業界ニュース

2023年度の理美容サロン市場は2兆円規模 新型コロナウイルスの収束で市場は回復傾向


矢野経済研究所は、国内の理美容サロン市場を調査し、市場規模、都道府県別や施術別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにしました。

2023年度の理美容サロン市場は、事業者売上高ベースで2兆920億円(前年度比101.0%)と推計しています。2023年度はコロナ禍からの回復が顕著となり、人々の消費マインドも拡大しました。しかし、さまざまな物品・サービスの価格や料金の上昇も続いており、低所得層や中間所得層の生活防衛意識は高く、支出に関するメリハリがつけられているものとみられます。

そうした中、理美容サロン業界においても、2022年秋以降、多くの大手有力企業、理美容サロンが施術料金の引き上げに踏み切りました。あらゆる物品・サービスの価格や料金が上昇していることもあり、消費者は施術料金値上げを受容する空気が広がっており、2023年度において理美容サロンの来店客数の回復・増加がみられました。多くの大手有力企業を中心として客数が伸びていることは、当面の市場性の考察において、希望のもてる状況と言えるでしょう。

新型コロナの収束で外出機会が増加し理美容への関心高まる

2023年度は、多くの理美容サロンで施術料金の引き上げが行われています。その要因としては、理美容サロンで利用される化粧品類の仕入価格値上げや光熱費の上昇などが挙げられます。また、理美容サロンにおける人材確保のための、営業時間短縮の取り組みや定期昇給とは別のベースアップ実施など理容師・美容師の待遇改善を念頭にした対応でもあり、消費税率10%への移行時(2019年10月)以来の値上げとなったところが多かった様子です。

理美容サロン各社の対応には相違があり、サロン業態の顧客ターゲティングによって料金アップ率を調整したり、特定の施術メニューについては価格を据え置いたりと慎重な対応となりました。それでも、2023年度は大手有力企業を中心として来店客数が増えています。新型コロナウイルス感染症法上の位置づけが5類に移行し、行動制限が緩和されて外出の機会も増えたことで、身だしなみやおしゃれにかける支出は必要な費用としての優先順位が上がったとも考えられます。

2024年度の理美容サロン市場を前年度比100.0%の2兆930億円と予測しています。その内訳は、理容サロン市場が5,946億円(同100.0%)、美容サロン市場が1兆4,984億円(同100.1%)です。慎重な行動で日常生活を送っていた人々においても、現在では平時と変わらぬ日常を取り戻したと言えるでしょう。理美容サロンにおいても、来店客へのマスク着用を求めることは少なくなり、長時間の接触を避ける必要性もないことから、長い施術時間を要するオプションメニューの訴求力も高まっており、理美容サロン業界は成長に向けた付加価値の提供が課題になるといえます。

執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


Related articles