矢野経済研究所は生活支援サービスに関する消費者アンケート調査を実施しました。生活支援サービスの利用者と利用意向のある一般生活者双方に対し、過去に行った同調査との結果をもとに比較分析し、その一部の分析結果を公表していますので紹介します。
調査では一般生活者の日常生活を支援するサービスについて、2024年5月に北海道、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、兵庫県、広島県、福岡県に居住する25歳以上の男女11,719名(男性6,152名、女性5,567名、年代は凡そ均等配分)にアンケート調査で実施しています。主な生活支援サービスのうち、家事代行サービス、見守りサービスに対する一般生活者の利用動向について分析しています。
「家事代行サービス」の利用率(「現在、定期的に利用」と「現在、必要時に単発で利用」の合計)は1.9%(前回2022年調査時1.3%)でした。サービス提供事業者が一般生活者の自宅内で洗濯や掃除といった家事を提供することがサービスの基本ですが、近年は自宅内に留まらず、
自宅外で行う買い物代行などのサービスも注目されています。
「見守りサービス」の利用率(同)は2.1%(前回2022年調査時1.4%)です。見守られる側ではなく、見守る側が利用を検討するサービスであり、身内の高齢者や子供などに問題がないかどうかの状況確認を自宅外から行うことのできるサービスです。見守る側であるサービス利用者に対して利用価値の高いサービスとして活用されています。
調査では新型コロナウィルス感染症の流行前後における働く環境の変化と生活支援サービスの利用率についての関連性についても分析されています。
コロナ禍前(2019年以前、約5年前まで)とコロナ禍(2019年末~2023年5月まで)において、オフィスワークメイン(基本的には会社勤務)と在宅ワークメイン(基本的には在宅勤務)の回答比率の比較では、前者は66.0%から54.6%と11.4ポイントの減少であるのに対し、後者は5.5%から16.1%と10.6ポイントの増加となっています。また、コロナ禍後(2023年5月の5類感染症移行後)と現在(2024年4月以降)に至るまでは、オフィスワークメイン(基本的には会社勤務)は若干増加傾向となり、在宅ワークメイン(基本的には在宅勤務)は減少傾向にありますが、双方ともにそれほど大きな変化は生じていない結果となっています。コロナ禍においては、働く環境の変化が余儀なくされましたが、その後の社会生活においては、新しい働き方として定着した様子が伺えます。
また新型コロナウィルス感染症の流行前後でオフィスワークメインの働き方から、在宅ワークメインの働き方に切り替わった一般生活者層の生活支援サービスの利用率は、働き方に変化のなかった層の利用率と比較して、全般的に高くなる傾向にあります。個々の生活支援サービスにより様々な背景や事由が考えられますが、概して働く環境の変化が生活支援サービスの利用率に影響を及ぼしていることが示唆される結果となっています。