特定の業種で働いたり、法人や個人事業を立ち上げたりする際には国家資格が必要で、美容業界なら美容師が該当します。
では、エステティシャンやエステサロンの開業ではどうなのでしょうか?
これからエステサロンの開業を考えている人は、資格が必要かどうか知っておかなければなりません。
今回は、エステサロンと資格の関係性や開業する際におすすめの美容資格をご紹介しましょう。
エステサロンの開業に資格は基本的に不要
エステサロンは顧客の体に触れて肌や体の悩みを改善する施術を行う場所なので、エステティシャンは正しい知識と高度な技術力が求められます。
そのため、資格が必須な業種というイメージを持つ方が多いです。
しかし、エステサロンの開業やエステティシャンへの就職に特別資格は必要ないので、誰でもお店を開き働くことができます。
現在、日本ではエステティシャンに関する国家資格はなく、資格未取得での開業に対する法的処置もありません。
エステティシャンのスキルを取得する方法
エステサロンの開業に資格は要りませんが、お店を開くには開業届けの提出は必要です。
また、顧客に適切な施術が提供できるスキルがあることも重要な条件となります。
エステティシャンのスキルを取得して磨く手段としては、主に3つの方法があります。
独学で取得
専門書籍や通信講座などの教材を活用して独自で身に付ける方法です。
自分の生活や就業状況に応じて勉強ができ、ムダに費用をかけずに済む点が利点です。
しかし、教えてくれる人がいないので正解が正しいかどうか明確にできず、モチベーションの維持も苦労するでしょう。
法規的な知識を学ぶことが難しい点も独学の欠点と言えます。
専門学校で学ぶ
一定期間学校に通う必要があり費用もそれなりにかかりますが、法規的な内容も含めて専門知識と技術を取得できます。
同じ業界で働きたいと思う仲間とも出会え、ここでの人脈の拡大が開業後にもメリットとなる可能性は高いでしょう。
分からないことがあれば、講師へすぐに確認できるところも独学にはない利点です。
専門学校の卒業で認定書やディプロマを発行するケースもあり、エステ資格の取得に向けた講義が行われることもあります。
エステサロンへ就職する
エステサロンの中には未経験者を雇用するケースも多いです。
研修や人材教育の体制が整った環境であれば、現場で働きながらエステティシャンの技術を身に付け、磨くことができます。
技術面ではなく接客スキルも取得でき、積んだ経験を開業に活かせます。
未経験は技術を得るまでは雑務が中心で、仕事と技術を同時に覚えなければならないので苦労が多いです。
集中的に学べないため、技術取得やスキルアップまで時間がかかってしまいます。
どの取得方法にもメリットとデメリットがあるので、それを理解した上で自分に合った方法でエステティシャンのスキルを取得していきましょう。
エステ関係の民間資格を取得しておく重要性
エステ関係の資格は民間資格のみで、現在はたくさんの種類が存在します。
特別必要はありませんが、エステサロンを開業したいのであれば民間資格の取得をおすすめします。
資格は顧客にとって安心感や信頼に関わるものと言えます。
一定の基準レベルを満たさないと取得を認定されないので、資格を持つということは専門的な知識と技術を持つ目安となるのです。
資格があれば自分の名刺やお店に記載できるので、それを見て信頼できるエステサロンという認知を与えることができれば集客アップにも期待できます。
顧客から信頼してもらえるエステサロンを目指すのであれば、1つでも良いので肩書きとなる資格を取得しておくと良いでしょう。
エステティシャンに関する民間資格には、
- 一般社団法人日本エステティック協会の認定エステティシャン
- 一般社団法人日本エステティック業協会のAEA認定エステティシャン
などがあります。
ボディケアやフェイシャルの理論や技術を学べ、実践に活かせる能力を持つ人が取得できます。
基本的な知識と技術を持ち、安全にサービスを提供できる能力を持つ人が認定されます。
