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筋力トレーニングの効果が表れにくい人の筋力向上にはトレーニングの量が重要


芝浦工業大学(東京都江東区/学長 山田純)システム理工学部・赤木亮太教授、静岡産業大学(静岡県藤枝市/学長 堀川知廣)スポーツ科学部・江間諒一准教授らの研究チームは、筋力を向上させるためにはトレーニング量が重要であり、特にトレーニングによる筋力向上度合いが相対的に小さい人たちにとって、そのことが顕著であることを発見しました。

トレーニングやリハビリテーションなどの運動を行い、筋力を向上させることは、健康の維持やスポーツ活動を楽しむために重要な役割を担っています。今回の発見によって、すべての人に効果的な個別トレーニング方法の開発が期待されます。なお、この研究成果は、「Frontiers in Physiology」誌に掲載されました。

運動習慣のない26名の健康な被験者が、膝関節伸展を行う群と股関節屈曲を行う群に分かれ、等尺性トレーニングを4週間実施しました。トレーニングは週3回行われ、20秒に1回の割合で3秒間の収縮運動を10回、合計4セットで構成。トレーニングにおいて参加者は、できるだけ速く、強く、最大限の力を発揮しました。各セッションにおけるトレーニング量は「40回の収縮の時間 −トルク曲線」の下の面積を計算することによって算出しました。
トレーニングの前後において、最大随意筋収縮(MVC)トルク(トルクのピーク値)を計測し、膝関節伸展トレーニングと股関節屈曲トレーニングを行った群、それぞれの筋力の変化を評価しています。

その結果、膝関節伸展と股関節屈曲を行った群の両方で筋力が有意に増加し、その増加の程度には群間差がみられませんでした。さらに、トレーニング量の時間経過の変化についても有意差がなく、どちらの群においても同様の結果となりました。

次に、筋力の変化の程度に基づき、筋力が大きく変化した人たちと変化が小さかった人たちに分けて分析しました。筋力の変化が大きかった人たちと比較して、変化が小さかった人たちは、トレーニング実施前における体重当たりの筋力と総トレーニング量が大きいという結果になりました。さらに、総トレーニング量については筋力の変化が小さかった人たちにおいてのみ、筋力の変化の程度と正の相関関係がありました。

実験の結果より、トレーニング量そのものは、集団内における筋力増加の程度の大小を決定する要因ではないことが示されました。しかし、ひとたび筋力増加の程度が小さかった人たちをピックアップしてみたところ、総トレーニング量は筋力増加を決定する重要な要因であることが示唆されました。筋力増加の程度が小さい人たちは、体格に対するもともとの筋力が大きい人たちであり、これはアスリートの特徴に当てはまります。本研究で得られた成果は、スポーツ選手やそれに携わるトレーニング指導者にとって、最適なトレーニング方法を検討するうえで有効に活用できる可能性があることが示唆されました。

執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


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