3月19日、「第3回特定保健用食品制度(疾病リスク低減表示に関する検討会)」 が開催され、疾病リスク低減表示見直しに向けた案が取りまとめられました。
同検討会は疾病リスク低減表示の範囲拡大に向けた方策を検討してきましたが、第1回目から「諸外国で許可されている表示」をベースに検討をスタートするなど、そもそも疾病リスク低減表示の意義や定義など、根幹の部分の論議はまったくなく、注目されたビタミンDの疾病リスク低減表示に関しても最後まではっきりせず、さらに、今回の第3回の議論に至っては、半分の時間を「今後の運用の方向性案」の校閲・校正に終始するといった状況でした。
今後は、まもなくまとめられる「疾病リスク低減表示に関する今後の運用の方向性」に沿って、来年度に入ってから具体的な項目の検討に入る可能性はあるものの、範囲拡大したとしても現在机上に載っている虫歯予防等の限定的なクレームにとどまりそうです。
ちなみに、今後、具体的検討を支持する意見でまとまったのは、米国やカナダ、EUなど海外で認められている疾病リスク低減表示を5類に分けたなかで「既許可トクホに類似の表示(疾病のリスクを低減する旨の直接的な表示)」に分類されたものだけです。
また、表現の柔軟性も具体的な対応を進めることで合意はしましたが、意見書等で反対の意見も根強く、今後の検討が待たれます。ナトリウムと高血圧の関係など「摂取量を減らすことによる表示」、大豆たんぱく質と冠状動脈性心疾患の関係など「既許可のトクホに類似の表示(疾病の代替指標の取り扱い)」、食物繊維を含む穀物製品、果物、野菜とがんの関係など「対象成分が限定されていない表示」はすでにテーブルから降ろされており、ビタミンDと骨粗鬆症など「現行のトクホ(疾病リスク低減表示)制度に沿った表示」にも慎重論が多くみられており今後の見通しはたっていません。
トクホの累計許可件数は1073(2020年4月28日現在)で、疾病リスク低減表示の許可実績は「カルシウムと骨粗鬆症」のみとなっています。
健康ジャーナルライター
ホリスティック・ ジャーナル