。

のど飴

2020年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、インバウンド需要はほぼ消失する一方で、感染症対策全般への関心が高まり、鎮咳去痰剤の即効性の高さが改めて評価されたことから市場が活性化し、前年比10.7% 増となりました。特需となった2020年をピークに、2021年以降、市場は縮小すると予想されます。

鎮咳去痰剤(トローチ/のど飴タイプ/その他)市場

2020年見込 前年比 2023年予測
176億円 110.7% 153億円

                
うがい薬はインフルエンザなどの感染症の流行の有無に左右される傾向にありますが、近年は感染症の大きな流行がなかったため市場は低迷していました。

2020年の新型コロナウイルス感染症の感染拡大から、手洗い・うがいの徹底が推奨され、4〜5月に需要が大幅に増加したことに加え、ポビドンヨードを含むうがい薬の使用が一部で推奨されたことから需要が急増し、市場は前年比67.9%増となりました。
特需となった2020年をピークに、2021年以降、市場は縮小すると予想されます。

うがい薬市場

2020年見込 前年比 2023年予測
89億円 167.9% 62億円

同社では今回の調査に合わせて、新型コロナウイルス感染症による意識・行動変容に関する消費者アンケートを実施しています。
新型コロナウイルス感染症による意識・行動変容としては、「歯医者に気軽にいかなくなった」、「咳や痰が気になるようになった」、「口の中の衛生が気になるようになった」で特に「そう思う」の回答が多かったです。

年齢層別では、「歯磨きの回数が増えた」、「歯磨きが丁寧になった」、「口臭が気になるようになった」、「歯周病が気になるようになった」、「歯の汚れや黄ばみが気になるようになった」、「舌の汚れが気になるようになった」の回答がみられ、特に低年齢層でオーラルケアに対する意識・行動の変化がみられました。

歯磨きする女性

<消費者アンケート調査結果> 調査対象者数・1,000名

意識・行動変容 全体:20〜69歳 低年齢層:20〜29歳
歯医者に気軽に行かなくなった 34.7% 37.0%
咳や痰が気になるようになった 30.8% 32.0%
口の中の衛星が気になるようになった 29.9% 35.0%
歯磨きが丁寧になった 29.1% 41.0%
喉の痛みやイガイガが気になるようになった 27.6% 32.0%
口臭が気になるようになった 25.4% 36.0%
歯磨きの回数が増えた 22.2% 32.0%
歯の汚れや黄ばみが気になるようになった 20.9% 31.0%
歯周病が気になるようになった 20.3% 28.0%
舌の汚れが気になるようになった 17.8% 25.5%

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