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ストレス緩和・睡眠サポート市場が前年比81.9%増で急拡大


総合マーケティングビジネスの富士経済は、健康維持や予防意識が高まり、ヒット商品も登場して活性化する健康志向食品の国内市場を調査し、その結果を公表しました。調査では訴求効能別に26カテゴリーの明らか食品とドリンク類を対象とし、商品の最新動向を提示したほか、種類別や成分別の特性、トレンドも分析しています。さらに懸念事項である原材料・製造コスト高騰により生じる価格改定の現状など、市場への影響をカテゴリー別にまとめています。

コロナ太り対策需要の継続やストレス緩和・サポート商品のヒットで健康志向食品(明らか食品・ドリンク類)の国内市場は拡大傾向

2021年の市場は前年比2.4%増の1兆5,311億円で、2年ぶりに前年を上回っています。新型コロナウイルス感染症流行を受けた自粛生活によるコロナ太り対策需要が継続したことから、脂肪・コレステロール値改善が好調を維持しました。コロナ禍で健康維持や感染症などへの予防意識も高まり、ストレス緩和・睡眠サポートや基礎栄養チャージも伸びています。

2022年は「Yakult1000」「Y1000」(ヤクルト本社)がメディアで多く取り上げられ、生産能力増強などの対応が取られるほどのヒット商品となりました。これらの商品が牽引ししたことで、ストレス緩和・睡眠サポートは前年に続き大幅に拡大する様相です。また脂肪・コレステロール値改善は、大手飲料メーカーが注力度を高めていることや、機能性表示食品の新商品が活発に発売されていることから二桁増になるとみられ 、健康志向食品の市場は前年比4.7%増の1兆6,026億円が見込まれます。

2021年売上 1兆5,311億円
2020年比 102.4%
2022年売上見込 1兆6,026億円
2021年比 104.7%

ヤクルト本社の「Yakult1000」と「Y1000」のヒットでストレス緩和・睡眠サポート商品市場の増大が一気に加速

2021年はコロナ禍でストレス緩和や、睡眠の質向上ニーズの高まりを受けて新規参入や新商品の発売が活発でした。ヤクルト本社が訪問販売専用の「Yakult1000」を全国展開し、さらに店頭販売用の「Y1000」を発売し、ヒット商品となったことで市場を牽引しました。
2022年春にこの2商品がメディアで取り上げられて話題を呼び、品薄になるほどの爆発的なヒット商品となり、生産能力の増強を進めていますが、需要に供給が追い付かない売れ行きとなっています。同商品の認知が向上することにより、市場の注目度が高まったことで新規参入が相次いでおり、市場は前年比2倍近く拡大するとみられます。

2021年売上 309億円
2020年比 191.9%
2022年売上見込 562億円
2021年比 181.9%

脂肪・コレステロール値改善を訴求する機能性表示食品や特定保健用食品が市場を牽引


2019年秋に「お〜いお茶 濃い茶」(伊藤園)が機能性表示食品にリニューアルされて市場に加わったことや、コロナ太り対策の一つとして、『体脂肪を減らす』などのヘルスクレームを表示した機能性表示食品の需要が増えたことにより、2020年の市場は拡大しました。
2021年は消費者の健康志向の高まりと家飲み機会の増加がマッチして、機能性表示食品のノンアルコールビール・ドリンクの需要が高まったことや、調味 料や飲料など幅広い食品で脂肪・コレステロール値改善の新商品が活発に発売されたことにより拡大しました。
2022年は「お〜いお茶 濃い茶」が続伸し、特定保健用食品の「伊右衛門 特茶」(サントリー食品インターナショナル)も、同社が拡販に注力したことで回復しつつあるほか、「サントリー烏龍茶 OTTP」が機能性表示食品になったことでラインアップが強化されています。他にも大手メーカーから新商品が発売されていることから市場は15.8%増の2,759億円が見込まれます。

2021年売上 2,383億円
2020年比 103.5%
2022年売上見込 2,759億円
2021年比 115.8%

プロテインブームでタンパク質補給などの基礎栄養チャージ商品が好調


基礎栄養の摂取や低栄養補助を目的とする食品が対象であり、形状ではブロック・バーやゼリー飲料などが主体です。
2021年はプロテインブームによってタンパク質補給を訴求した商品が多く発売されました。また完全栄養食が広がりはじめ、大手コンビニエンスストア(CVS)で採用されたことや、新型コロナワクチンの副反応対策としてゼリー飲料の需要が高まったこともあり、市場は前年比18.2%増の865億円となりました。
2022年はプロテインブームで急増したタンパク質補給食品の競合が激化し、一部で商品の淘汰が見られます。しかし、人流の増加でCVSの集客力が回復し、ゼリー飲料が好調であることや、話題性の高い完全栄養食の新規参入や新商品発売が増加していることから市場は前年比8.1%増の935億円が見込まれます。

2021年売上 865億円
2020年比 118.2%
2022年売上見込 935億円
2021年比 108.1%
執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


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