サンスターは、in vitro 評価（試験管や培養器などの中で行った評価、生体外での評価）にて保湿成分オリーブ果実油を配合した70％エタノール製剤の抗A型インフルエンザウイルス効果について検証し、抗ウイルス効果があることを明らかにし、その研究成果を「第45回日本分子生物学会年会」(2022年11月30日(水)〜12月2日(金)・幕張メッセ)にて発表しました。
2020年からの新型コロナウイルス感染症の蔓延を機に、人々の衛生意識は大きく変化しました。エタノール製剤などを様々な場所や場面で手指へ使用するようになったため、流行当初は、頻繁なエタノール製剤の使用によって手の乾燥や手荒れといった声が多く聞かれました。2020年実施の同社の調査でも、1,346 名のうち約8割が“手荒れが気になる”と回答していました(図1)。
図１ 手首消毒剤使用に伴う手荒れ実施調査結果
そのような手指衛生をしながら肌を守りたいというニーズの高まりの中、70％エタノールに保湿成分であるオリーブ果実油を独自の乳化技術により安定的に配合した、しっとり感の得られる製剤での抗A型インフルエンザウイルスの評価を行いました。
オリーブ果実油はスキンケア化粧品にも保湿目的で汎用される成分であり、肌なじみが良く保湿効果が高い成分です。そのオリーブ果実油をエタノール製剤へ安定的に配合した処方では、抗ウイルス効果への影響を評価されたことはありませんでした。
そこで、抗A型インフルエンザウイルスへの効果に対する影響を確認するために、in vitro 評価として標準化されたウイルス評価方法(ASTM E1052-20規格)に則り試験を行った結果、オリーブ果実油配合70％エタノール製剤をA型インフルエンザウイルスに60秒作用させると99.999％以上(検出限界以下)不活化（ウイルスが感染性を失うこと）することが確認されました(図2)。
図２ オリーブ果実油配合70％エタノール製剤の抗A型インフルエンザウイルス(H1N1, H3N2／A型インフルエンザウイルスの型・種類)効果
今回の研究により、オリーブ果実油配合70％エタノール製剤はA型インフルエンザウイルスに対する不活化効果を有することが確認されました。このことにより、エタノールによる手荒れを防せぎながら毎日の手指衛生を行える習慣作りへの貢献に期待が持てることが示唆されました。「今後は実使用での抗ウイルス効果の検証や、サンスター独自製法を活用した新たな製品への応用など、お客様のニーズに沿った製品開発を進めて参ります」と同社。
健康ジャーナルライター
ホリスティック・ ジャーナル
