看護師が独立するとなると、訪問看護ステーションや介護施設など医療・福祉関係の現場をイメージしますが、あえて異業種を選択するケースもあります。
その例の一つがエステサロン開業です。
エステサロンでは、看護師としての知識や経験を活かした、肌トラブルやムダ毛、肥満などの悩みを解決するサポートができます。
特に美容皮膚科など美容に特化したクリニックなどで働く看護師は、医学的な知識を活かしてお客様の美のサポートができるでしょう。
そこで今回は看護師にエステサロン開業がおすすめの理由や開業までのステップ、注意点についてご紹介します。
看護師にエステサロン開業がおすすめの理由
看護師にエステサロン開業がおすすめの理由は以下とおりです。
時間や場所を縛られずに働ける
エステサロンの開業方法は色々あり、時間や場所に縛られず働ける形態もあります。
例えば、出張サロンはお客様の自宅などに訪問してサービスを提供する経営スタイルであるため、店舗を持たずに働くことが可能です。
他にも自宅の一室やマンション一室を借りてサロンを開業したり、レンタルスペースでサービスを提供するレンタルサロンで開業したりする方法もあります。
看護師の仕事と掛け持ちできる
看護師の仕事を辞めずにエステサロンを開業することも可能です。
例えば、出張型サロンであれば店舗経営が不要なため、平日は看護師の仕事をして、休日にサロンを経営するという働き方もできます。
事業が安定するまでは看護師の仕事と掛け持ちをして、軌道が乗ったら本格的に独立することも可能です。
他店と差別化できる
競合との差別化を図れるのもメリットです。
エステサロンは競合が多く、生き残るためには差別化が必要です。
医療を熟知している看護師の資格を持つ人が経営しているだけでも差別化につながります。
お客様は施術の効果はもちろん、エステサロンに対する信頼感を重視していることが多いです。
看護師の経験を活かした接客や医療知識を活かした施術・物販の提供は、お客様に強い信頼や安心感を与えられるので、集客や売上に良い影響を与えてくれます。
美容や体に関するアドバイスもできるので、施術以外のサービスにも満足感を感じ、サロンのファンになってくれる人を増やすことができるでしょう。
看護師がエステサロン開業するまでのステップ
エステ開業は思い立ったらすぐ始められますが、事前に様々な準備が必要です。
ここでエステサロンを開業するまでの大まかな流れを確認しましょう。
事業計画を立てる
看護師がエステサロンを開業したいと思ったら、まずは事業計画を立てましょう。
事業計画は、開業したサロンでどのようなサービスを提供するのか、目標の売上を数値や言葉でまとめた計画のことです。
主に決めなければいけないことは以下のとおりです。
・提供するメニュー
・開業地
・必要な資金
など
事業計画を立てることで、開業後に経営方針がブレるのを防ぎ、一貫したコンセプトでサロンを経営し続けることが可能です。
立てた事業計画は、事業計画書として書面にまとめておきましょう。
今後、金融機関や国から融資を受ける際にも事業計画書の提出が求められるので、準備しておくと安心です。
開業方法を考える
次にどのような方法でサロンを開業するのか検討します。
エステサロン開業では、自宅、マンション、テナント、出張、レンタルと幅広いスタイルがあります。
初期コストやどのようにサービスを提供したいのかによって、開業スタイルの選択は変わってくるでしょう。
例えば、自宅や出張サロンであれば比較的少ないコストで開業ができます。
テナントであればお客様に自宅を知られることなくサロンの経営ができますが、内装工事が必要になったり、毎月家賃が発生したり金銭的なデメリットが生じやすいです。
それぞれの経営スタイルの特徴を理解し、自分に合った開業方法を選択しましょう。
開業資金を確保する
事業計画や開業地が決まったら、開業に向けて開業資金を準備します。
提供するメニューや経営スタイルにもよりますが、自宅サロンであれば20~30万円、テナントサロンは300~600万円程の開業資金が必要です。
