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短鎖脂肪酸を多く生み出すビフィズス菌GCL2505株とイヌリンで「内臓脂肪と体脂肪の低減」効果があることを確認


江崎グリコは短鎖脂肪酸を多く生み出す同社独自のビフィズス菌Bifidobacterium animalis subsp. lactis GCL2505(以下GCL2505株)と水溶性食物繊維イヌリンによる内臓脂肪(腹部内臓脂肪)、体脂肪(腹部総脂肪)の低減効果を確認し、2023年12月17日に国際科学雑誌「Nutrients」に掲載されました。同社はこれまで『タンサ脂肪酸プロジェクト』として短鎖脂肪酸の研究と啓発活動を行ってきており、今回の研究成果もその一環で、今後さらに研究を進めていくとのことです。

肥満は世界的に急増しており、1975年〜2016年の間で3倍近くまで増加しています。日本では20歳以上の男性の33.0%、女性の22.3%が肥満(BMI≧25 kg/㎡)とされています。肥満は心血管疾患や糖尿病、一部のがん等の発症と強く関連しているとされており、世界的な社会課題です。厚生労働省が令和6年度より展開する「二十一世紀における第三次国民健康づくり運動(健康日本21(第 三次))」においても、個人の行動と健康状態の改善に関する目標の一つとして、肥満者の減少が掲げられています。

肥満の形態の一つである腹部内臓脂肪の蓄積は、一般的な肥満より健康への悪影響が大きいことが知られ、内臓脂肪組織は、代謝性疾患の発症リスクに影響を及ぼすアディボサイトカインなど、様々な生理活性物質を分泌するという報告もされています。そのため、代謝性疾患の発症を予防するためには、内臓 脂肪を減少させることが重要となります。

同社独自のビフィズス菌GCL2505株は健康な成人から分離されたプロバイオティクス株で、これまでの研究により内臓脂肪の低減効果や、イヌリンと共に摂取することで、GCL2505株単独の摂取よりも腸内のビフィズス菌を増やすことが明らかにされています。また、GCL2505株はヒトの腸内にいる一般的なビフィズス菌と比べて、短鎖脂肪酸を多く産生することも報告されています。短鎖脂肪酸と肥満の関連性について、様々な研究が進む中、同社ではGCL2505株とイヌリンによる内臓脂肪、体脂肪への影響を確認する研究に着手。
試験はBMIが高め(23以上30未満)の成人男女120名を対象に、プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験で実施されました。
その結果、1日あたり100億個のGCL2505株と2gのイヌリンを12週間摂取した群(GCL2505群)は、プラセボ群と比較して、CT検査による腹部内臓脂肪面積、腹部総脂肪面積が有意に低減しました。また、GCL2505群の糞便中のビフィズス菌数は、プラセボ群と比較して有意に高い値を示しました。

健康寿命の延伸には、糖尿病や脂質異常症などの代謝性疾患への対策が不可欠です。そのためには、メタボリックドミノの出発点である肥満、特に内臓脂肪型肥満を予防することが重要と考えられ、今回の結果によって、GCL2505株とイヌリンの継続的な摂取は内臓脂肪、体脂肪の低減につながる有効なアプローチである可能性が示唆されました。つまり、日常的にGCL2505株とイヌリンを摂取することで、内臓脂肪型肥満やそれによって引き起こされる代謝性疾患の発症を予防できる可能性が期待できることがわかりました。

執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


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