長かった夏がようやく終わりをみせ、そろそろ温泉が恋しくなってきました。温泉に限らず、湯船に浸かるのはもっとも手軽な健康法。というわけで、温泉に行ってきました。訪ねたのは岐阜県にある泉岳館。天然の炭酸がシュワシュワと足元から湧出する希少な炭酸泉です。
高濃度炭酸泉の効能
古くから温泉には病を癒す力があると考えられ、現代でも、治らない病に、温泉を活用した湯治に救いを求める人は少なくない。これまで、何となく健康に良いとされてきた温泉の効能・効果は、近年、日本温泉気候物理医学会により、科学的にも検証され、疾病への効能が認められています。
ただ、単に温泉と言っても日本には単純アルカリ泉、硫黄泉、塩化物泉と泉質は様々。これら温泉の中のひとつに「炭酸泉」があるが、温泉大国「日本」において、天然炭酸泉はわずか0・5%しか存在しない希少な泉質で、適応症の範囲が広いのが特徴。
その中でも、効果・効能を謳える「療養泉」と認められるのは炭酸ガスがお湯に1,000ppm溶け込んだ、高濃度炭酸泉だけ。適応症として血糖値の低下、動脈硬化の予防、高血圧、心臓病、慢性疼痛、婦人科系疾患、アトピー、不眠などがあげられます。
このように適応症の範囲は広いが、数の少ない高濃度炭酸泉の中でもっとも有名なのは、大分の長湯温泉。だが、実は本州にも、知る人ぞ知る、大変に優れた高濃度炭酸泉があります。
それは下呂温泉の奥座敷と呼ばれる小坂温泉郷。小坂温泉郷の中でも特に「泉岳舘」の源泉は、化粧品やビールなどの原料に使われているほど、純度が高く濃度も高いのです。
1,500ppm~2,000ppmの炭酸ガスが溶け込んでいる
「泉岳舘」の炭酸温泉は、独特のにおいや色もなく飲用できるくらいの純粋に炭酸ガスを豊富に含んだ泉質。天然でこの濃度はかなり希少です。
だからでしょうか、こちらの温泉を原料に使わせて欲しいと飲料や化粧品メーカーから引くて数多。実際にビールや炭酸コスメなど製品化されています。
炭酸温泉博士として名を馳せ、日本国中の炭酸泉を調査している浦川豊彦博士をして、泉岳館の炭酸泉は「奇跡の湯だ」と言わしめるほど。
高濃度の炭酸ガスを含みながらお肌に優しいpH値が5・7の弱酸性の湯というのは本当に珍しい泉質だそう。
いつまでも浸かっていられるぬる湯の炭酸泉。炭酸パックもOK!
36℃~38℃に設定された湯温は温く感じますが、その分長く浸かっていられます。炭酸泉は別名「心臓の湯」と呼ばれ、心臓に負担がかからないこともあり、1時間どころか2時間浸かっている強者もいるほど!
湯温が低すぎて湯冷めが心配?いいえ、心配には及びません。なにしろ湯に浸かって20分もするとジンワリ汗が滲んできます。
炭酸泉は非常に高い血流改善効果と、筋肉などの組織に対する酸素量 を増加させる効果が得られるので、体の隅々まで栄養と酸素が行き渡ります。
たっぷりの栄養と酸素が行き届けば、 細胞レベルで健康な状態を保て、キズなどの治りも早くなるそうです。
また、余分な老廃物の回収も同時に行え、疲労回復や筋肉の痛みなども改善させるそう。だからでしょうか。炭酸泉は浸かるほどに、細胞が蘇るような気がします。
また泉岳館の浴室には炭酸泉を貯める陶製の甕(かめ)が備えられ、ここに顔を浸ければ炭酸パックに!なんとも嬉しいサービスです。
さらにこちらの宿では炭酸の素晴らしさをお客様に体験していただこうと、炭酸泉を使った料理、炭酸泉で淹れたコーヒー、炭酸泉の地ビール、飲泉もいつでも飲めるよう廊下にかけ流しのスペースが。
飲んで、食べて、浸かる炭酸泉。炭酸好きの方には堪らないサービス満載の泉岳館。温泉好きな方。炭酸好きな方はぜひ訪ねてみてください!
岐阜県下呂市小坂町湯屋427-1
tel : 0576-62-3010
ホームページ http://www.sengakukan.co.jp
開湯400年の伝統ある温泉の後継者として秘湯を守ってきた。以前は「飲泉が出来る温泉」を謳い文句にしていたが、炭酸泉研究の第一人者である 浦川豊彦教授から炭酸泉ではないかと指摘され、調べたところ高濃度炭酸泉であるだけでなく、肌にとって最も理想的なpH値(5.73)だったことが判明。以来、妻であり女将でもある熊﨑 泰子さんとともに炭酸を活用した料理やビールを考案し「療養泉」としての価値を高めている。
健康ジャーナルライター
ホリスティック・ ジャーナル