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「大麦若葉末」が唾液中の免疫物質(IgA)を増やすことを確認


東洋新薬は、神奈川歯科大学 槻木恵一教授、山本裕子准教授と共同で「大麦若葉末」の唾液中のIgA分泌促進作用を確認し、第1回日本唾液ケア研究会学術集会で発表しました。

大麦若葉末とは、大麦の出穂前の茎葉を粉砕加工した機能性素材で、食物繊維を豊富に含み、青汁の主原料として人気があります。同社の大麦若葉末は、特許製法である「超微粉砕製法」によって粉っぽさを軽減しているため、口当たりの良いことが特徴です。

「大麦若葉由来食物繊維」を機能性関与成分として規格し、特定保健用食品や機能性表示食品の原料としても利用されています。最近では青汁だけでなく、一般食品やお菓子への応用も注目されてきています。

同社はこれまでにも、大麦若葉末に関して様々な研究を進めており、機能性表示食品にも応用されている便通改善作用、腸内環境改善作用、肌水分量増加作用以外にも、α-ディフェンシン(小腸のパネト細胞から分泌される抗菌ペプチドのひとつでビフィズス菌などのいわゆる善玉菌にはほとんど作用せず、サルモネラ菌などの病原菌に対して強殺菌作用を示すことで、腸内環境の維持に寄与している)分泌促進作用、カルシウム吸収促進作用など多くの機能性を確認しています。

今回、同社と神奈川歯科大学 槻木恵一教授・山本裕子准教授は、大麦若葉末の免疫機能に関する作用として、唾液中のIgA(免疫グロブリンA(Immunoglobulin A)の略で、血清中や粘膜面に存在する抗体のひとつ。粘膜面に分泌されるIgAは粘膜免疫系の中心的役割を果たしており、ウイルスや細菌などの病原体に対する感染防御に働くことが知られている)分泌促進作用を確認し、第1回日本唾液ケア研究会学術集会(2022年11月27日、神奈川県歯科保健総合センターとWEBのハイブリッド開催)において発表しました。

口腔はウイルスや細菌などの病原体の侵入口です。口腔内で唾液中に分泌されるIgAは病原体を凝集させたり、病原体由来の毒素を中和したりすることで感染防御作用を発揮し、病原体が呼吸器系や消化器系といった深部器官に入り込むのを防いでいるため、ウイルスや細菌への感染を予防するためには、唾液中のIgAを増やすことが重要となります。
これまで大麦若葉末の免疫機能として、α-ディフェンシン分泌促進作用や糞便中のIgA分泌促進作用といった腸管免疫に及ぼす影響を報告してきていましたが、今回、新たに唾液中のIgA分泌促進作用を確認し、大麦若葉末が腸管免疫だけでなく、口腔免疫についても影響を及ぼすことが明らかになりました。

また、大麦若葉末による唾液中のIgAの分泌に、腸内細菌の産生する短鎖脂肪酸がカギとなっている可能性を見出し、大麦若葉末が『腸‐唾液腺相関』(腸が唾液腺(口腔)の機能に影響を及ぼしているという新しい考え方で、神奈川歯科大学 槻木恵一教授が提唱した)を介して口腔免疫機能を向上させていることが示唆されました。
具体的な実験としては、7週齢の雄性ICRマウスを、コントロール飼料または大麦若葉末配合飼料を摂取させる群、および試験開始2週間前から試験終了まで抗生物質を飲水に添加した条件でコントロール飼料または大麦若葉末配合飼料を摂取させる群の合計4群で4週間飼育しました。4週間後にマウスの唾液中のIgA分泌速度、盲腸内容物中の短鎖脂肪酸濃度を測定しました。その結果、大麦若葉末の摂取により唾液中のIgA分泌速度及び盲腸内容物中の短鎖脂肪酸濃度の有意な増加が確認されました(図1・2 )。

一方、抗生物質を与えた条件では大麦若葉末による唾液中のIgAや盲腸内容物中の短鎖脂肪酸の有意な増加は認められませんでした。

以上のことから大麦若葉末は腸内細菌によって資化(腸内細菌が食物繊維などを分解し自身の栄養源として利用すること。食物繊維は資化されることで短鎖脂肪酸が産生されることが知られている)されることで短鎖脂肪酸を産生し、その短鎖脂肪酸が唾液IgA 分泌促進に関与する可能性が示されました。

執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


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