厳正な管理の下で製造されるヒト幹細胞培養上清液
医療界のみならず美容業界でも注目を浴びる再生医療。あらゆる細胞の源となる幹細胞によって、病気や怪我などで失った組織や臓器を細胞レベルで再生するという、これまでの治療の概念を超えた療法だ。そんな幹細胞を用いた再生医療に、新たな手法が存在することがわかった。
美容領域においては、幹細胞治療並み、いやそれ以上かもしれないと言われている手法、「幹細胞培養上清液」がそれだ。
今回、上清液の順化培養を行っている日本でトップクラスの幹細胞培養研究機関に伺い、培養から出荷までの過程を見ることが出来た。
若返り物質を800種以上含むヒト幹細胞培養上清液
この上清液に含まれるサイトカインは、細胞の増殖や分化などを調節する働きを持ち、体内の損傷を受けた組織や細胞の機能回復に重要な役割を果たしている。
また、幹細胞には病気やケガ、老化などで傷ついた部位が発信するSOSをキャッチし、血液の流れに乗ってその傷ついた部位に集まるという性質がある。この性質をホーミングと言うが、上清液のホーミング効果は幹細胞以上かもしれないと唱える専門家もいる。
さらに、上清液に含まれるエクソソームは、近年明らかになった物質で、離れた細胞や組織に情報を伝えることで、免疫的な応答や組織の修復、神経情報の伝達などの「メッセンジャー」的役割を担っていることが2007年にスウェーデンの科学者ヤン・ロトバル氏によって発見された。
今、先進国ではエクソソームの医療や若返り効果応用研究がさかんに行われており、近い将来世界中で、話題になることだろう。
高い再生能力を持つ、臍帯(へその緒)由来の上清液
この上清液には脂肪由来、神経由来、骨髄由来、臍帯(へその緒)由来と数種あるのだが、特に高い再生能力を持つのが臍帯(へその緒)由来と言われている。
胎児は胎盤を通して母体側から酸素や栄養分を受け取り、老廃物を母体側に渡すが、胎児と胎盤をつないでいるのが臍帯(へその緒)である。
出産直後に切り離された臍帯(へその緒)から採取された臍帯血は骨髄系、間葉系幹細胞や造血幹細胞に富み、処理された臍帯血は白血病などいくつかの難治の疾患の治療の為の移植に用いられるほど。
プラセンタと比較すると、プラセンタはいわば母親の血液。胎児の血液をつくる臍帯(へその緒)の方が、より再生能力が高いのは想像に難くない。
ただ臍帯(へその緒)は出産のタイミングでしか採取できないため、非常に希少性が高く、ほぼ流通していないに等しい。国内で臍帯(へその緒)由来を扱っている医療機関はほんの一握り、一般的な上清液のほとんどは脂肪由来だ。
今回訪問したラボは、その希少な臍帯(へその緒)由来の幹細胞を培養している。
長年、大学と連携を取り免疫療法などの研究を行うなど、幹細胞培養分野において、日本でもトップレベルの研究機関である。
厳しい基準をクリアした上清液のみ出荷
東京からほど近い、関東圏にあるラボは、20年に及ぶ豊富な培地製造実績を誇っている。広大な敷地の一角に、最新設備の整った細胞培養加工施設(CPC施設)があった。
このCPCにおいて、アカデミアスタッフが関与しながら幹細胞をはじめ様々な組織培養が行われている。
幹細胞培養上清液も、同施設の無菌室で幹細胞培養(完全無血清培地)され、原料のウイルスフリーテストを行い、幹細胞を分離した後、遠心分離した上澄み液に滅菌処理を施し作成。
医療用にしろ美容向けにしろ、細胞生存率が左右する上清液の再生効果。
だが法的に制約がないため、中には細胞生存率が限りなく低いものも市場に出回っているという。
違法ではないが、それでいいのか?正直、不安に思った。上清液による再生医療を受ける際には、信頼できる機関にゆだねるのが確実だ。
健康ジャーナルライター
ホリスティック・ ジャーナル