同じエステ資格でも種類によって目的や内容が少し異なるので、概要を確認した上で自分が欲しいと思う資格を選びましょう。
エステサロンの開業で持っておきたいおすすめの資格
エステ関連の資格には公認エステティシャン以外にもたくさんの種類が存在します。
公認ファスティングカウンセラー
美容や健康、ダイエット法として最近注目を浴びているのがファスティングです。
ファスティングは2~3日の間は固形物を摂取せず、水や酵素ドリンク、生野菜・生果物などを取り入れるプチ断食です。
短い期間と言えども断食をするので、安全かつ効果的に取り組むためには適切なやり方や酵素栄養学などの知識が必要です。
公認ファスティングカウンセラーはわずか1日でファスティングに関する基本知識を知ることができ、インナービューティーを取り入れたエステサロンで活用できます。
公認インナービューティートレーナー
ファスティングを始め、インナービューティー全般の知識を取得できる資格です。
最新の酵素栄養学からダイエット理論、食育と様々な知識を学べます。
8時間の集中講義を受け、Webサイトからテストを受けることで資格取得となります。
資格取得後はディプロマが発行され、さらに資格を認定しているIBMFの推奨品を特別価格で購入できるので、エステ用品をお得に仕入れることが可能です。
公認プロフェッショナルインストラクター
医師やドクターの直接指導で取得できる高度な資格です。
最新の酵素栄養学やファスティング、ミトコンドリアダイエット、食育など医学の観点からインナービューティーに関する知識を養えます。
レベルとしては指導者レベルの知識を取得でき、顧客への指導だけではなく従業員の人材育成にも役立ちます。
公認妊活マイスター
最近は妊活に励む人や妊娠されている方に向けてサロンメニューを提供するエステサロンが増えてきました。
公認妊活マイスターでは、栄養学から不妊や妊娠に関する知識を得ることが可能です。
妊娠前や妊娠中だけではなく、出産後の子育てに関する知識も養えます。
妊娠しやすい体づくりを目指す食事法や運動、日常生活と妊活に関わる様々な知識と技術を取得できる資格です。
受講期間は1日あたり約5時間の講義を3回受ければ良いので、時間をかけずに習得できるでしょう。
開業に必要な届出について
エステサロンを開業するにあたり、開業届けの提出や確定申告が必要です。
開業届け
開業届けは開業前から開業後2ヶ月以内に、エステサロンがある地域を管轄する税務署へ提出しなければなりません。
開業後の提出が可能なので後回しにされがちで、気付いた時には期限間近や期限が切れてしまっているケースが多いです。
後回しにしないで、できれば開業前に提出するようにしましょう。
確定申告(青色申告・白色申告)
開業後に行う確定申告が必要で、青色申告と白色申告の2つから選びます。
青色申告は税務省への提出が必要で、さらに帳簿に複式簿記で取引を記録するしなければなりません。
手間がかかりますが最大65万円の特別控除枠を利用でき、赤字は3年間繰越が可能です。
白色申告は申請手続きが不要で、帳簿の記録は単式簿記で良いため手間のかからないことが利点です。
ただし、税制面で考えれば青色申告の方がおすすめなので、開業後は2ヶ月以内に提出してください。
なお、青色申告は開業届けを出していないと利用できないので注意しましょう。
開設届け
エステサロンで提供するサービスの中には、保健所に開設届けを出して許可を取らないと運営できない場合があります。
例えば、治療効果のあるマッサージを提供する場合、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を取得すると共に開設届けの提出が必要です。
まつエクや眉毛カットなどは美容師免許が必要なメニューも提出対象となります。
さらに、美容師免許がないとできない施術は、施術を行うスタッフ全員が有資格者であることも条件です。
エステ関連の民間資格は多岐に渡るので、ご紹介した資格や提供したいメニューに合わせて必要なものを取得してみましょう。
資格取得を通じて知識や技術が磨かれれば、開業後の自信にもつながります。