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メンズビューティー市場はコロナ禍の行動規制緩和により回復傾向


矢野経済研究所は、国内のメンズビューティー市場を調査し、各市場の動向や参入企業動向を調査し、将来展望を明らかにしました。

2021年度のメンズビューティー市場規模(5市場計)は、2,025億2,000万円(前年度比102.1%)となりました。コロナ禍での行動制限等の影響から2020年度は縮小しましたが、コロナ禍で普及したオンラインでのコミュニケーションをきっかけに、身だしなみや美容に対する男性自身の意識の向上が進んだことから、コロナ禍前の水準には届かなかったものの回復をみせています。
同市場の2021年度における各市場規模は、男性用化粧品市場が1,250億円とトップとなり、メンズ理美容家電市場が362億2,000万円、メンズウェットシェービング市場が191億5,000万円、バーバー(進化系理容室)市場が128億5,000万円、メンズエステ市場が93億円となっています。


 
男性用化粧品のメインターゲットは美意識の高い若年層が中心でしたが、コロナ禍を契機に中高年層の利用も進んだことで男性向け美容の認知や利用が拡大し、男性用化粧品市場は成長を続けています。中高年層の利用拡大のきっかけは、デジタルデバイスを用いたオンラインミーティングの増加が挙げられます。オンラインミーティングを通じ、自身の容姿を確認する機会が増加したことでヘアケアやスキンケアへの意識が向上し、中高年層向けのブランドのニーズ等も高まっています。
若年層においては、コロナ禍でのマスク着用による肌トラブルの対策や、SNSや著名人の影響などから日常的にスキンケアを取り入れる層が拡大しました。また、限定的ではありますが若年層を中心にベースメイクの需要も高まりをみせているようです。

男性用化粧品市場の盛り上がりについては、百貨店やバラエティショップでの売場面積の拡大、ECサイトでの特集ページやECサイト内で「メンズコスメ」としてカテゴライズされている点などからも同市場が注目されていることがうかがえます。小売業においても男性向け美容の認知やニーズが高まったことで、売り場面積・製品ラインナップの拡充など策を講じています。販売先の男性用化粧品に対する理解も深まってきていることから、更なる売場や販促の強化も期待されます。

2023年度の同市場規模はコロナ禍前の水準を超える2,158億円(前年度比102.7%)で拡大を予測しています。今後も男性用化粧品市場を中心に国内における男性向け美容の発展の機運は高まっていくとみられるものの、課題として、更なる認知・ユーザー数の拡大が挙げられます。男性向け美容の啓発活動に時間を擁することを考慮すると、メンズビューティー市場は緩やかなスピードで成長していくと予測しています。

メンズビューティー市場規模(5市場計)推移・予測


※1:男性用化粧品、メンズ理美容家電、メンズウェットシェービングはメーカー出荷金額ベースで算出。メンズエステ、バーバー(理化系理容室)は、事業者売上高ベースで算出。
※2:2022年度は見込値、2023年は予測値。
※3:バーバー(理化系理容室)は「理容師免許を持つスタイリストがメニューの提供を行うサロン」かつ「男性をターゲットとしたビジネスモデルで事業を展開するバーバー運営事業者」をさす。

執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


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