開業資金は自分の貯蓄を当てること以外に、金融機関や国の融資を受ける方法があります。
例えば、サロン開業では日本政策金融公庫の創業融資で運転資金や設備資金を確保するケースが多いです。
また、開業資金が不足すると開業後に精神的な余裕がなくなってしまう可能性があります。
運転資金は開業後半年分~1年分を用意し、さらに生活費もあらかじめ確保しておくと金銭面での不安を抑えることが可能です。
開業の準備をする
開業資金を確保できたら開業の準備を進めていきます。
テナントなどを借りて営業する場合は候補となる立地から物件を探すところから始めます。
サロンの立地はターゲットに合わせて選ぶ必要があり、また人が多く集まる場所であることも重要です。
よい立地が見つかったら契約して、施術に使うベッド・シーツ・タオルなどの備品や業務用エステ機器、テーブルセットなど必要なものを揃えていきます。
内装が必要な時は内装工事業者を探し、理想のイメージで工事してもらう必要もあります。
集客の仕組みを作る
エステサロン開業前に集客の仕組みを作っておきましょう。
エステサロン開業を成功させるためには、多くの人にサロンを認知してもらい、集客につなげることが大切です。
例えば、SNSを運営して認知を広げていき、情報発信やコミュニケーションをとることで信頼関係を構築し、来店予約につなげることができるでしょう。
開業後、すぐにお客様が来店してくれるとは限らないため、開業前から集客の仕組みを作って実施していくことで、オープン当初から安定した売上を目指せます。
看護師がエステサロン開業する際の注意点
看護師がエステサロンを開業するにあたって、以下のことに注意してください。
メニューによっては美容師免許が必要になる
提供するメニューによっては美容師免許が必要になるので注意してください。
例えば、眉カットやまつげパーマ、まつげエクステなどの施術を提供するためには、美容師免許の取得が必須です。
また、脱毛や痩身など特に資格がなくてもできる施術は、機器を適切に使えるように販売メーカーの講習を受講しなければなりません。
美容に関する知識や技術を高めたいのであれば、事業内容に合った民間資格の試験を受けて資格を得るのも良いでしょう。
医療用機器が使えない
エステサロンは医療機関ではないため、医療用機器は使えません。
たとえ看護師でもエステサロンでは医療用機器は使えないので、マシンを使った施術を提供する際は注意してください。
医師免許なしで外科手術が必要な脂肪吸引や脂肪溶解駐車などの施術を行ったり、医薬品を処方したりすれば違法になってしまいます。
経営や集客のノウハウが必要になる
エステサロン開業するためには、美容全般の知識だけではなく、経営や集客に関するノウハウも必要です。
オーナーになれば施術の提供だけではなく、問い合わせの対応や予約の管理、会計処理、確定申告・納税など様々な業務が発生します。
また、顧客を集めるためには様々な手法を用いて集客をする必要があるので、集客につなげるための知識・ノウハウも身に付けなければなりません。
開業した時点は収益性が低い
開業した直後は収益性が低いことを念頭に置いておきましょう。
エステサロンを開業した直後はまだ知名度が低く、多くのお客様に来店してもらえない可能性があります。
軌道に乗るまで生活を賄えるレベルで稼げるとは限らないため、あらかじめ生活費を確保しておくことが大切です。
出張サロンで始めるのであれば看護師の仕事を続けやすいので、生活費を確保しながらエステ経営ができます。
看護師は今までの経験や医療知識を活かして、エステサロンを経営することができます。
看護師の資格を持つ人が経営するエステサロンは、それだけでも競合との差別化を図ることができ、良質なサービスの提供によって人気を集められる可能性があるでしょう。
エステサロンの形態によっては看護師の仕事を続けながらエステサロン開業が可能なので、美容業界の仕事に興味があれば、独立を検討してみてください。