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女性のがん罹患者の心理的ケアアイテムとして重要視されているウィッグ

ウィッグ

毛髪・美容・健康・医療のウェルネス事業をグローバル展開するアデランスが、全国の30歳~69歳の女性412名を対象に、「女性のがん治療におけるウィッグ使用に関する意識調査」をインターネット調査で実施しました。

最初の質問で、治療期間中に取り入れた外見ケアアイテムを尋ねていますが、多くの年代で「帽子」「おしゃれ用ウィッグ」「医療用ウィッグ」が高い使用率を示し、これらが外見をケアするための主な選択肢となっていることが分かりました。
年代別の特徴として、30代は「眉毛・まつ毛ケアアイテム」(31.1%)や「ネイルケアアイテム」(19.4%)を取り入れた割合が他の世代より高く、治療の副作用で現れる、髪以外の部位にもアイテムを積極的に取り入れている様子がうかがえます。(表1)

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表1

各アイテムの使用シーンを尋ねたところ、ウィッグ(医療用・おしゃれ用)、帽子ともに「人と会うとき」と「買い物や近所への外出時」が上位2位を占めており、他者の目に触れる場面にこれらのアイテムが広く用いられていることが分かりました。およそ10人に1人は、ウィッグを「自宅でも基本的に常時」使用しており、家庭内でも髪の変化をカバーしていることがうかがえます。(表2)

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表2

一方で、ウィッグと帽子のどちらをより使用するかは、シーンによって明確な使い分けが見られます。特にウィッグの使用率が帽子を大きく上回るのは、「人と会うとき」(最大28.0ポイント差)、「職場復帰するとき」(最大26.5ポイント差)といった、他者との交流があり、身だしなみを特に整えたい場面でした。
反対に、帽子の使用率がウィッグを大きく上回るのは、「入院中は基本的にずっと」(最大31.1ポイント差)、「家族と過ごすとき」(最大17.7ポイント差)、「自宅でも基本的に常時」(最大17.6ポイント差)となり、手軽さや快適さが重視されるプライベートな空間での使用が中心であるようです。(表3)

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表3-1

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表3-2

ウィッグを使用した理由を尋ねた質問では、「周囲の視線が気になったから」(66.7%)、「罹患・脱毛したことを隠したかったから」(45.1%)が上位を占めました。3人に2人が他者の視線を意識し、半数近くが脱毛の事実を隠したいと考えていることから、ウィッグが闘病や脱毛を隠すための役割を担っていることがうかがえます。(表4)

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表4

年代別で見てみますと、30代では「仕事を継続したから」(39.8%)「家族や周囲の人に心配をかけたくなかったから」(27.2%)が全世代で最も高く、仕事を続けるうえで、周囲に心配をかけないよう、配慮している方が多いことがうかがえます。
一方、60代では「気分が前向きになるから」(44.7%)が他の世代より高く、ウィッグが心理的にも役立っていることが考えられます。(表5)

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表5

今回の調査結果から、女性のがん罹患者にとって、ウィッグが心理的に必須ケアアイテムになっている様子が伺えました。

執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


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